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第三問 『ブタの貯金箱』の正式名称は? ~クイズ王 対 出題者の実姉~

『ブタの貯金箱』の正式名称は?

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「次は、写真問題です。写っているモノの名前を当ててくださいね」

『問題です。俗に言う「ブタの貯金箱」の正式名称を書いて下さい』

「あんなのにちゃんとした名前があるのかーっ?」

 これは、のんでもさすがに分からないらしい。
「BUTABAKO」と書いて、不正解をたたき出す。



 で、湊が書いた不正解の解答がこちら。


「卑しいだけのメス豚」


「はああああ!? 妙に生々しいわ!」
 
 最後に残ったのは、昌子姉さんの解答だけだ。
 
 昌子姉は、ずっとニヤニヤしている。
 フリップで顔を隠し、僕をチラチラ見ていた。
 
 何か企んでるな、と思いつつ、僕はフリップを覗き込んだ。

「おい……」

 姉さんの解答を見て、思わず吹き出してしまう。
 ああ、病気が出たな、と。

「書き終わりました福原昌子選手。さあ、見せてみろ」

 姉さんが、フリップを見せた。

『搾取されるのを待つだけの豚』


「はああああ!? てめえふざけんな!」

 姉さんの解答を見て、全員が吹き出す。

 僕は、ピコピコハンマーで姉さんの頭を軽く叩く。
 痛くない程度に、しかし、程良い音が鳴るくらい。
 来ると分かっていただけに、手慣れたものだ。
 嘉穂さんが書いた正解の解答が、こちらである。
 
 姉さんは、湊に負けず劣らずの「ボケ解答好き」なのである。


「くくく、くわあははははは! あああーあははあーっ!」


 口を押さえ、嘉穂さんがお腹を抱えている。

「もうだめ、ずっと我慢していたけど、げ、限界。はひひ、はひ、はひひひ……」

 周囲が引くくらい、嘉穂さんは大笑いした。
 大笑いした後、クスクスクスと、笑いを堪えている。お腹を押さえ、身もだえながら。

「大丈夫ですか、津田選手?」と問いかけても、嘉穂さんは首を振るだけ。

 しばらく収録をストップし、嘉穂さんのゲラ癖が収まるのを待つ。
 そういえばゲラだったな、嘉穂さんって。
 最後に、嘉穂さんの解答だ。

 彼女にバシッと決めてもらおうじゃないか。


『資本主義の豚』


「おまえもかあああああああああああ!」

 僕は思わず、嘉穂さんをピコハンで叩いてしまう。

「なんでだ? 間違ってないだろ?」

「そうだけどさぁ姉さん! 確かに資本主義が産んだ豚だけどさぁ!」

 嘉穂さんのゲラが収まるのを待って、次の問題へ。
 
「よろしいですね。では、次の問題。また写真が出ますので、その正式名称をお答えください」

 三分後、僕の合図と共に、やなせ姉が出題を再開した。
 
『問題。西部劇などで目にする、風に乗って転がる藁のような植物を何と言うでしょう?』
 
 のんの答えは「オカヒジキ」。なんとこれが正解、大正解である。

「知っていましたか、今の答え?」

「え……」と、自分でも信じられないという顔をする。

「何か、ヒジキっぽかったのだ」
「いや、でもすごいですよ。正解ですから」
「そうか、えへへぇ」

 頭を掻きながら、のんが照れる。
 続いては嘉穂さんの答え。

「タンブルウィード。津田さんも正解です」

 回転草、またの名をタンブルウィードと言う。
 湊の出した解答は「陸マリモ」。言いたいことは分かるが不正解。

「あの、姉さん……」

 昌子姉さんの出した答えは、「アルベド」である。

「それ、ミカンのスジの事じゃねーか! テメエも番組潰す気か!?」

 僕はプリプリと怒った。

「ちょ、晶太、何キレてるの?」

 僕のキレた意味が分からず、姉が動揺する。

「ウチがボケた解答が、次の問題の答えだった事があったんスよ」

 湊の悪夢再び。

「アルベド」は次の問題で出す予定だったのだ。また差し替えないと。

「そんなの黙ってたら済む話じゃん!」と、姉が逆ギレ。
「そういうワケにはいかないの!」と、僕も言い返す。

 またしても、嘉穂さんが笑い出した。
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