DTをこじらせたおっさん魔道士、地球からJKを召喚してしまう

椎名 富比路

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第四章 DTとJK、ドキドキデートする

DTとJKと、魔王軍

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「ではわたしは、ダンジョンに向いますので。詳しくは、ブリーフィングでどうぞー」

 そう言い残し、ヘザーは転送魔法を唱える。
 クールなヘザーが、あれだけ慌てているとは。

 ロバートたちは、パクパカを走らせてギルドへ。

 本来なら、もっとデートを楽しみたかった。
 ヒナマルも、もっと楽しめたはず。

  しかし、現実は非情である。
 
「なんだあれ?」

 冒険者ギルドの掲示板に、黒山の人だかりができていた。
 彼らは、蜘蛛の子を散らす用に、散会する。

「どうしたんです?」

 受付嬢に、話を聞いてみた。

「ああ、ロバート様。緊急依頼です。ヘザー様が担当している土地の近くに、ダンジョンができまして」

 それも、かなり深いクラスのダンジョンだという。

「腕の立つ冒険者に行ってもらいたいのですが、相当のレベルを必要とするらしく」

 探索チームとして、経験の浅い冒険者が挑んだ。
 しかし、返り討ちに遭ったとか。死人は今のところ出ていない。
 とはいえ、油断はできないそうだ。

「ロバート様レベルの、知識と実力が必要なのです」
「レックスが到着しているはずだ。あいつはどうした?」

 ギルド長は、首を振る。

「英雄レックスは、町の外に突如現れた強力なモンスターと交戦中です」

 都市の警護をする関係上、レックスは街を離れられない。
 もし、レックスが街を開けてしまえば、強力な魔物が現れた場合の対処が困難になる。

「しかも、魔物を生み出す黒い渦が、城下町を取り囲んでいるのです。冒険者たちには、モンスターが街に入り込まないように対処にあたってもらっています」
「では、その渦を作り出しているのが、ヘザーが入ったダンジョンだと」
「はい」

 残党狩りは、魔王勢力の削減にあった。
 魔王は死んでいるが、まだ手練は残っている。
 だからこそ、手の空いているロバートやヘザーが必要なのだ。

「いわゆる、タワーディフェンスってやつだね?」と、ヒナマルがゲーム知識を披露する。
「申し訳ありません。こんな事態に、ロバート様のお力が必要になるなんて」 
「ボクだって、すぐに向かいたいです。けれど」

 ロバート一人だけなら、二つ返事で引き受けた。
 しかし、今はヒナマルがいる。
 危険な場所なら、下手に動けない。

「あたしは気にしないでよ。自分の身は自分で守ってみせるから」
『うむ。いざとなったら、ワシが身を投げ打って」

 ヒナマルもミニムも、ロバートと同行するという。

「ダメだっ。危なすぎる」
「でもロバちゃん一人だけだと、もっと危ないんだよね?」
「それは、そうだけどさ」

 もし、ヒナマルの身に何か起きたら。

「今は、あたしだって冒険者だよ。連れてって」
『ヒナマルも覚悟を決めておる。あとは、お主次第じゃ』

 二人はやる気だ。しかし、連れて行くわけには。

「ヒナマルの気持ちはうれしいよ。だけど危なすぎる。キミを守り切る自信がない」
『そうは言うが、お主がヒナマルと離れる方がよっぽど危険なのじゃぞ。それを理解した上で、話しておるのか?』

 ミニムの言うとおりだった。
 今ココで離れたら、ヒナマルがひとりぼっちになってしまう。
 ミニムのサポートがあっても、何が起きるかわからないのだ。

「わかった。ただし、連れ行くだけだ。戦闘などは全部ボクがやるから」

 いざとなったら、ロバートが守ればいい。

「あたしにできることは?」
「えっと、ちょっといいですか?」

 受付嬢に、依頼内容を確認する。

「負傷兵が数名、パーティからはぐれてしまいました。救助と治療を、お願いできますか?」
「うん、わかったよ。絶対に連れて帰るね」

 ヒナマルはギルドの受付から、ポーションなどの医療道具を受け取る。

「お願いします」

 ロバートはヒナマルを連れて、ダンジョンへ。

 既に、入り口の段階で大量のモンスターが。

「入り口の時点でヤバいよ!」
「くそ、消耗している場合じゃないのに!」

 そのとき、大きな爬虫類型モンスターの影が、空を覆った。

 新手か……いや、アレは!?
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