25 / 47
第三章 DTとJKは、王都でKY痴女と出会う
KY痴女の教会
しおりを挟む
ティッチの村へ戻ると、住民から多くの感謝を受け取った。
大量の銅貨が入った袋を、村民たちは押し付けてくる。
この村で採れる銅を使用した貨幣だ。
「報酬はいい。村で使ってくれ」
差し出してきた袋を、ロバートは丁重に断った。今後何かあったとき、ロバートは立ち寄れない可能性が高い。これは村で保管し、有事に使うべきだと。
冒険者たちも「自分たちは役に立たなかったから」と、警備費以上の報酬を求めなかった。
「そうですか。では、こちらをどうぞ」
代わりに、毒消しポーションと鉱石を譲ってもらう。村で持っていても使えるものがいないからと。
「貴重な鉱石を、ありがとう」
これだけあれば、ヒナマルにいい装備を作ってやれる。
「礼を言うのはこちらです! 本当に感謝いたします!」
住民から見守られ、転移魔法を使う。
ヘザーと同行して、王都ブッシュマイヤーに到着した。
まずは、王立の教会へ魔女を引き渡す。
「では、調べておいてくださいねー。おとなしくはしておきましたが、また暴れるかも知れませんので慎重にー」
「かしこまりました」
教会長の神父が、瓶に詰まった魔女を引き受ける。天使であるヘザーのほうが、教会では立場が上なのだ。
ひとまず調査は完了する。あとは教会の仕事だ。
「ではー、わたしはこれでー」
サグーの謀略があった記録などを、ヘザーは王国へ報告に向かうらしい。
一連の事件は、サグーが行ったものではない、とヘザーは考えている。
「これはもっと大きな陰謀の匂いがしますよー。その調査に乗り出すのでーす」
大きな丸型メガネ越しに、ヘザーは闘志を燃やしている。
「しかし、おかしくないか? ブッシュマイヤーって、そんなに他国に圧政を敷いていたっけ?」
王は融通がきかない。だから、煙たがられるならわかる。とはいえ、恨まれるようなマネをしていただろうか?
「敷いていなかったから、周辺国からナメられちゃったんじゃねー? というのが、神のお考えでーす」
正論すぎて、ぐうの音も出ない。
「王都は口こそ出すが、基本は周辺国の自主性を重んじているからね」
「はいー。悪巧みするスキなんて、いーっくらでもあるのですよー」
疑り深いロバートに対し、ヘザーは冷淡だ。
「人類は愚かですからねー。監視の目がないと、すぐに悪いことを始めてしまいますー。やはり、神から直接ご指導いただかねばとー」
人の弱さに触れる機会が多いためか、ヘザーはあまり人類を信用していない。
教会が世界を導かねば、という使命感も強かった。
「なんか窮屈な世界だね、それって」
「はいー。神様も同じことを考えていまして。それで、我々【セイクリッド】をつかわせたのでーす」
人の行く末は人の手に委ねるべきか、それとも粛清して正しいものだけを活かす世界にするか。その見極めをヘザーら【セイクリッド】に任せているのだとか。
「もっともーワタシはさっさと神の僕になるべきですねーって、人間を見ていて思いますけどねー。ではではー」
旅の疲れを取るため、城下町を歩く。
昼食に寄ったテラス型レストランで、お昼にした。
ロバートは、ミニムと競うようにソーセージグリルを貪る。魔女リリムとの戦いで、ロバートは魔力が底を付いていた。今のうちに栄養補給をしておきたい。
「なんだか苦手だなぁ、あの人。悪い人ではないって感じだけど、とっつきにくい」
ヒナマルが、ため息をつく。いつもの食欲もないのか、サラダを片付けるのに時間がかかっていた。
「半分神様だからね。エラそうなところはあるよ」
はっきりいって、ヘザーは人間にたいして興味はない。彼女にとって、人間は神の信徒である。従うのは当然であり、そうでないものは無価値だ。
「なんで人間の王子とイチャつこうとした、なんてウワサが立ったんだろ?」
「ヘザーを呼び出したのが、幼い頃の王子だからだよ」
「マ? そうなん?」
大量の銅貨が入った袋を、村民たちは押し付けてくる。
この村で採れる銅を使用した貨幣だ。
「報酬はいい。村で使ってくれ」
差し出してきた袋を、ロバートは丁重に断った。今後何かあったとき、ロバートは立ち寄れない可能性が高い。これは村で保管し、有事に使うべきだと。
冒険者たちも「自分たちは役に立たなかったから」と、警備費以上の報酬を求めなかった。
「そうですか。では、こちらをどうぞ」
代わりに、毒消しポーションと鉱石を譲ってもらう。村で持っていても使えるものがいないからと。
「貴重な鉱石を、ありがとう」
これだけあれば、ヒナマルにいい装備を作ってやれる。
「礼を言うのはこちらです! 本当に感謝いたします!」
住民から見守られ、転移魔法を使う。
ヘザーと同行して、王都ブッシュマイヤーに到着した。
まずは、王立の教会へ魔女を引き渡す。
「では、調べておいてくださいねー。おとなしくはしておきましたが、また暴れるかも知れませんので慎重にー」
「かしこまりました」
教会長の神父が、瓶に詰まった魔女を引き受ける。天使であるヘザーのほうが、教会では立場が上なのだ。
ひとまず調査は完了する。あとは教会の仕事だ。
「ではー、わたしはこれでー」
サグーの謀略があった記録などを、ヘザーは王国へ報告に向かうらしい。
一連の事件は、サグーが行ったものではない、とヘザーは考えている。
「これはもっと大きな陰謀の匂いがしますよー。その調査に乗り出すのでーす」
大きな丸型メガネ越しに、ヘザーは闘志を燃やしている。
「しかし、おかしくないか? ブッシュマイヤーって、そんなに他国に圧政を敷いていたっけ?」
王は融通がきかない。だから、煙たがられるならわかる。とはいえ、恨まれるようなマネをしていただろうか?
「敷いていなかったから、周辺国からナメられちゃったんじゃねー? というのが、神のお考えでーす」
正論すぎて、ぐうの音も出ない。
「王都は口こそ出すが、基本は周辺国の自主性を重んじているからね」
「はいー。悪巧みするスキなんて、いーっくらでもあるのですよー」
疑り深いロバートに対し、ヘザーは冷淡だ。
「人類は愚かですからねー。監視の目がないと、すぐに悪いことを始めてしまいますー。やはり、神から直接ご指導いただかねばとー」
人の弱さに触れる機会が多いためか、ヘザーはあまり人類を信用していない。
教会が世界を導かねば、という使命感も強かった。
「なんか窮屈な世界だね、それって」
「はいー。神様も同じことを考えていまして。それで、我々【セイクリッド】をつかわせたのでーす」
人の行く末は人の手に委ねるべきか、それとも粛清して正しいものだけを活かす世界にするか。その見極めをヘザーら【セイクリッド】に任せているのだとか。
「もっともーワタシはさっさと神の僕になるべきですねーって、人間を見ていて思いますけどねー。ではではー」
旅の疲れを取るため、城下町を歩く。
昼食に寄ったテラス型レストランで、お昼にした。
ロバートは、ミニムと競うようにソーセージグリルを貪る。魔女リリムとの戦いで、ロバートは魔力が底を付いていた。今のうちに栄養補給をしておきたい。
「なんだか苦手だなぁ、あの人。悪い人ではないって感じだけど、とっつきにくい」
ヒナマルが、ため息をつく。いつもの食欲もないのか、サラダを片付けるのに時間がかかっていた。
「半分神様だからね。エラそうなところはあるよ」
はっきりいって、ヘザーは人間にたいして興味はない。彼女にとって、人間は神の信徒である。従うのは当然であり、そうでないものは無価値だ。
「なんで人間の王子とイチャつこうとした、なんてウワサが立ったんだろ?」
「ヘザーを呼び出したのが、幼い頃の王子だからだよ」
「マ? そうなん?」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる