5 / 7
第5話 【セイジョ】 ドラゴン 脳内会議 【コワイ】
しおりを挟む
◆ ******* ◆ ****** ◆
ドラゴンたちは一部の個体を除き、スマホを触れず言葉も発しません。
が、テレパシーで意思疎通ができます。
そのため、ドラゴンは【並列思考機能】が備わっています。
つまりドラゴンは、「複数の身体で、一つの脳を共有している」ことになります。
カギカッコ内の書き込みはすべて、【ドラゴンの共通認識】として表記します。
二重カギカッコは、独自思考を持つ上位個体です。
◆ ******* ◆ ****** ◆
~ ドラゴンがモネたんと遭遇する、一時間前~
「セイジョ、この近くに、現れた」
「こわい!」
「疫病神!」
「また里が襲われる!」
「ヤツら、おれたちの【ウロコ】、欲しがる!」
「ボスも、ユウシャに倒された」
「ニンゲンのオークションニ、ボスのウロコ、出てた」
「怯むな! 怖いのは、ユウシャの方! セイジョ、怖くない」
「そう思ってセイジョに手を上げようとしたら、ユウシャに退治された件」
「あのときのユウシャの、めんどくさそうな顔ときたら」
「心底、かったるそうだったよな」
「あれは、蛮勇が先走りすぎ。メスの気を引こうと勇気を締めそうとして、やられた」
「勇気と、無謀は違う」
「じゃあ、誰がセイジョを退治しに行くの?」
「それを決めるために、こうして脳内会議をしている」
「動けない、ボスの代わりに」
「でも、誰も挙手してないじゃん」
「どこかに、猛者ドラゴンはおらぬものか……」
『やれやれ。たかがニンゲン一匹に、何を怯えているのか』
「オマエは、上位個体!?」
「コテハン、キタコレ」
「ニンゲンの少女に化けて里から出て、世俗にまみれた個体」
「ギャル」
「クソコテ」
『里から出て判明したのですが、例の聖女は代替わりしたそうですよ』
「マ?」
「それが真実なら、もうニンゲンに怯える必要はない!」
「ニンゲン、滅ぼす!」
『まあまあ、お待ちなさい。ワタシが直接相手をしに行きますよ』
「マ?」
「お前が?」
「先走りおって、小娘が! 字が読めてニンゲンの言葉もわかるからって、偉そうに!」
『実際に知能が高いワタシが行ったほうが、スムーズに事が運ぶと思いませんか?』
「タスカニ」
「タスカリマスク」
『話はまとまったようですね。では。まあ軽く脅かして、服従させてきますよ』
「行っちまいやがった」
「あいつ、大丈夫かな?」
「フン! どうせ骨になって帰ってくるだろうさ」
『骨にならずに、帰還しました』
「はやっ!」
『というか、すごい神対応をされました。脅かしに行ったのに、その場で魔力まで提供されて。引き下がるしか、ありませんでした』
「慈愛の塊」
『そこまでされては、もう悪さなどできません。彼女に一生お仕えします』
「ニンゲンの手下になると!?」
『もちろん、意識を共有しているみなさんもご一緒に、とは言いません。ワタシ一人でも、彼女の役に立ちたい』
「待て。一度話し合いの場を設けたい」
『おっと、悠長に話し合っている場合ではなくなりました。さっそく聖女のピンチではありませんか。ここはこちらが一肌脱いで……おっと、ドワーフの助けが入りました』
「前任聖女の報復を恐れて、河川の修繕工事をしないと誓わされていたのに!」
「なんという。ドワーフに、そこまでさせるか」
『ますますもって、興味深い。決めました。ワタシはあの方のメイドとして、過ごしてみます。彼女の下にいれば、面白いできごとが目白押しのようですからね』
「結局、クソコテじゃん」
ドラゴンたちは一部の個体を除き、スマホを触れず言葉も発しません。
が、テレパシーで意思疎通ができます。
そのため、ドラゴンは【並列思考機能】が備わっています。
つまりドラゴンは、「複数の身体で、一つの脳を共有している」ことになります。
カギカッコ内の書き込みはすべて、【ドラゴンの共通認識】として表記します。
二重カギカッコは、独自思考を持つ上位個体です。
◆ ******* ◆ ****** ◆
~ ドラゴンがモネたんと遭遇する、一時間前~
「セイジョ、この近くに、現れた」
「こわい!」
「疫病神!」
「また里が襲われる!」
「ヤツら、おれたちの【ウロコ】、欲しがる!」
「ボスも、ユウシャに倒された」
「ニンゲンのオークションニ、ボスのウロコ、出てた」
「怯むな! 怖いのは、ユウシャの方! セイジョ、怖くない」
「そう思ってセイジョに手を上げようとしたら、ユウシャに退治された件」
「あのときのユウシャの、めんどくさそうな顔ときたら」
「心底、かったるそうだったよな」
「あれは、蛮勇が先走りすぎ。メスの気を引こうと勇気を締めそうとして、やられた」
「勇気と、無謀は違う」
「じゃあ、誰がセイジョを退治しに行くの?」
「それを決めるために、こうして脳内会議をしている」
「動けない、ボスの代わりに」
「でも、誰も挙手してないじゃん」
「どこかに、猛者ドラゴンはおらぬものか……」
『やれやれ。たかがニンゲン一匹に、何を怯えているのか』
「オマエは、上位個体!?」
「コテハン、キタコレ」
「ニンゲンの少女に化けて里から出て、世俗にまみれた個体」
「ギャル」
「クソコテ」
『里から出て判明したのですが、例の聖女は代替わりしたそうですよ』
「マ?」
「それが真実なら、もうニンゲンに怯える必要はない!」
「ニンゲン、滅ぼす!」
『まあまあ、お待ちなさい。ワタシが直接相手をしに行きますよ』
「マ?」
「お前が?」
「先走りおって、小娘が! 字が読めてニンゲンの言葉もわかるからって、偉そうに!」
『実際に知能が高いワタシが行ったほうが、スムーズに事が運ぶと思いませんか?』
「タスカニ」
「タスカリマスク」
『話はまとまったようですね。では。まあ軽く脅かして、服従させてきますよ』
「行っちまいやがった」
「あいつ、大丈夫かな?」
「フン! どうせ骨になって帰ってくるだろうさ」
『骨にならずに、帰還しました』
「はやっ!」
『というか、すごい神対応をされました。脅かしに行ったのに、その場で魔力まで提供されて。引き下がるしか、ありませんでした』
「慈愛の塊」
『そこまでされては、もう悪さなどできません。彼女に一生お仕えします』
「ニンゲンの手下になると!?」
『もちろん、意識を共有しているみなさんもご一緒に、とは言いません。ワタシ一人でも、彼女の役に立ちたい』
「待て。一度話し合いの場を設けたい」
『おっと、悠長に話し合っている場合ではなくなりました。さっそく聖女のピンチではありませんか。ここはこちらが一肌脱いで……おっと、ドワーフの助けが入りました』
「前任聖女の報復を恐れて、河川の修繕工事をしないと誓わされていたのに!」
「なんという。ドワーフに、そこまでさせるか」
『ますますもって、興味深い。決めました。ワタシはあの方のメイドとして、過ごしてみます。彼女の下にいれば、面白いできごとが目白押しのようですからね』
「結局、クソコテじゃん」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
魔法省魔道具研究員クロエ
大森蜜柑
ファンタジー
8歳のクロエは魔物討伐で利き腕を無くした父のために、独学で「自分の意思で動かせる義手」製作に挑む。
その功績から、平民ながら貴族の通う魔法学園に入学し、卒業後は魔法省の魔道具研究所へ。
エリート街道を進むクロエにその邪魔をする人物の登場。
人生を変える大事故の後、クロエは奇跡の生還をとげる。
大好きな人のためにした事は、全て自分の幸せとして返ってくる。健気に頑張るクロエの恋と奇跡の物語りです。
本編終了ですが、おまけ話を気まぐれに追加します。
小説家になろうにも掲載してます。
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
【教えて】聖杯を探しています【ください】
一樹
ファンタジー
千年前、勇者は魔王倒してこの世界の王様になった。
勇者にはしかし、子供も配偶者もいなかった。
だから、勇者は今際の際にこんな遺言をことづけた。
聖杯を手にした者が、世界を手にする。
つまり、聖杯を手に入れた者が次の王様ということだ。
以来、千年。
いまだ聖杯は見つかっていない。
私を虐げてきた妹が聖女に選ばれたので・・・冒険者になって叩きのめそうと思います!
れもん・檸檬・レモン?
ファンタジー
私には双子の妹がいる
この世界はいつの頃からか妹を中心に回るようになってきた・・・私を踏み台にして・・・
妹が聖女に選ばれたその日、私は両親に公爵家の慰み者として売られかけた
そんな私を助けてくれたのは、両親でも妹でもなく・・・妹の『婚約者』だった
婚約者に守られ、冒険者組合に身を寄せる日々・・・
強くならなくちゃ!誰かに怯える日々はもう終わりにする
私を守ってくれた人を、今度は私が守れるように!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる