上 下
28 / 91
第二章 JKと幼なじみ人妻教師

第25話 焼き鳥はタレと塩のどっち問題 その2

しおりを挟む
「あの大衆食堂で話すだけだ。その日も、大将が休みでな。厨房を借りて夕飯を一緒に作っていただけだ」
「ウソだろ?」
「ホントに、ただの知り合いなんだ。別にやましい関係じゃない」

 お互いに連絡先こそ知っているが、甘酸っぱい関係ではないと言い切れる。

「普通、ありえねえだろ。まあ、お前ならありえるかも。三〇過ぎて彼女いない歴=年齢だもんな」

 ほっといて欲しい。だが、このまま建一の誤解を解きたいのもある。

「相手にカレシがいる気配は?」

 それは、考えていなかった。

 朝と夜とで大衆食堂に入るような女子に、男なんていないだろう。
 琴子は、意識してくれているのだろうか。


「俺が手を出すと思ってるか? 冗談じゃない。ガキは趣味じゃねえんだよ。俺はね、酒好きの女が好きなの。一緒に晩酌してくれる奥さんって、最高じゃん? 俺もう、毎晩帰ってきちゃう!」
 うへへえ、とだらしなく建一が笑う。


 建一の好みなんぞ、聞いていない。しかし、満足するまで語らせておく。

「未成年を飲ませる趣味もない。ムリヤリ飲ませりゃアルコールが回って楽しめるだろ、って思ってるヤツはバカなんだよ。童貞と同じ発想だ。ただ、自分だけ気持ちよくなりたいだけの思考なんだよ。まず相手を満足させろっての」
 建一のハイボールが、四杯目に突入した。

「オレとは、一緒に飲んでくれるんだな」
「お前と一番、話が合うしな」
「けどさ、あの子。どっかで見たことあるんだよなー」

 頭を抱えながら、建一がグラスに視線を没入させる。
 ハッと閃いたかのように、顔を上げた。

「あ、女優の! なんつったっけなー。忘れた。でも、有名な人なんだよ」

 なんでも十七年前、とある映画監督が女優に子どもを産ませたという。
 その女優も、当時十七歳だったそうな。ちなみに、監督は所帯持ちである。

 琴子も十七歳だ。つじつまは合う。

「その女優は子育てで、十年以上現役を退いたんだ。でも、最近になってまたスターに返り咲いたんだと。子どもほっぽり出してさ」

 記憶が正確ではないが、ちょうど一年ほど前だったらしい。

「今は、その女優ってどうしてるんだ?」
「監督と一緒に、海外で映画の撮影してるはずだよ」
 シングルマザーのスターだ。日本だとマスコミがうるさい。
 そのため、活動の場を海外へ移したという。

「籍は?」
「入れてなかったような」

 普通の経営者なら大抵、時間は作れるモノだ。
 子どもの行事があれば飛んでこられるだろう。
 だが、映画監督のように「替えが利かない分野の金持ち」だと、そうはいかない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

女手二つ ~母の再婚相手が女性だった件~

smart
大衆娯楽
高校一年生になった鳳洸太の母が再婚した。初の顔合わせの場で現れた再婚相手は女性だった。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...