勝手にモブを神童に見立てるスレ ~聖女のわがままに振り回される聖職者たちが、モブを聖女に仕立て上げようとしたら、本物の神に選ばれた~

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
4 / 7

第4話 【ガチ聖女】 本物聖女と、荒れ地救済に向かうスレ 【降臨】

しおりを挟む
 ◆ ******* ◆ ****** ◆


 カギカッコ内の書き込みは、コテハン以外はすべて【聖書者ナナシ】の発言として表記します。

 文頭にアルファベットが書かれていますが、ハンドルネームではなく班名。よって個人の発言ではありません。
 
 二重カギカッコは、固定ハンドルネームコテハンです。
 

 ◆ ******* ◆ ****** ◆
 

「A:荒れ地に到着~」

「B:三週間ぶりに馬車から降りられたな」

「C:辺境伯にでもなった気分だぜ」

「D:グチを言わないの。ここは荒れ地だから、村人の歓迎も期待できないわよ」

「E:領主様さえ、見限った土地なんだっけ?」

「F:川が災害で、こっちまで流れなくなっちまったくさい。改修工事の金もなく、放置された」

「G:よく来てくれた。モネ聖女様を連れてきてくださって。といっても、ワタシたちには大したもてなしはできないがな」

「A:あの、女騎士様。今って、会議中っすよね? 掲示板ポチポチしててOKなんですか?」

「G:ポチポチなら、お前たちもしているではないか。ここは領主に見放されて、随分と経つ。治安や礼節なんぞ、ドブに捨ててしまったからな。おかげで山賊すら来ないため、いたって平和だが」

「B:あかんやん」

「C:女騎士っていうから、もっとスラッとした人を連想したが、案外マッチョだな」

「G:掲示板を見ているぞ」

「C:ひえっ」

「G:まあ、そんなに怯えるな。事実なので、怒っても仕方がない。もっとも、食料調達が狩猟メインになって、我々が呼ばれたわけだが」

「E:何を食ったら、そんなにデカくなるんすか?」

「G:主に、魔物を少々」

「D:あー。そうなっちゃうわよねぇ」
 
「G:なんとか、魔物以外の地産地消できる土地を、お願いしたい。モネ様しか、頼る方がおらんのだ」

「D:残念ながら、奇跡は一時的なものです。対処療法といいますか。一度奇跡を起こしても、恒久的な対処は不可能です」

「G:そうか」

「F:災害に強い土地にすることは、可能かもしれないってよ」

「G:なるほど! ありがたい!」
 
「A:そのかわり、小麦を分けてほしいそうだ」
 
「G:いくらでも構わんよ! タダでもいいから、持っていってくれ!」

「A:いや、地産地消とは」
 
「B:しかし、話し合いに行ったモネたんは肩を落として帰ってきたのが心配」

「F:なんでも、山岳地方の村々が、河川の修繕工事に協力してくれなかったらしい」 

「G:あそこの土地は、ドワーフが管理しているからな」
 
「A:あードワーフなー」

「F:悪気はないんだろうけど、面白くもねえわな」
 
「D:前の聖女に振り回されていたのは、同族だろうと同じだろうにね」


「E:ところでさ……なんだ、この地響き?」

「B:噴火だ!」

「A:いや、ここは火山地帯じゃないんで」

「G:ドワーフの村が、レッドドラゴンに襲撃されている! 我々は救援に向かうぞ!」

「D:っ! 待って! モネさんが一人で、ドワーフの村に向かったわ!」

「A:マジかよ! 一人でやってもしょうがねえだろうが!」

「C:村に着いて早々に、祈りを捧げだしたぞ」

「E:祈りなんてレッドドラゴンに……通じたよ」

「F:これが聖女パワー」

「G:信じられん。前の聖女は、逃げたというのに」

「D:今の聖女は、逃げませんよ。ちゃんとドラゴン側のお話も、聞くんです」

「A:話がついたみたいだ。モネたんがドラゴンに魔力を供給する代わりに、使い魔として働きますってよ」

「B:ドラゴンを従えるモネたん。無敵すぎ!」

「D:無敵なんてもんじゃないわよ。でも、モネさんは一人で河川の修復工事を始めたわ」

「B:危ない、モネたん!」

「E:溺れちまう!」

「B:おお、ドラゴンより先に誰かが川に飛び込んで、モネたんを助けた! って、あれドワーフじゃん!」
 
「G:流されたモネ殿を、ドワーフが助けた!」

「A:歴史的瞬間! 雪解け!」

 以後、このスレは聖女モネたんと、従者ドラゴンと、救世主のドワーフを称えるスレとなりました。
 
 
 このスレはもう書き込めません。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大草原の小さな家でスローライフ系ゲームを満喫していたら、何故か聖女と呼ばれるようになっていました~異世界で最強のドラゴンに溺愛されてます~

うみ
ファンタジー
「無骨なドラゴンとちょっと残念なヒロインの終始ほのぼの、時にコメディなおはなし」 箱庭系スローライフが売りのゲームを起動させたら、見知らぬ大草原に! ゲームの能力で小屋を建て畑に種を撒いたりしていたら……巨大なドラゴンが現れた。 「ドラゴンさん、私とお友達になってください!」 『まあよい。こうして言葉を交わすこと、久しく忘れておった。我は邪黒竜。それでも良いのだな?』 「もちろんです! よ、よろしくお願いします!」 怖かったけど、ドラゴンとお友達になった私は、訪れる動物や魔物とお友達になりながら牧場を作ったり、池で釣りをしたりとほのぼのとした毎日を過ごしていく。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

異種族ちゃんねる

kurobusi
ファンタジー
ありとあらゆる種族が混在する異世界 そんな世界にやっとのことで定められた法律 【異種族交流法】 この法に守られたり振り回されたりする異種族さん達が 少し変わった形で仲間と愚痴を言い合ったり駄弁ったり自慢話を押し付け合ったり そんな場面を切り取った作品です

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...