最強のVRMMOプレイヤーは、ウチの飼い猫でした ~ボクだけペットの言葉がわかる~

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
22 / 49
第三章 大家さんと三毛猫が、参戦

第22話 鉱山バグの原因発覚!

しおりを挟む
 鉱山のバグは、ワイバーンが引き起こしていた。
 
『正確には、ワイバーンになにかが取り憑いているニャ』

「ビビ。ワイバーンのどこに原因があるか、わかる?」

『必ず見つけ出すニャ。それまで、ワイバーンの注意を引き付けておいてほしいニャ』
 

「わかった。【ヘイトコントロール】を使うよ!」

 ボクは自分のスキルポイントを、【ヘイトコントロール】に注ぐ。敵の注意を、自分に向けさせるスキルである。
 いざというときのために、ポイントを貯めておいてよかった。

「ボクはここだ、ワイバーン!」

 盾を構えて、ボクは単身ワイバーンの注意を引く。

 ワイバーンが、火球を吐き出した。

 ボクはまともに、盾で受け止める。


 ベルさんがナインくんと共に、サイドからワイバーンを攻撃してくれた。

 また、ワイバーンの注意がそれる。

「まだまだ!」

 ワイバーンが撃ってきた火球を、ボクは再度ガードした。

 ダッシュしてから踏ん張らずに受けたので、ふっとばされそうになる。
 
「ムチャよ、ケント! 一人で戦うなんて!」

 ベルさんの声に、ボクは立ち直った。

「大丈夫です。作戦はありますから!」

 ボスの攻撃を一手に引き受けて、ボクはすべてをビビに賭ける。

「回復は、任せてー」

 トワさんとすしおくんが、ボクに回復魔法をくれた。

 傷が癒えていく。

「もう少しの辛抱なので、ビビを信じてください」

 ワイバーンの攻撃を受け止めながら、ビビの様子を伺う。

 ビビは、ワイバーンの背中に取り付いた。

「大丈夫か、ビビ!」

 言葉を発さず、ビビはうなずくだけで返す。

 モザイク状になったエフェクトが、ワイバーンの翼の裏に見える。

「そこだ」と言わんばかりに、ビビは刀を翼に突き立てた。ワイバーンに気づかれて、スタッと飛び降りる。

「おっと!」

 ボクは地面ギリギリで、ビビをキャッチした。

『あとは逃げ回るニャ!』

 ビビの指示通り、ボクたちは逃げ惑う。

 ワイバーンが、火球を放とうとしたときだった。
 バチッ! と嫌な音を立てて、ワイバーンの翼が弾け飛ぶ。

「そうか、毒ダメージ!」

 ビビが持っている魔力刀【クモキリ】は、敵に毒ダメージを付与する。しかも、普通に斬るより毒ダメージが上回るんだっけ。
 
 翼が吹っ飛んで、ワイバーンが地面に落下する。

「落ちてきたら、こっちのもんだよねー」

 正面から、トワさんとすしおがワイバーンに突っ込む。

 ワイバーンも反撃で、火球を撃とうとした。

 ボスのアゴに、ベルさんの銃弾とナインくんのキックが命中する。
 
「おりゃー」

 トワさんとすしおくんが、ワイバーンをボコボコにして勝利した。

「やったー」

 すしおくんを抱き上げて、トワさんが喜ぶ。

「すごいわね、ビビちゃん。勇敢だったわ」

「はい。ボクの自慢の、家族です」

 ボスを倒した報酬は、以下の通り。


 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~  
 

 鉱山エリア クリア報酬 


【火焔鉱石】

 炎を帯びた鉱石。
 火炎属性を持つ装備を作れる。
 
 
【幸福のツルハシ】

 幸運をもたらすという「うさぎの足」をかたどった、ツルハシ。
 掘る時間が多少かかるようになるが、レア鉱石ドロップ率がアップ。
 

【紅蓮の魔晶石】

 鉱山のボス、ワイバーンの心臓を構成する魔法石。
 防具に取り付けることで、火炎耐性を持たせられる。


 ~~~~~ ~~~~~ ~~~~~


「やりましたよ。紅蓮の魔晶石です」

「おー。がんばった甲斐があったねー」

 トワさんが、またすしおくんを抱き上げた。
 
 そうか。紅蓮の魔晶石って、鉱石ではないのか。

 他のアイテムも、よさげなものばかり。
 
 幸運のツルハシは、掘る時間が一〇%上がってしまうが、レアドロップ率が二五%も上がる。これでもおつりがきそうだな。

「おおー。いいのが手に入ったじゃーん」

 またトワさんが、すしおくんを持ち上げた。

 さすがにめんどくさくなったのか、すしおくんはリアクションしなくなる。


 これで、ボクたちはダンジョンを出た。

 トワさんは、これでしばらく探索はしないという。やはりまだお子さんが小さいため、家族を見る方に時間を取られるみたい。

「じゃあ、これはケントくんが持っていて」

「いいんですか?」

「いいよいいよー。これは、探索する人が持っていたほうがいいって」

「ありがとうございます」

 他にも、火焔鉱石や紅蓮の魔晶石を使って、トワさんは鍛冶屋としてのレベルを上げた。

「はい。どうぞ」

 トワさんは、ベルさんに【フレイムアーマー】という胸当てを作る。
 ナインくんには【炎のクナイ】を渡した。

 ボクには、紅蓮の魔晶石を使って、シールドに耐火効果を付与する。
 ビビの方は、ローブを強化してもらった。

「大丈夫? 二人は耐性だけついて。あたしたちだけが防御力アップしているけど……」

「問題ありません。そのためのこれなので」

 ボクには、幸福のツルハシがある。

「これでレア鉱石を集めて、トワさんのレベルを上げて、さらに強い武器防具を手に入れますから」

「わかったわ。今日はありがとう」

「はい。お疲れ様でした」

 ベルさんたちと、トワさんたちと別れた。


 翌日、ボクのPCにメールが届く。

 ギルドマスターの、ヴォルフさんからだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...