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第一章 幼少期編 まだ主人公がションベン臭いガキだった頃の話

バカにしてくるクラスメイトに鉄槌を

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 以後、ジョシュアは魔法の訓練を受けては、リヨのシッポに抑え込まれる毎日を送っていた。

 そんな日が、三ヶ月ほど続く。

 ある時のこと。ジョシュアはいつものように、リヨにタコ殴りにされていた。

「もう、あきらめたら?」
「なんの。これくらい」
「アンタとアタシの実力差は、そんな簡単に埋まらないって」
「勝てなくてもいい。せめて土をつけるくらいには強くなりたい」

 ズボンに付いた草を払って、ジョシュアはまた殴りかかる。

 しかし、渾身の右フックはスカった。カウンターで投げ飛ばされる。

「うーん、なんで当たらないんだろう?」

 草むらで大の字になっていると、リヨの脚が腹に乗っかった。

「スピードは早くなったけど、狙いが中途半端なのよ」

 リヨが、ポヨポヨの腹を踏んづける。

「おいおいやめろって」
「あー、気持ちいい。ネコの肉球触るよりいいわ」

 どうにか振りほどこうと、ジョシュアはもがく。

「アハハ! だっせ!」

 学校のクラスメイトが、リヨに足蹴にされているジョシュアを見て笑った。

「あいつペットにいいように翻弄されてるぜ! 情けねえ!」

 一番長身のイケメンが、ひときわジョシュアを罵倒する。

「今なんて言ったのガキ?」

 その長身の首を、いつの間にかリヨが掴んでいた。軽々と持ち上げる。

 一瞬でこちらまで移動してきたリヨに対し、クラスメイトたちが怯えきった。

「放せよ! 召喚獣の分際で!」

 脚をバタバタさせながら、長身のクラスメイトがリヨにつっかかる。

「人の分際で、このフェンリルに楯突くの?」

 フェンリル、その名を聞いてクラスメイトたちが凍りつく。その気になれば、スナック感覚で街を氷山へと変えてしまえる怪物を前にして。

「アンタたちがバカにしているコイツは、このフェンリル様を呼び出したの? アンタたちのパパママでさえ、束になってもかなわないでしょうね? なんなら試してあげてもいいのよ?」

 イケメンの首筋に、本当に冷気が流れ込んだ。凍らせる気だ。

「いいこと? ジョシュアをからかっていいのはアタシだけなの。もし彼をおちょくってみなさい。その首が雪だるまの頭になるから。親に言いつけるのもナシね。あなたたちだって、大切なご家族を氷像になんてされたくないでしょ?」

 リヨに脅されて、イケメンは涙目になりながら何度も首肯した。

「よくできました」

 氷魔法を解除し、リヨがイケメンから手を離す。

 クラスメイトたちは、怪物を見る目で逃げ出した。

「アンタたち! 今度、ウチのジョシュアと試合なさい! 勝ったらアタシがさっきのことを土下座してあげる! 期日は明日!」

 ジョシュアたちとの距離が遠くになって、クラスメイトたちがジョシュアに中指を突き立てる。

「そんな約束していいの? ボク、殺されちゃうよ!」
「いいわ。あんな子は本気で叩き潰さないとわかんないから。殺すつもりで、おやりなさい」

 
 翌日、魔法科学校で助手後クラスメイト三人との決闘が行われた。

 みんな、クラスメイトを応援している。誰もジョシュアなんて見ていない。

 ミラだけが、ジョシュアに声援を送ってくれていた。

 リヨはのん気に観客席で足を組んで、隣の女子を口説いている。

「いいの?」

 リヨに、ジョシュアはアドバイスを求める。

「好きにおやりなさい。相手は三人もいるのよ」

 無情にも先生が立ち会い、本番に。

「ファイアーボ」

 相手が魔法を撃ち出す瞬間、ジョシュアは飛び出す。脚に魔力を貯めて加速した後、魔力のこもった拳を三人に叩き込む。

 勝負は、一瞬で決まった。リヨと戦うより、簡単な動作でしかない。本当にジョシュアは、クラスメイトたちを叩きのめしてしまう。

 観客席が、静まり返っていた。
 ミラだけが、手を叩いて喜んでくれている。
 
 リヨが特訓してくれた成果もあり、ジョシュアは学校でからかわれなくなった。
 
 同時に、孤立してしまったが。
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