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第二章 DT、JKと宿屋で二人きりに!?
伝説の勇者と、伝説になるかもしれないJK
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続いて、受付嬢からさらに質問が飛ぶ。
「どの学園に所属しているのでしょう?」
「大葉坂第二高校の2-B だけど?」
「ボクの教え子です! マジェストリング魔術学園、魔法剣士科の院生!」
適当にごまかす。
どうにか、受付嬢も納得してくれたようである。
「ああ、教え子に手を出したと。なるほど」
「なにが、なるほどなの⁉」
まったく、この受付嬢は。
「ねえ、ロバちゃんって教師なん?」
今度はヒナマルから質問を受ける。
「そうだよ。こう見えても、黒魔術の権威だからね」
今は討伐任務にあたっているため、生徒育成に力を注げないが。
「ヒナマル、ホントにJKって書くの?」
リアーズにはない職業だ。
「一応高校生だから」
「学生だって? 一七で、まだ学生なんだね?」
「えっと、リアーズっていうんだっけ? この世界って、学校はないの?」
「一応あるよ。一五歳で卒業するけど」
このリアーズには、魔法を習う学校が存在する。
剣士志望といえど、一応魔法を習う。治癒などは自己責任だからだ。
一五歳になると、そのまま魔法使いになるか、魔法も使える冒険者となる。
あるいは、素質なしとみなされて退学させられるのだ。
冒険者の中で魔法が使えない者は、魔法学校の落第生と見なされている。
一七歳になってもまだ学生身分の者は、この世界にはいない。
「へえ、早熟なんだね」
身体だけは早熟しているJKが、感心した。
「OKです。ではヒナマル様、この水晶玉に手をかざしてくださいませ」
スイカほどある水晶玉が、受付嬢の隣に鎮座している。
聖杯のような台に置かれていた。
「はいよー」
水晶玉に、ヒナマルが手をかざす。
「これ、何をしているの?」
「冒険者のポテンシャルを見ているんだ。戦闘要員の冒険者になる方がいいか、商業や工芸の世界へ行くべきか調べるんだよ」
「スキルって、ゲームだと全部一緒くただよね? 戦闘用も、戦闘向きじゃない錬金術とか料理とかも」
「昔は、こっちもそうだったよ」
しかし、「非戦闘スキルを上げていたら冒険者のランクが上がりすぎて、高難易度の戦闘用依頼しか仕事がなくなる」という不公平が生じてしまった。
こんな事態をなくすため、戦闘と非戦闘のスキルは分けたのだ。
仰々しい台も、ちゃんと意味がある。
この台を伝って、ギルド内データベースから冒険者見習いの的確なポテンシャルを割り出すのだ。
「出ました。副業スキル、戦闘スキル共にトップレベルなんですが⁉」
「本当だね。魔法は大したことないけど、剣術が随一だ。勇者レベルじゃないか」
意外だった。
戦闘スキルはミニムの引き継ぎだから、まあいい。
問題は副業レベルだ。
「どの辺りが?」
「商業スキルが高いですね。どんな商売もこなせますよ」
戦闘は危ないから、商売方面で当分は働いてもらうのも手か。
彼女にそのつもりがあればいいのだけれど。
「ロバートはいるか!? まだ帰ってないよな!?」
金髪にわずかながら白髪の混じった男性が、息を切らせてカウンターから大声を上げた。三〇代の中年とはいえ、筋肉はまるで衰えていない。
「ボクなら、ここにいるよ。レックス」
手を上げて、ロバートがかつてのパーティメンバーに声をかけた。
「おお、相変わらず人と目を合わせられないんだな。友だちなのに」
軽口を叩きながら、レックスはカブト姿のロバートに微笑みかける。
「ゴメンゴメン。ついクセで」
急いで、ロバートはカブトを脱ぐ。
「ロバちゃん。レックスって、さっき話してた?」
「ああ。俺はレックス・メイジャー。ここのギルドマスターで、かつての剣聖だ」
「ヒナマルです。こんちは」
手を上げて、ヒナマルはレックスに笑顔を向けた。
「ついでに、俺はこの受付嬢の旦那さまだ」と、レックスが受付嬢の肩を抱く。
「立ち話もなんだ。晩メシでも一緒にどうだ?」
「あっ。もうそんな時間が」
窓の向こうは、もう日が陰っていた。
ギルドの近くにあるカフェにて、ロバートとレックスは同じテーブルを囲む。
「久しぶりだな。ロバート」
「奥さん大丈夫なの? 身体は」
現場復帰するには、早すぎる気がしたが。
「心配ない。産後から一ヶ月でもう働いている。カミさんのおふくろさんが、子供の面倒を見ているよ」
身体を動かしている方が、彼女にとては楽らしい。
「早く復帰できてよかったな」
ちなみに、ヒナマルはミニムと一緒に山盛りパスタと、オレンジジュースを食べている。レックスにおごってもらっていた。
「悪いな、ボクまでおごってもらって」
「ドラゴンを倒してくれたんだ。これでも足りないくらいだ」
「殺していない。撃退はしたけれど」
「同じようなもんだ。追っ払ったことに違いはねえ」
レックスが物々しい様子で、身を乗り出してくる。「ところで」と、話を切り出してきた。
「お前にどうしても、話を聞きたかったんだ。メシ代は、取材費と思ってくれていい」
真剣な眼差しを、ロバートも返す。
強いモンスターが、まだこの世界に残っているのだ。世界の危機が、また迫っていると考えていいだろう。
「ヒナマルと言ったな、あの娘。お前、あの娘とはどういう関係なんだ?」
ロバートは、テーブルに額をぶつけた。
「どの学園に所属しているのでしょう?」
「大葉坂第二高校の2-B だけど?」
「ボクの教え子です! マジェストリング魔術学園、魔法剣士科の院生!」
適当にごまかす。
どうにか、受付嬢も納得してくれたようである。
「ああ、教え子に手を出したと。なるほど」
「なにが、なるほどなの⁉」
まったく、この受付嬢は。
「ねえ、ロバちゃんって教師なん?」
今度はヒナマルから質問を受ける。
「そうだよ。こう見えても、黒魔術の権威だからね」
今は討伐任務にあたっているため、生徒育成に力を注げないが。
「ヒナマル、ホントにJKって書くの?」
リアーズにはない職業だ。
「一応高校生だから」
「学生だって? 一七で、まだ学生なんだね?」
「えっと、リアーズっていうんだっけ? この世界って、学校はないの?」
「一応あるよ。一五歳で卒業するけど」
このリアーズには、魔法を習う学校が存在する。
剣士志望といえど、一応魔法を習う。治癒などは自己責任だからだ。
一五歳になると、そのまま魔法使いになるか、魔法も使える冒険者となる。
あるいは、素質なしとみなされて退学させられるのだ。
冒険者の中で魔法が使えない者は、魔法学校の落第生と見なされている。
一七歳になってもまだ学生身分の者は、この世界にはいない。
「へえ、早熟なんだね」
身体だけは早熟しているJKが、感心した。
「OKです。ではヒナマル様、この水晶玉に手をかざしてくださいませ」
スイカほどある水晶玉が、受付嬢の隣に鎮座している。
聖杯のような台に置かれていた。
「はいよー」
水晶玉に、ヒナマルが手をかざす。
「これ、何をしているの?」
「冒険者のポテンシャルを見ているんだ。戦闘要員の冒険者になる方がいいか、商業や工芸の世界へ行くべきか調べるんだよ」
「スキルって、ゲームだと全部一緒くただよね? 戦闘用も、戦闘向きじゃない錬金術とか料理とかも」
「昔は、こっちもそうだったよ」
しかし、「非戦闘スキルを上げていたら冒険者のランクが上がりすぎて、高難易度の戦闘用依頼しか仕事がなくなる」という不公平が生じてしまった。
こんな事態をなくすため、戦闘と非戦闘のスキルは分けたのだ。
仰々しい台も、ちゃんと意味がある。
この台を伝って、ギルド内データベースから冒険者見習いの的確なポテンシャルを割り出すのだ。
「出ました。副業スキル、戦闘スキル共にトップレベルなんですが⁉」
「本当だね。魔法は大したことないけど、剣術が随一だ。勇者レベルじゃないか」
意外だった。
戦闘スキルはミニムの引き継ぎだから、まあいい。
問題は副業レベルだ。
「どの辺りが?」
「商業スキルが高いですね。どんな商売もこなせますよ」
戦闘は危ないから、商売方面で当分は働いてもらうのも手か。
彼女にそのつもりがあればいいのだけれど。
「ロバートはいるか!? まだ帰ってないよな!?」
金髪にわずかながら白髪の混じった男性が、息を切らせてカウンターから大声を上げた。三〇代の中年とはいえ、筋肉はまるで衰えていない。
「ボクなら、ここにいるよ。レックス」
手を上げて、ロバートがかつてのパーティメンバーに声をかけた。
「おお、相変わらず人と目を合わせられないんだな。友だちなのに」
軽口を叩きながら、レックスはカブト姿のロバートに微笑みかける。
「ゴメンゴメン。ついクセで」
急いで、ロバートはカブトを脱ぐ。
「ロバちゃん。レックスって、さっき話してた?」
「ああ。俺はレックス・メイジャー。ここのギルドマスターで、かつての剣聖だ」
「ヒナマルです。こんちは」
手を上げて、ヒナマルはレックスに笑顔を向けた。
「ついでに、俺はこの受付嬢の旦那さまだ」と、レックスが受付嬢の肩を抱く。
「立ち話もなんだ。晩メシでも一緒にどうだ?」
「あっ。もうそんな時間が」
窓の向こうは、もう日が陰っていた。
ギルドの近くにあるカフェにて、ロバートとレックスは同じテーブルを囲む。
「久しぶりだな。ロバート」
「奥さん大丈夫なの? 身体は」
現場復帰するには、早すぎる気がしたが。
「心配ない。産後から一ヶ月でもう働いている。カミさんのおふくろさんが、子供の面倒を見ているよ」
身体を動かしている方が、彼女にとては楽らしい。
「早く復帰できてよかったな」
ちなみに、ヒナマルはミニムと一緒に山盛りパスタと、オレンジジュースを食べている。レックスにおごってもらっていた。
「悪いな、ボクまでおごってもらって」
「ドラゴンを倒してくれたんだ。これでも足りないくらいだ」
「殺していない。撃退はしたけれど」
「同じようなもんだ。追っ払ったことに違いはねえ」
レックスが物々しい様子で、身を乗り出してくる。「ところで」と、話を切り出してきた。
「お前にどうしても、話を聞きたかったんだ。メシ代は、取材費と思ってくれていい」
真剣な眼差しを、ロバートも返す。
強いモンスターが、まだこの世界に残っているのだ。世界の危機が、また迫っていると考えていいだろう。
「ヒナマルと言ったな、あの娘。お前、あの娘とはどういう関係なんだ?」
ロバートは、テーブルに額をぶつけた。
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