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第四章 文化祭と秘密とJK
第51話 残り物で作った丼はクセになる問題
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他の野菜も肉も、めんつゆの味を取り込んで、互いの味を引き立てている。
「中でも、糸コンニャクが最高だな」
これを白飯の上に載せて食べると、格別なのだ。
「大将、玉子を」
孝明は半ライス分だけ、丼に残す。
残った肉じゃがを丼に載せて、玉子と一緒にかき混ぜた。
混ぜた肉じゃがごはんを、一気にかきこむ。
「わーっ。それ、あたしも試そっと」
琴子も、孝明と同じように、肉じゃがとライスを玉子で絡ませる。
「残り物を食うときはこうやっていたんだ」
「これは、お腹いっぱいになるね!」
気分的にも、十分満足できるレシピだ。
「もっとすき焼きっぽい味にもできるけどな。それなら、すき焼きを食う方がいい」
「だな。肉じゃがとは別の料理だ」
玉子を、肉じゃが鍋の中で茹でてしまってもいい。
「これでいつでも嫁に行けるよ」
「でも、進路希望表に書くのはやめとけよ」
「もーっ、いつの話よそれーっ」
急に、琴子が箸を置く。
「言い忘れてた。コメくん、家の場所を教えて」
孝明は、箸を落としかけた。
「なんだと?」
「だってさ、何があるか分からないじゃん。付き合ってるんだから、いいでしょ?」
「あ、ああ」
食事を終えて、孝明は部屋へ案内する。
駅から歩いて十数分の所だ。大衆食堂の方が近い。
「ここがデパートな。そこを左に曲がると我が家だ」
今日は買い足す物はない。なので、二階建てのデパートへは入らず、通り過ぎた。
一〇階建てマンションの三階に、孝明は住んでいる。
「入れないからな。場所を教えるだけ」
「それでいいよ」
「ここだ。カギをくれとか言うなよ」
さすがに、JKにカギは預けられない。
地図をメモした紙を、琴子に渡す。
「覚えたか?」
「細かいね。これなら、一人でもこっちに来られそう」
道に迷われると面倒なので、なるべく詳細に記載した。
「迷ったら連絡入れろ。迎えに行くから」
「へへーん。大丈夫だって」
琴子は既に、孝明の住所を地図アプリに記録している。さすが現代っ子だ。
孝明のマンションは、割と覚えやすい場所にあるから、大丈夫だろう。
「もう遅いから、送っていく」
「ありがと」
琴子の家は、孝明のマンションとは逆方向だ。
暗がりの中を、琴子と共に歩く。
「せっかくだからさ、あたしの部屋も見る?」
孝明は、しばし考えた。
「いや、遠慮しておく」
交際しているのだ。いずれは、見に行くことになるかも知れない。
が、今ではない気がする。理性を保てる自信もない。
「お楽しみはとっておく?」
「バカ言え」
駅でタクシーを拾い、琴子を載せる。
「じゃあな。風邪引くなよ」
「おやすみ」
孝明は、琴子を乗せたタクシーを見送った。
「中でも、糸コンニャクが最高だな」
これを白飯の上に載せて食べると、格別なのだ。
「大将、玉子を」
孝明は半ライス分だけ、丼に残す。
残った肉じゃがを丼に載せて、玉子と一緒にかき混ぜた。
混ぜた肉じゃがごはんを、一気にかきこむ。
「わーっ。それ、あたしも試そっと」
琴子も、孝明と同じように、肉じゃがとライスを玉子で絡ませる。
「残り物を食うときはこうやっていたんだ」
「これは、お腹いっぱいになるね!」
気分的にも、十分満足できるレシピだ。
「もっとすき焼きっぽい味にもできるけどな。それなら、すき焼きを食う方がいい」
「だな。肉じゃがとは別の料理だ」
玉子を、肉じゃが鍋の中で茹でてしまってもいい。
「これでいつでも嫁に行けるよ」
「でも、進路希望表に書くのはやめとけよ」
「もーっ、いつの話よそれーっ」
急に、琴子が箸を置く。
「言い忘れてた。コメくん、家の場所を教えて」
孝明は、箸を落としかけた。
「なんだと?」
「だってさ、何があるか分からないじゃん。付き合ってるんだから、いいでしょ?」
「あ、ああ」
食事を終えて、孝明は部屋へ案内する。
駅から歩いて十数分の所だ。大衆食堂の方が近い。
「ここがデパートな。そこを左に曲がると我が家だ」
今日は買い足す物はない。なので、二階建てのデパートへは入らず、通り過ぎた。
一〇階建てマンションの三階に、孝明は住んでいる。
「入れないからな。場所を教えるだけ」
「それでいいよ」
「ここだ。カギをくれとか言うなよ」
さすがに、JKにカギは預けられない。
地図をメモした紙を、琴子に渡す。
「覚えたか?」
「細かいね。これなら、一人でもこっちに来られそう」
道に迷われると面倒なので、なるべく詳細に記載した。
「迷ったら連絡入れろ。迎えに行くから」
「へへーん。大丈夫だって」
琴子は既に、孝明の住所を地図アプリに記録している。さすが現代っ子だ。
孝明のマンションは、割と覚えやすい場所にあるから、大丈夫だろう。
「もう遅いから、送っていく」
「ありがと」
琴子の家は、孝明のマンションとは逆方向だ。
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「せっかくだからさ、あたしの部屋も見る?」
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「いや、遠慮しておく」
交際しているのだ。いずれは、見に行くことになるかも知れない。
が、今ではない気がする。理性を保てる自信もない。
「お楽しみはとっておく?」
「バカ言え」
駅でタクシーを拾い、琴子を載せる。
「じゃあな。風邪引くなよ」
「おやすみ」
孝明は、琴子を乗せたタクシーを見送った。
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