71 / 91
第四章 文化祭と秘密とJK
第65話 男一人で洒落たカフェは入りづらい問題
しおりを挟む
「貴重なご意見ありがとうございます。では、ご健闘をお祈りいたします」
取材を無事に終えて、サクヤが厨房にVサインを出す。
琴子と好美が、サクヤにVサインを返した。
「では先輩、他の屋台も回りますよ」
「おう。あの、ありがとうございました。ごちそうさまでした」
天城に引っ張られ、孝明は屋台に礼をいう。
琴子が、「ありがとうございます」と、小さく挨拶をした。
他の店も周り、今度こそ取材を終える。
別に、学校内で琴子と二人きりになりたいという欲求はない。
ただ、あんなよそよそいい琴子は、はじめて見た。
学校生活にも馴染んでいると思う。
「お前もう、現地解散でいいぞ。後はオレがやる」
天城は電車通勤なので、ここから駅に向かう方が早く帰れる。
「もうちょっとだけ、お付き合いします」
「そっか。じゃあ、適当にぶらつくぞ」
「お供します」
ドッと疲れが溢れ出した。どこかでブレイクしてから帰りたい。
天城も着いてくると言うので、遠慮せず引っ張っていく。
「おっ、あそこいいじゃん」
校門を出てすぐの所に、洒落たカフェを見つけた。
利用者は女性客が多い。しかも、分煙だ。
昭和遺産に、見事に令和風なリノベーションがなされていた。
「そうですね、ちょっと休みましょう」
腹が膨れている孝明は、レギュラーサイズのホットコーヒーのみで済ませる。
まだ余裕があるのか、天城は、バナナチーズケーキと豆乳ラテのセットを頼んだ。
「はあ、学生相手は疲れましたね。先輩の作戦が活きました」
「何が?」
「私を緊張させないためでもあったんですよね、先輩」
妙に、天城は拡大解釈していた。
「まあ、そう思うならそうだろ」
「先輩は変なところに気を回しすぎです。だから過剰にストレスを抱えるし、仕事も増えるんですよ」
ここまで絡んでくる天城も珍しい。いつもなら、仕事が終わったら即帰りで、誰とも話したがらないのに。
「天城よぉ。お前さっき、わざとやったろ?」
コーヒーで一息ついてから、孝明は天城を問い詰める。
「は? なんのことでしょう?」
食べ終わったチーズケーキの皿をどけて、天城は取材レポートをまとめていた。
「とぼけるなよな。今日、JKに食べさせただろーが」
「ああ、あれですか。私なりに気を利かせたつもりだったのですが」
「はあ?」
別に責めるつもりはない。
しかし、周りの目もある。教員の目に触れたら、あまりいい印象を与えないのでは。
「非モテの先輩には、よい刺激になったでしょ」
ふてぶてしい様子で、天城は豆乳ラテを飲んだ。口に白いヒゲを作る。
「それにしては、随分とJK慣れしているなーといった様子でしたが」
「気のせいだろ?」
孝明は視線をそらす。
取材を無事に終えて、サクヤが厨房にVサインを出す。
琴子と好美が、サクヤにVサインを返した。
「では先輩、他の屋台も回りますよ」
「おう。あの、ありがとうございました。ごちそうさまでした」
天城に引っ張られ、孝明は屋台に礼をいう。
琴子が、「ありがとうございます」と、小さく挨拶をした。
他の店も周り、今度こそ取材を終える。
別に、学校内で琴子と二人きりになりたいという欲求はない。
ただ、あんなよそよそいい琴子は、はじめて見た。
学校生活にも馴染んでいると思う。
「お前もう、現地解散でいいぞ。後はオレがやる」
天城は電車通勤なので、ここから駅に向かう方が早く帰れる。
「もうちょっとだけ、お付き合いします」
「そっか。じゃあ、適当にぶらつくぞ」
「お供します」
ドッと疲れが溢れ出した。どこかでブレイクしてから帰りたい。
天城も着いてくると言うので、遠慮せず引っ張っていく。
「おっ、あそこいいじゃん」
校門を出てすぐの所に、洒落たカフェを見つけた。
利用者は女性客が多い。しかも、分煙だ。
昭和遺産に、見事に令和風なリノベーションがなされていた。
「そうですね、ちょっと休みましょう」
腹が膨れている孝明は、レギュラーサイズのホットコーヒーのみで済ませる。
まだ余裕があるのか、天城は、バナナチーズケーキと豆乳ラテのセットを頼んだ。
「はあ、学生相手は疲れましたね。先輩の作戦が活きました」
「何が?」
「私を緊張させないためでもあったんですよね、先輩」
妙に、天城は拡大解釈していた。
「まあ、そう思うならそうだろ」
「先輩は変なところに気を回しすぎです。だから過剰にストレスを抱えるし、仕事も増えるんですよ」
ここまで絡んでくる天城も珍しい。いつもなら、仕事が終わったら即帰りで、誰とも話したがらないのに。
「天城よぉ。お前さっき、わざとやったろ?」
コーヒーで一息ついてから、孝明は天城を問い詰める。
「は? なんのことでしょう?」
食べ終わったチーズケーキの皿をどけて、天城は取材レポートをまとめていた。
「とぼけるなよな。今日、JKに食べさせただろーが」
「ああ、あれですか。私なりに気を利かせたつもりだったのですが」
「はあ?」
別に責めるつもりはない。
しかし、周りの目もある。教員の目に触れたら、あまりいい印象を与えないのでは。
「非モテの先輩には、よい刺激になったでしょ」
ふてぶてしい様子で、天城は豆乳ラテを飲んだ。口に白いヒゲを作る。
「それにしては、随分とJK慣れしているなーといった様子でしたが」
「気のせいだろ?」
孝明は視線をそらす。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ヘタレ女の料理帖
津崎鈴子
大衆娯楽
突然失恋し、職場も飛び出した人生どん底状態のユキ(27)が、いろんな人との交流を経て自分を見つめる日常です。時々、子供でも簡単に出来そうな料理を作る場面が出てきます。(この作品は、小説家になろうで公開されているものに加筆修正して投稿しております)
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生になっちゃって――Hがダメならゲーム感覚で男を落とすしかないでしょっ!【完結】
青海老圭一
大衆娯楽
石橋を叩いて壊す性格の素人童貞大崎マコト、気づけば雑居ビルの個室ビデオ屋からVRアダルトゲームの世界に迷い込んでしまった。そこには魅力的な女子生徒が揃っていたが、当の本人も女子高生になってしまっていて――。仕方がないので男子生徒を攻略対象にするが、こっちはこっちでイケメン揃い! でもフィクションの世界ならこっちのもんだ。大胆不敵に攻略するよッ!
GOOD-BYE HONEY
野良にゃお
大衆娯楽
さよならハニー
雨雲が 夜の空を覆い
幾つもの 冷たい粒を落とす
その粒の 幾つかに叩かれ
吐く息が 白く靄がかる
ウチは今 想い人に寄り添われ
町を出る
追われる身となる前に
視線を向けると
笑顔で包み込んでくれた
ウチは頼りないけれど 誰にも渡したくない
漸くこうして 叶ったのだから
知ってしまったの もう忘れられないのよ
過ちの先で 結ばれたとしても
泣いてなんかない 頬を伝うのは雨
失いたくないの
進み行く この道は険しくて
行くあては 何一つ浮かばない
けれどでも 期待せずにいられない
温もりが 未来を照らす
ウチはもう 後戻りデキない
咎を背負い
その代わり愛を得た
いつまでこうして
二人でいられるのだろうか
ウチは頼りないけれど 誰にも渡したくない
漸くこうして 叶ったのだから
知ってしまったの もう忘れられないのよ
過ちの先で 結ばれたとしても
泣いてなんかない 頬を伝うのは雨
失いたくないの
寂しかったのよ
ずっと苦しかったのよ
悲しかったのよ
アナタとこうなるまでは
ウチは頼りないけれど 誰にも渡したくない
漸くこうして 叶ったのだから
知ってしまったの もう忘れられないのよ
過ちの先で 結ばれたとしても
雨上がり夜の空 流れ星を見る
届け ウチの声
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる