39 / 47
第五章 ラストバトル! さよならJK!?
JKとギャル魔王 ミュリエル
しおりを挟む
まだ元の世界に戻ってきたという実感がないのか、パーシヴァルはしきりに辺りを見渡していた。
「ここは、我々の世界だな。チキュウではないようだが?」
「そうだよ。お前は、帰ってきたんだ」
「そうか。私は、戻ってこられたんだな。力が戻ってくるのを感じるよ」
手を握りながら、パーシヴァルは自身の力を確認している様子だ。
彼は、本当に的に寝返ったのか?
一方、ミュリエルの方は周りをキョロキョロして、何かを探している。
「あれユミじゃんっ! ユミ!」
パッとヒナマルを見つけると、こちらに一目散に走ってきた。
「逃げてヒナマル!」
危ない! と思ったがもう遅い。
「ククク! 危険な相手が誰だかすぐにわかったようですね、王女殿下! さあ、こいつらを始末――」
「うわーんヒナマル、生きてたよかったぁ!」
ミュリエルが、ヒナマルを抱きしめて泣き出した。
「えええええええええええええっ!?」
ロバートたちは、呆気にとられる。まさか最大の災厄であるはずの魔王が、なんの攻撃もしてこないなんて。しかも、民間人と抱き合って涙を流すとは。
「ちょ待てよ!」
一番驚いていたのは、セルベールだった。キャラまで崩壊している。
「ど、どういうことなのです、ミュリエル!? あなた方は、ややられたフリをして異世界チキュウを支配する手はずだったのですよ!?」
「ああ。たしかにな」
パーシヴァルは、たしかにチキュウの支配に乗り出そうとしていた。
ロバートはショックを隠しきれない。かつての友が、魔王に寝返っていたことに。
「で、ではどうして?」
「気が変わったのだ! チキュウは、我々の支配など及ぶほどでもなかった!」
チキュウの文明はたしかに凄まじいものであった。しかし、軍事などに転用できるレベルのものがほとんどなかった。科学が過剰に発達しすぎていて、こちらの技術では維持できないものばかりだったという。
「しかも、案外心地よい。異世界転生や転移の物語を読んで、チキュウの民はさぞ厳しい生活を強いられていると思っていたのに!」
「チキュウでの生活で、骨抜きにされた!?」
「そうだ。世界征服などバカバカしい! それより、愛するミュリエルと共に過ごすほうがよほど有意義ではないか。あそこは争いなど数えるほどしかない。わざわざ侵略戦争など仕掛けずとも、個人の生活は保証される!」
パーシヴァルは言い切った。
「なにを寝ぼけたことを!? あなたたちお二人を迎え入れるのに、我々がどれだけ苦心したとお思いか!? ミュリエル様を魔王としてお迎えする、我々の計画はどうなります!?」
「私に戦は無益だと主張したのは、ミュリエルだ!」
衝撃の事実を突きつけられて、セルベールは愕然となる。
「ユミこっちこっち」
「おけおけヒナマル、いえ~いっ」
話題に登った魔王の娘ミュリエルは、ヒナマルと一緒に写真を撮っている。
「ミュリエル王女殿下! なにを人間の娘とお戯れを! あなたは、魔王の娘であるという誇りはないのですか!?」
「は~あっ!?」
撮影の邪魔をされ、ミュリエルがセルベールに凄む。
「うっせえんだよテメエ! ウチらの邪魔すんな!」
「言葉遣いまで変わって!?」
セルベールが、めまいを起こす。
「いいえ! あなたに次期魔王としての自覚が生まれるまで、我々は何度でもあなたを妨害する所存!」
「るっせえなコイツ。ねぇヒナマル」
ヒナマルが、ミュリエルと「ねー」と言い合う。
「ほんとだよね。パリピのくせに」
「パリピ! たしかにパリピだわコイツ! マッジウケる!」
セルベールをパリピ呼ばわりして、手を叩いてガハハとミュリエルが笑う。
「ちょっといいか。その魔王ミュリエル」
「ああん? なに?」
ミュリエルはロバートにまで敵意を向けてきた。
「待って待って。この人は敵じゃないよ、ユミ」
「ヒナマル、誰このオッサン」
「あたしのカレシ」
イケメン声で、ヒナマルはそうロバートを紹介する。
「ここは、我々の世界だな。チキュウではないようだが?」
「そうだよ。お前は、帰ってきたんだ」
「そうか。私は、戻ってこられたんだな。力が戻ってくるのを感じるよ」
手を握りながら、パーシヴァルは自身の力を確認している様子だ。
彼は、本当に的に寝返ったのか?
一方、ミュリエルの方は周りをキョロキョロして、何かを探している。
「あれユミじゃんっ! ユミ!」
パッとヒナマルを見つけると、こちらに一目散に走ってきた。
「逃げてヒナマル!」
危ない! と思ったがもう遅い。
「ククク! 危険な相手が誰だかすぐにわかったようですね、王女殿下! さあ、こいつらを始末――」
「うわーんヒナマル、生きてたよかったぁ!」
ミュリエルが、ヒナマルを抱きしめて泣き出した。
「えええええええええええええっ!?」
ロバートたちは、呆気にとられる。まさか最大の災厄であるはずの魔王が、なんの攻撃もしてこないなんて。しかも、民間人と抱き合って涙を流すとは。
「ちょ待てよ!」
一番驚いていたのは、セルベールだった。キャラまで崩壊している。
「ど、どういうことなのです、ミュリエル!? あなた方は、ややられたフリをして異世界チキュウを支配する手はずだったのですよ!?」
「ああ。たしかにな」
パーシヴァルは、たしかにチキュウの支配に乗り出そうとしていた。
ロバートはショックを隠しきれない。かつての友が、魔王に寝返っていたことに。
「で、ではどうして?」
「気が変わったのだ! チキュウは、我々の支配など及ぶほどでもなかった!」
チキュウの文明はたしかに凄まじいものであった。しかし、軍事などに転用できるレベルのものがほとんどなかった。科学が過剰に発達しすぎていて、こちらの技術では維持できないものばかりだったという。
「しかも、案外心地よい。異世界転生や転移の物語を読んで、チキュウの民はさぞ厳しい生活を強いられていると思っていたのに!」
「チキュウでの生活で、骨抜きにされた!?」
「そうだ。世界征服などバカバカしい! それより、愛するミュリエルと共に過ごすほうがよほど有意義ではないか。あそこは争いなど数えるほどしかない。わざわざ侵略戦争など仕掛けずとも、個人の生活は保証される!」
パーシヴァルは言い切った。
「なにを寝ぼけたことを!? あなたたちお二人を迎え入れるのに、我々がどれだけ苦心したとお思いか!? ミュリエル様を魔王としてお迎えする、我々の計画はどうなります!?」
「私に戦は無益だと主張したのは、ミュリエルだ!」
衝撃の事実を突きつけられて、セルベールは愕然となる。
「ユミこっちこっち」
「おけおけヒナマル、いえ~いっ」
話題に登った魔王の娘ミュリエルは、ヒナマルと一緒に写真を撮っている。
「ミュリエル王女殿下! なにを人間の娘とお戯れを! あなたは、魔王の娘であるという誇りはないのですか!?」
「は~あっ!?」
撮影の邪魔をされ、ミュリエルがセルベールに凄む。
「うっせえんだよテメエ! ウチらの邪魔すんな!」
「言葉遣いまで変わって!?」
セルベールが、めまいを起こす。
「いいえ! あなたに次期魔王としての自覚が生まれるまで、我々は何度でもあなたを妨害する所存!」
「るっせえなコイツ。ねぇヒナマル」
ヒナマルが、ミュリエルと「ねー」と言い合う。
「ほんとだよね。パリピのくせに」
「パリピ! たしかにパリピだわコイツ! マッジウケる!」
セルベールをパリピ呼ばわりして、手を叩いてガハハとミュリエルが笑う。
「ちょっといいか。その魔王ミュリエル」
「ああん? なに?」
ミュリエルはロバートにまで敵意を向けてきた。
「待って待って。この人は敵じゃないよ、ユミ」
「ヒナマル、誰このオッサン」
「あたしのカレシ」
イケメン声で、ヒナマルはそうロバートを紹介する。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる