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第二章 DT、JKと宿屋で二人きりに!?
DT・JKと、パリピ魔族
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振り返ると、槍斧の先端がロバートめがけて襲いかかってきている。赤黒く輝く刃が、今にもロバートを貫こうと迫ってきた。
「しゃらくさい!」
避けているヒマはない。裏拳で叩き落とす。ジイン、と手の甲が痛む。
「いったぁ」
ロバートは、手をブンブンと振った。ミスリル製ヨロイ越しとはいえ、痛いモノは痛い。
「さすが伝説の勇者、ロバート・デューイ殿。見事な回避能力ですなぁ。ケケケ」
槍斧で武装した魔族が、天井へ張り付く。逆さ吊りのような体勢で、カエルのようにしゃがみ込んだ。ジャラジャラした金細工で武装し、洗っていないドレッドヘアをたなびかせている。顔を鋼鉄のマスクで覆い、肩の通気口から白い息を常時吐き出していた。この魔物は、酸素を嫌うタイプだから。
「お前は、【セルベール】!」
どうして上位の魔族が、こんなところに!
「確かに、ボクが倒したはず」
「ワタシは不死身なのです。ケケケ」
セルベールが荒く呼吸をしながら、槍斧を肩に担ぐ。
「このオッサン、強いの?」
「コイツはセルベール。またの名を【血染めの道化師】という」
かつて、魔王の側近の一人だったモンスターだ。
彼に倒された歴戦の戦士は、数え切れない。
「鬼強じゃん。なんかチャラいパリピみたいなのに!」
拍子抜けの単語が出てきて、ロバートは肩を落とす。
「ねえヒナマル、パリピって何?」
「だってグラサンしてマスクしてさぁ、自撮り棒まで持って。ダンスパーティとかにいそうじゃない? クラブとかフェスとか!」
「まさか!」
仮面舞踏会ならまだしも、こんなふざけた格好をしたモンスターが、社交界にいてたまるか。
「なんとも、不本意なあだ名付けられたようですが!」
セルベールは、また白いガスを噴射した。
「まあ、強いでしょうな。この辺りの邪魔者は、排除させていただきましたし。ケケケ」
確かに。セルベールの周りには、冒険者たちの亡きがらが。
「彼らの血を使って、魔王サマ復活の儀式を行おうとしましたのに」
「貴様!」
天井にいるセルベールに向けて、ロバートは火炎弾を放つ。
しかし、セルベールは回避に全力を注いでいた。
戦う意思はないらしい。
「ですが、作戦が失敗した以上、長居は無用。まさか、あれだけの軍勢が全滅してしまうとは」
シュコーと、セルベールはまたガスを放つ。
「おっさん、さっきから息苦しいの?」
「私は、地上世界の空気が不快なのです。なのでガスマスクが欠かせませんケケケ」
わずかな空気でも身体に影響が及ぶ。
よって、地下でしか生きられない。
「じゃあ今の状況は、ヤバいよね」
「お嬢さん、どういう意味ですかな……なななあ!?」
天井が崩れ、穴が開いた。
酸素が、一気に洞窟へ流れ込む。
「これはたまりません。退散としますか」
ガスを大量に吐き出し、セルベールが白い煙に消えていく。
「これは、始まりに過ぎません。いずれまたまみえることになるでしょう、ケケケ……」
「待て!」
火炎弾を放とうとした。
『いかん、ロバート!』
しかし、ミニムに止められる。
「くっ」
ロバートは、火炎攻撃をあきらめた。代わりに氷の矢を放つ。しかし、一発も当たらない。
煙が晴れる。セルベールがいた場所には、氷の矢が突き刺さっているだけ。逃げ足だけは速いヤツだ。
「なんでファイアーボールを撃たなかったの? 得意技なんでしょ?」
「撃てなかった。さっきのガスは、火気に引火するタイプだ。吸い込んでわかった」
火炎弾を放てば、ヒナマルもろとも火ダルマになっていた。
「とにかく引き返そう。レックスに報告しないと」
ロバートはヒナマルを連れて、空いた穴からダンジョンを出る。
パクパカを口笛で呼び戻して、乗り込んだ。
「あたしもやろっと! ピーッ」
ヒナマルがロバートより鮮やかな音が鳴る。
パクパカが猛スピードで、ヒナマルのもとへ走ってきた。
「ハハハ! ロバート・デューイ! 勝負はおあずけです」
ダンジョンから近い大木の枝に、セルベールが乗っている。いつの間に移動したのか。
「パクパカ、ジャンプ、でもってキック!」
ヒナマルが号令をかけると、パクパカが飛び上がる。
「だがいずれ決ちゃ――」
グシャア!
ヒナマルの指示で、パクパカがセルベールのいる木の枝まで飛び、踏み潰したではないか。
「しゃらくさい!」
避けているヒマはない。裏拳で叩き落とす。ジイン、と手の甲が痛む。
「いったぁ」
ロバートは、手をブンブンと振った。ミスリル製ヨロイ越しとはいえ、痛いモノは痛い。
「さすが伝説の勇者、ロバート・デューイ殿。見事な回避能力ですなぁ。ケケケ」
槍斧で武装した魔族が、天井へ張り付く。逆さ吊りのような体勢で、カエルのようにしゃがみ込んだ。ジャラジャラした金細工で武装し、洗っていないドレッドヘアをたなびかせている。顔を鋼鉄のマスクで覆い、肩の通気口から白い息を常時吐き出していた。この魔物は、酸素を嫌うタイプだから。
「お前は、【セルベール】!」
どうして上位の魔族が、こんなところに!
「確かに、ボクが倒したはず」
「ワタシは不死身なのです。ケケケ」
セルベールが荒く呼吸をしながら、槍斧を肩に担ぐ。
「このオッサン、強いの?」
「コイツはセルベール。またの名を【血染めの道化師】という」
かつて、魔王の側近の一人だったモンスターだ。
彼に倒された歴戦の戦士は、数え切れない。
「鬼強じゃん。なんかチャラいパリピみたいなのに!」
拍子抜けの単語が出てきて、ロバートは肩を落とす。
「ねえヒナマル、パリピって何?」
「だってグラサンしてマスクしてさぁ、自撮り棒まで持って。ダンスパーティとかにいそうじゃない? クラブとかフェスとか!」
「まさか!」
仮面舞踏会ならまだしも、こんなふざけた格好をしたモンスターが、社交界にいてたまるか。
「なんとも、不本意なあだ名付けられたようですが!」
セルベールは、また白いガスを噴射した。
「まあ、強いでしょうな。この辺りの邪魔者は、排除させていただきましたし。ケケケ」
確かに。セルベールの周りには、冒険者たちの亡きがらが。
「彼らの血を使って、魔王サマ復活の儀式を行おうとしましたのに」
「貴様!」
天井にいるセルベールに向けて、ロバートは火炎弾を放つ。
しかし、セルベールは回避に全力を注いでいた。
戦う意思はないらしい。
「ですが、作戦が失敗した以上、長居は無用。まさか、あれだけの軍勢が全滅してしまうとは」
シュコーと、セルベールはまたガスを放つ。
「おっさん、さっきから息苦しいの?」
「私は、地上世界の空気が不快なのです。なのでガスマスクが欠かせませんケケケ」
わずかな空気でも身体に影響が及ぶ。
よって、地下でしか生きられない。
「じゃあ今の状況は、ヤバいよね」
「お嬢さん、どういう意味ですかな……なななあ!?」
天井が崩れ、穴が開いた。
酸素が、一気に洞窟へ流れ込む。
「これはたまりません。退散としますか」
ガスを大量に吐き出し、セルベールが白い煙に消えていく。
「これは、始まりに過ぎません。いずれまたまみえることになるでしょう、ケケケ……」
「待て!」
火炎弾を放とうとした。
『いかん、ロバート!』
しかし、ミニムに止められる。
「くっ」
ロバートは、火炎攻撃をあきらめた。代わりに氷の矢を放つ。しかし、一発も当たらない。
煙が晴れる。セルベールがいた場所には、氷の矢が突き刺さっているだけ。逃げ足だけは速いヤツだ。
「なんでファイアーボールを撃たなかったの? 得意技なんでしょ?」
「撃てなかった。さっきのガスは、火気に引火するタイプだ。吸い込んでわかった」
火炎弾を放てば、ヒナマルもろとも火ダルマになっていた。
「とにかく引き返そう。レックスに報告しないと」
ロバートはヒナマルを連れて、空いた穴からダンジョンを出る。
パクパカを口笛で呼び戻して、乗り込んだ。
「あたしもやろっと! ピーッ」
ヒナマルがロバートより鮮やかな音が鳴る。
パクパカが猛スピードで、ヒナマルのもとへ走ってきた。
「ハハハ! ロバート・デューイ! 勝負はおあずけです」
ダンジョンから近い大木の枝に、セルベールが乗っている。いつの間に移動したのか。
「パクパカ、ジャンプ、でもってキック!」
ヒナマルが号令をかけると、パクパカが飛び上がる。
「だがいずれ決ちゃ――」
グシャア!
ヒナマルの指示で、パクパカがセルベールのいる木の枝まで飛び、踏み潰したではないか。
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