63 / 64
第六章 激突、鬼怨組との決闘!
第63話 結婚式
しおりを挟む
「キレイだなあ……」
あたしは、玉蘭さんの白無垢姿を見て、うっとりする。
「モモ。あんた、着たいの?」
はるたんが、あたしの腕を肘で小突く。
「あんたに特別な相手なんて、いたっけ?」
「別にうらやましくはないが、あそこまでキレイだと見とれてしまうなーって」
「そうよねぇ。白無垢があって、よかったわね」
玉蘭さんが着るはずだったウェディングドレスは、イバラに燃やされてしまった。
路頭に迷っていた麝香学園に、駄菓子屋のおばあちゃんが白無垢を持ってきたのである。「大昔に着たものがあったから」と。
玉蘭さんが今着ている白無垢は、駄菓子屋おばあちゃんのお古である。
「お古でも、めちゃキレイだな」
普段男勝りなピオニも、今日はどこかメスい。
「……イバラが欲しがるのも、わかるわ」
実はイバラが合宿を襲撃していたのは、玉蘭さんが目当てだったのだ。
イバラは玉蘭さんに一目惚れして、交際を迫っていたという。
しかしその時点で、玉蘭さんは嵐山会長との結婚が決まっていた。
それでもイバラはあきらめず、合宿への嫌がらせを始める。「嫌がらせを止めたければ、自分と結婚しろ」と。
麝香学園は、それでも合宿を続行した。事情を伏せて。
だが、一人だけその事実を知っているものがいた。睡蓮 ティナである。
勇者連合の密偵として、彼女は麝香学園の調査を行っていた。
合宿最終日に事実をあたしたちに告げて、あたしは行動に出たのである。
「イバラはシカトしようぜ」と。
デリオン姫のリスナーに一部いた、女性人権団体がブチギレ。未だに、彼女たちの怒りは収まっていない。
彼女たちの活動が世論を動かしたのか、イバラには、懲役百年が言い渡された。
三〇分ですら音を上げるドラゴンの胃袋に、イバラは百年間ずっと過ごさなければならない。
それだけのことをしたのである。イバラは二度と、この島の土を踏めなくなった。
結婚式が終わって、夕飯に。
立食形式で、高級旅館の料理が並ぶ。
さっそくピオニが、丸型に握られた寿司に手を出した。
デリオン姫は従者の綿毛に、茶碗蒸しをあーんしてもらっている。
~~~~~ ~~~~~ ~~~~~
野呂先輩は、恋人である蓮川先輩に、ローストビーフをよそっていた。
「金盞花さん。それにしても校長は、どうして若い頃に先走ったんだろう?」
「とある少女に、いいところを見せたかったのよ」
その女性は、後にモモの母親になった。
まあ今でも彼女は、校長を許していないらしい。
「モモって、それからも冒険者にケンカを売るのが日課になっているわ」
あっちに強い冒険者がいるなら、探索より戦闘を優先する。
こっちに強いキラーがいるなら、攻略そっちのけで倒しにいく。
そんな性格のせいで、あちこちのダンジョンで出禁を食らった。
「あの子はダンジョンが好きっていうのもあるけど、あの子の一番の目的は、とにかく冒険者を殴ること」
自分の父親を壊した冒険者に、憎しみを持っている。
ダンジョンが好きな自分と、冒険者を嫌う自分の間で揺れていた。
それが、七星 洲桃という女であり、アイデンティティなのだ。
「僕たちは明日帰るけど、キミたちも一緒にどうだい? ピオニも喜ぶよ」
「ウチはもう一日だけ、モモとダンジョンを回るわ」
あたしは、玉蘭さんの白無垢姿を見て、うっとりする。
「モモ。あんた、着たいの?」
はるたんが、あたしの腕を肘で小突く。
「あんたに特別な相手なんて、いたっけ?」
「別にうらやましくはないが、あそこまでキレイだと見とれてしまうなーって」
「そうよねぇ。白無垢があって、よかったわね」
玉蘭さんが着るはずだったウェディングドレスは、イバラに燃やされてしまった。
路頭に迷っていた麝香学園に、駄菓子屋のおばあちゃんが白無垢を持ってきたのである。「大昔に着たものがあったから」と。
玉蘭さんが今着ている白無垢は、駄菓子屋おばあちゃんのお古である。
「お古でも、めちゃキレイだな」
普段男勝りなピオニも、今日はどこかメスい。
「……イバラが欲しがるのも、わかるわ」
実はイバラが合宿を襲撃していたのは、玉蘭さんが目当てだったのだ。
イバラは玉蘭さんに一目惚れして、交際を迫っていたという。
しかしその時点で、玉蘭さんは嵐山会長との結婚が決まっていた。
それでもイバラはあきらめず、合宿への嫌がらせを始める。「嫌がらせを止めたければ、自分と結婚しろ」と。
麝香学園は、それでも合宿を続行した。事情を伏せて。
だが、一人だけその事実を知っているものがいた。睡蓮 ティナである。
勇者連合の密偵として、彼女は麝香学園の調査を行っていた。
合宿最終日に事実をあたしたちに告げて、あたしは行動に出たのである。
「イバラはシカトしようぜ」と。
デリオン姫のリスナーに一部いた、女性人権団体がブチギレ。未だに、彼女たちの怒りは収まっていない。
彼女たちの活動が世論を動かしたのか、イバラには、懲役百年が言い渡された。
三〇分ですら音を上げるドラゴンの胃袋に、イバラは百年間ずっと過ごさなければならない。
それだけのことをしたのである。イバラは二度と、この島の土を踏めなくなった。
結婚式が終わって、夕飯に。
立食形式で、高級旅館の料理が並ぶ。
さっそくピオニが、丸型に握られた寿司に手を出した。
デリオン姫は従者の綿毛に、茶碗蒸しをあーんしてもらっている。
~~~~~ ~~~~~ ~~~~~
野呂先輩は、恋人である蓮川先輩に、ローストビーフをよそっていた。
「金盞花さん。それにしても校長は、どうして若い頃に先走ったんだろう?」
「とある少女に、いいところを見せたかったのよ」
その女性は、後にモモの母親になった。
まあ今でも彼女は、校長を許していないらしい。
「モモって、それからも冒険者にケンカを売るのが日課になっているわ」
あっちに強い冒険者がいるなら、探索より戦闘を優先する。
こっちに強いキラーがいるなら、攻略そっちのけで倒しにいく。
そんな性格のせいで、あちこちのダンジョンで出禁を食らった。
「あの子はダンジョンが好きっていうのもあるけど、あの子の一番の目的は、とにかく冒険者を殴ること」
自分の父親を壊した冒険者に、憎しみを持っている。
ダンジョンが好きな自分と、冒険者を嫌う自分の間で揺れていた。
それが、七星 洲桃という女であり、アイデンティティなのだ。
「僕たちは明日帰るけど、キミたちも一緒にどうだい? ピオニも喜ぶよ」
「ウチはもう一日だけ、モモとダンジョンを回るわ」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜
ネリムZ
ファンタジー
この世界にはいくつものダンジョンが存在する。それは国ごとの資源物資でもあり、災害を引き起こすモノでもあった。
魔物が外に出ないように倒し、素材を持ち帰る職業を探索者と呼ぶ。
探索者にはありきたりなスキル、レベルと言った概念が存在する。
神宮寺星夜は月月火水木金金の勤務をしていた。
働けているなら問題ない、そんな思考になっていたのだが、突然のクビを受けてしまう。
貯金はあるがいずれ尽きる、生きる気力も失われていた星夜は探索者で稼ぐ事に決めた。
受付で名前を登録する時、なぜか自分で入力するはずの名前の欄に既に名前が入力されていた?!
実はその受付穣が⋯⋯。
不思議で懐かしな縁に気づかない星夜はダンジョンへと入り、すぐに異変に気づいた。
声が女の子のようになっていて、手足が細く綺麗であった。
ステータスカードを見て、スキルを確認するとなんと──
魔法少女となれる星夜は配信を初め、慣れない手つきで録画を開始した。
魔物を倒す姿が滑稽で、視聴者にウケて初配信なのにバズってしまう!
だが、本人は録画だと思っているため、それに気づくのは少し先の話である。
これは魔法少女の力を中途半端に手に入れたおっさんがゆったりと殴り、恋したり、嘆いたり、やっぱりゆぅたりする話だ。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる