32 / 48
第五問 ガウチョは何語? ~クイズ番組研究部の休日~
番組研、ちょっとしたピンチ!
しおりを挟む
鋭い視線が、僕に突き刺さる。
「福原! どうして教えてくれなかったのさ!」
西畑は、「逆光になってようやく判明した」と弁解した。
「別に西畑君はいいんだよ。、今ウチの格好を見たんだから! 福原はずっと見てたんだろ?」
「お前はそういうの気にしないタイプなんだな、って思ってたんだよ!」
「気にするよ! プライベートなら構わないよ? でも撮影だったら話は別だっての!」
半分涙目になって、湊が訴えかけてくる。
「悪かったよ。撮影は中止にするから」
「やだ。着替えて出直してくる」
彼女が着替え終わるまで、撮影は中断になった。
のんが湊についていくことに。
それにしても、あんな湊は初めて見た。
普段からは想像できない一面を見て、嘉穂さんでさえ面食らっている。
ボケ回答といい、湊は案外、照れ屋なのかも知れないな。
「いえーい! おまたせーっ!」
数分後、湊はデニムのジャケットを腰に巻いて戻ってきた。
「いやあ、お騒がせしたね」
「大丈夫か?」
僕が聞くと、湊は頭をかきながらOKサインをしてくる。
「では気を取り直して、おそとでクイズ、再開します!」
「いえーい!」
みんな元気がいいな……。
「第一問! 二〇一五年に三〇周年を迎えたバック・トゥ・ザ・フューチャー。その音楽を担当した音楽家、アラン・シルヴェストリが音楽を担当した作品、四つ答えて下さい。どうぞ!」
「えーっと、アベンジャーズ!」と、のん。
「正解」
最近クイズを勉強しているのんには、優しい問題だったか。
「レディ・プレイヤー・ワン!」
やなせ姉も正解だ。最近の映画もおさえているとは。
「えーっと、あの、あの、あっ! フォレストガンプ!」
何度も指を振って、ようやく嘉穂さんが正解。芸能音楽ジャンルはまだ苦手らしい。
「これは答えた方が面白いかな?」
「面白いですよ名護湊選手。答えちゃって下さい!」
「福原が言うなら、わかった。特攻野郎Aチーム THE MOVIE」
僕は、マイクを湊にズイッと向ける。
「……名護選手、今ボケたつもりで言いましたよね?」
湊はニヤリと笑って応答した。
「正解です!」
「マジか。当てちゃった。まあいいや」
プレッシャーの中でもボケようとするスピリッツは称賛に値するなぁ。
「では、第二問。ズバリ、『四大財閥』と言えば?」
全員が「は?」といった顔になる。
「三大財閥じゃなくて? ウチらたぶん、そう教わってるはずだけど?」
「はい。四大財閥です」
僕はスマホを用意して、タイマーのアプリを作動した。
時計の針が音を鳴らす。
「えっと、行くぞー。三井だ!」
「次、ワタシね? 三菱」
のんと、やなせ姉が連続して正解した。
嘉穂さんが後ろに下がる。が、湊が後を譲り返す。
「わたし、いいんですか? 住友です」
「はい。では、最後に湊選手、どうぞ!」
「五郎丸!」
「不正解。五郎丸は、のんの今着てるヤツ!」
のんが背番号を見せびらかす。
ちなみに、正解は『安田』である。
「これで後がなくなってしまった、番組研!」
「さて、単独ビデオインタビューに一歩近づきましたが?」
なぜか、解答者役の湊が司会進行を始めた。
「では、津田選手、今の感想を一言でどうぞ!」
「福原くんの目が怖いです!」
湊からマイクを取り上げる。
「こらこら、勝手に司会進行するなっての」
気を取り直して、次の問題へ。
「第三問! 海に面していない都道府県、八つお答え下さい!」
「うっわ、わかんね」
のんが頭を抱え始めた。
「適当に答えて。のんちゃん」
「うーん、じゃあ奈良!」
なんと正解。当てずっぽうでも答えるものだ。
「滋賀県も確か、そうだったような気がするなぁ」
「山梨……」
やなせ姉と嘉穂さんが正解。
「栃木?」
「のわー、どうすればいいんだ!」
一巡して、のんがパニックになってしまう。
「さて、これで小宮山選手が正解を答えられなければ、番組研の敗けが確定してしまいます! どうなる番組研!」
だが、のんは頭を抱えたままフリーズしている。
このまま、番組研の敗北は決定したかに思われた。
「ぐんまっ」
どこからともなく子供の声が。
声の主は、広場でお弁当を広げていた大家族だ。
集団の中から、幼稚園児くらいの少女がテクテクと抜け出てくる。
僕達がやっていたクイズに参加してるつもりで、答えを言っててしまったらしい。
「おい、こら」
少女の兄らしき少年が、答えを言ってしまった少女の口を塞いでいる。
「あ、あれ……」
僕は思わず、声を漏らしてしまう。
彼は、僕たちの旧友だ。小学校当時の。
僕と慶介を交互に見た後、旧友は視線を逸らす。
「カメラ止めるか、福原?」
「待って」
トラブルに対処しようとした慶介を僕は制した。
旧友に声を掛けようか、掛けまいか。
「知り合いか?」
のんが無邪気に尋ねてきた。
「ええ、まあ。そんなところだよ」
自分で言って、声が震えてる事に気づく。ここまで、動揺していたなんて。
「二人とも、悪かったな」
強引に少女を引き連れて、旧友は去って行こうとした。
「待って下さい!」
少女の手を取り、嘉穂さんは少女を呼び止める。
「福原! どうして教えてくれなかったのさ!」
西畑は、「逆光になってようやく判明した」と弁解した。
「別に西畑君はいいんだよ。、今ウチの格好を見たんだから! 福原はずっと見てたんだろ?」
「お前はそういうの気にしないタイプなんだな、って思ってたんだよ!」
「気にするよ! プライベートなら構わないよ? でも撮影だったら話は別だっての!」
半分涙目になって、湊が訴えかけてくる。
「悪かったよ。撮影は中止にするから」
「やだ。着替えて出直してくる」
彼女が着替え終わるまで、撮影は中断になった。
のんが湊についていくことに。
それにしても、あんな湊は初めて見た。
普段からは想像できない一面を見て、嘉穂さんでさえ面食らっている。
ボケ回答といい、湊は案外、照れ屋なのかも知れないな。
「いえーい! おまたせーっ!」
数分後、湊はデニムのジャケットを腰に巻いて戻ってきた。
「いやあ、お騒がせしたね」
「大丈夫か?」
僕が聞くと、湊は頭をかきながらOKサインをしてくる。
「では気を取り直して、おそとでクイズ、再開します!」
「いえーい!」
みんな元気がいいな……。
「第一問! 二〇一五年に三〇周年を迎えたバック・トゥ・ザ・フューチャー。その音楽を担当した音楽家、アラン・シルヴェストリが音楽を担当した作品、四つ答えて下さい。どうぞ!」
「えーっと、アベンジャーズ!」と、のん。
「正解」
最近クイズを勉強しているのんには、優しい問題だったか。
「レディ・プレイヤー・ワン!」
やなせ姉も正解だ。最近の映画もおさえているとは。
「えーっと、あの、あの、あっ! フォレストガンプ!」
何度も指を振って、ようやく嘉穂さんが正解。芸能音楽ジャンルはまだ苦手らしい。
「これは答えた方が面白いかな?」
「面白いですよ名護湊選手。答えちゃって下さい!」
「福原が言うなら、わかった。特攻野郎Aチーム THE MOVIE」
僕は、マイクを湊にズイッと向ける。
「……名護選手、今ボケたつもりで言いましたよね?」
湊はニヤリと笑って応答した。
「正解です!」
「マジか。当てちゃった。まあいいや」
プレッシャーの中でもボケようとするスピリッツは称賛に値するなぁ。
「では、第二問。ズバリ、『四大財閥』と言えば?」
全員が「は?」といった顔になる。
「三大財閥じゃなくて? ウチらたぶん、そう教わってるはずだけど?」
「はい。四大財閥です」
僕はスマホを用意して、タイマーのアプリを作動した。
時計の針が音を鳴らす。
「えっと、行くぞー。三井だ!」
「次、ワタシね? 三菱」
のんと、やなせ姉が連続して正解した。
嘉穂さんが後ろに下がる。が、湊が後を譲り返す。
「わたし、いいんですか? 住友です」
「はい。では、最後に湊選手、どうぞ!」
「五郎丸!」
「不正解。五郎丸は、のんの今着てるヤツ!」
のんが背番号を見せびらかす。
ちなみに、正解は『安田』である。
「これで後がなくなってしまった、番組研!」
「さて、単独ビデオインタビューに一歩近づきましたが?」
なぜか、解答者役の湊が司会進行を始めた。
「では、津田選手、今の感想を一言でどうぞ!」
「福原くんの目が怖いです!」
湊からマイクを取り上げる。
「こらこら、勝手に司会進行するなっての」
気を取り直して、次の問題へ。
「第三問! 海に面していない都道府県、八つお答え下さい!」
「うっわ、わかんね」
のんが頭を抱え始めた。
「適当に答えて。のんちゃん」
「うーん、じゃあ奈良!」
なんと正解。当てずっぽうでも答えるものだ。
「滋賀県も確か、そうだったような気がするなぁ」
「山梨……」
やなせ姉と嘉穂さんが正解。
「栃木?」
「のわー、どうすればいいんだ!」
一巡して、のんがパニックになってしまう。
「さて、これで小宮山選手が正解を答えられなければ、番組研の敗けが確定してしまいます! どうなる番組研!」
だが、のんは頭を抱えたままフリーズしている。
このまま、番組研の敗北は決定したかに思われた。
「ぐんまっ」
どこからともなく子供の声が。
声の主は、広場でお弁当を広げていた大家族だ。
集団の中から、幼稚園児くらいの少女がテクテクと抜け出てくる。
僕達がやっていたクイズに参加してるつもりで、答えを言っててしまったらしい。
「おい、こら」
少女の兄らしき少年が、答えを言ってしまった少女の口を塞いでいる。
「あ、あれ……」
僕は思わず、声を漏らしてしまう。
彼は、僕たちの旧友だ。小学校当時の。
僕と慶介を交互に見た後、旧友は視線を逸らす。
「カメラ止めるか、福原?」
「待って」
トラブルに対処しようとした慶介を僕は制した。
旧友に声を掛けようか、掛けまいか。
「知り合いか?」
のんが無邪気に尋ねてきた。
「ええ、まあ。そんなところだよ」
自分で言って、声が震えてる事に気づく。ここまで、動揺していたなんて。
「二人とも、悪かったな」
強引に少女を引き連れて、旧友は去って行こうとした。
「待って下さい!」
少女の手を取り、嘉穂さんは少女を呼び止める。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
不眠症の上司と―― 千夜一夜の物語
菱沼あゆ
ライト文芸
「俺が寝るまで話し続けろ。
先に寝たら、どうなるのかわかってるんだろうな」
複雑な家庭環境で育った那智は、ある日、ひょんなことから、不眠症の上司、辰巳遥人を毎晩、膝枕して寝かしつけることになる。
職場では鬼のように恐ろしいうえに婚約者もいる遥人に膝枕なんて、恐怖でしかない、と怯える那智だったが。
やがて、遥人の不眠症の原因に気づき――。
もう一度『初めまして』から始めよう
シェリンカ
ライト文芸
『黄昏刻の夢うてな』ep.0 WAKANA
母の再婚を機に、長年会っていなかった父と暮らすと決めた和奏(わかな)
しかし芸術家で田舎暮らしの父は、かなり変わった人物で……
新しい生活に不安を覚えていたところ、とある『不思議な場所』の話を聞く
興味本位に向かった場所で、『椿(つばき)』という同い年の少女と出会い、ようやくその土地での暮らしに慣れ始めるが、実は彼女は……
ごく平凡を自負する少女――和奏が、自分自身と家族を見つめ直す、少し不思議な成長物語
星降る夜の、空の下
高嶺 蒼
ライト文芸
高校卒業から10年目の同窓会。
見知らぬ美女が現れてざわめく会場。
ただ1人、主人公だけはその美女が誰か気が付いて、驚きに目を見開く。
果たしてその美女の正体とは……?
monogataryというサイトにて、「それ、それずーっと言って欲しかったの
」というお題で書いた短編です。
峽(はざま)
黒蝶
ライト文芸
私には、誰にも言えない秘密がある。
どうなるのかなんて分からない。
そんな私の日常の物語。
※病気に偏見をお持ちの方は読まないでください。
※症状はあくまで一例です。
※『*』の印がある話は若干の吸血表現があります。
※読んだあと体調が悪くなられても責任は負いかねます。
自己責任でお読みください。
拝啓、259200秒後の君へ
野々峠ぽん
ライト文芸
死んでしまった藤間光は、同じフジマヒカリという名を持つ人物の死の運命をかたがわりしたのだと知る。
冥界法にて肩代わりさせられたものは、生き返るチャンスを得ることができる。
その条件は、死ぬ三日前に戻り、自分を嵌めたものを特定すること。
あやしいのは、同じ学校の五人。そのうちの二人は光の親友である。
光は、新入死人管理局員のジンロンの管理のもと、生き返りをかけた調査にのりだしていく。
ファンタジー要素ありの、学園青春ミステリーです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる