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第5話 【セイジョ】 ドラゴン 脳内会議 【コワイ】

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 ドラゴンたちは一部の個体を除き、スマホを触れず言葉も発しません。
 が、テレパシーで意思疎通ができます。
 そのため、ドラゴンは【並列思考機能】が備わっています。
 つまりドラゴンは、「複数の身体で、一つの脳を共有している」ことになります。
 
 カギカッコ内の書き込みはすべて、【ドラゴンの共通認識】として表記します。

 二重カギカッコは、独自思考を持つ上位個体です。


 ◆ ******* ◆ ****** ◆

 
 ~ ドラゴンがモネたんと遭遇する、一時間前~

 
「セイジョ、この近くに、現れた」

「こわい!」

「疫病神!」

「また里が襲われる!」

「ヤツら、おれたちの【ウロコ】、欲しがる!」

「ボスも、ユウシャに倒された」

「ニンゲンのオークションニ、ボスのウロコ、出てた」

「怯むな! 怖いのは、ユウシャの方! セイジョ、怖くない」

「そう思ってセイジョに手を上げようとしたら、ユウシャに退治された件」

「あのときのユウシャの、めんどくさそうな顔ときたら」

「心底、かったるそうだったよな」

「あれは、蛮勇が先走りすぎ。メスの気を引こうと勇気を締めそうとして、やられた」

「勇気と、無謀は違う」

「じゃあ、誰がセイジョを退治しに行くの?」

「それを決めるために、こうして脳内会議をしている」

「動けない、ボスの代わりに」

「でも、誰も挙手してないじゃん」

「どこかに、猛者ドラゴンはおらぬものか……」


『やれやれ。たかがニンゲン一匹に、何を怯えているのか』


「オマエは、上位個体!?」

「コテハン、キタコレ」

「ニンゲンの少女に化けて里から出て、世俗にまみれた個体」

「ギャル」
 
「クソコテ」
 

『里から出て判明したのですが、例の聖女は代替わりしたそうですよ』

「マ?」
 
「それが真実なら、もうニンゲンに怯える必要はない!」

「ニンゲン、滅ぼす!」
 
『まあまあ、お待ちなさい。ワタシが直接相手をしに行きますよ』

「マ?」

「お前が?」

「先走りおって、小娘が! 字が読めてニンゲンの言葉もわかるからって、偉そうに!」

『実際に知能が高いワタシが行ったほうが、スムーズに事が運ぶと思いませんか?』

「タスカニ」

「タスカリマスク」


『話はまとまったようですね。では。まあ軽く脅かして、服従させてきますよ』

「行っちまいやがった」

「あいつ、大丈夫かな?」

「フン! どうせ骨になって帰ってくるだろうさ」

『骨にならずに、帰還しました』

「はやっ!」

『というか、すごい神対応をされました。脅かしに行ったのに、その場で魔力まで提供されて。引き下がるしか、ありませんでした』

「慈愛の塊」

『そこまでされては、もう悪さなどできません。彼女に一生お仕えします』

「ニンゲンの手下になると!?」

『もちろん、意識を共有しているみなさんもご一緒に、とは言いません。ワタシ一人でも、彼女の役に立ちたい』

「待て。一度話し合いの場を設けたい」

『おっと、悠長に話し合っている場合ではなくなりました。さっそく聖女のピンチではありませんか。ここはこちらが一肌脱いで……おっと、ドワーフの助けが入りました』

「前任聖女の報復を恐れて、河川の修繕工事をしないと誓わされていたのに!」

「なんという。ドワーフに、そこまでさせるか」

『ますますもって、興味深い。決めました。ワタシはあの方のメイドとして、過ごしてみます。彼女の下にいれば、面白いできごとが目白押しのようですからね』
 
「結局、クソコテじゃん」
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