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第六章 激突、鬼怨組との決闘!

第63話 結婚式

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「キレイだなあ……」

 あたしは、玉蘭ぎょくらんさんの白無垢姿を見て、うっとりする。

「モモ。あんた、着たいの?」

 はるたんが、あたしの腕を肘で小突く。

「あんたに特別な相手なんて、いたっけ?」
 
「別にうらやましくはないが、あそこまでキレイだと見とれてしまうなーって」
 
「そうよねぇ。白無垢があって、よかったわね」

 玉蘭さんが着るはずだったウェディングドレスは、イバラに燃やされてしまった。

 路頭に迷っていた麝香じゃこう学園に、駄菓子屋のおばあちゃんが白無垢を持ってきたのである。「大昔に着たものがあったから」と。

 玉蘭さんが今着ている白無垢は、駄菓子屋おばあちゃんのお古である。

「お古でも、めちゃキレイだな」

 普段男勝りなピオニも、今日はどこかメスい。

「……イバラが欲しがるのも、わかるわ」


 
 実はイバラが合宿を襲撃していたのは、玉蘭さんが目当てだったのだ。

 

 イバラは玉蘭さんに一目惚れして、交際を迫っていたという。

 しかしその時点で、玉蘭さんは嵐山あらしやま会長との結婚が決まっていた。

 それでもイバラはあきらめず、合宿への嫌がらせを始める。「嫌がらせを止めたければ、自分と結婚しろ」と。
 
 麝香学園は、それでも合宿を続行した。事情を伏せて。

 だが、一人だけその事実を知っているものがいた。睡蓮すいれん ティナである。
 勇者連合の密偵として、彼女は麝香学園の調査を行っていた。

 合宿最終日に事実をあたしたちに告げて、あたしは行動に出たのである。
「イバラはシカトしようぜ」と。


 デリオン姫のリスナーに一部いた、女性人権団体がブチギレ。未だに、彼女たちの怒りは収まっていない。

 彼女たちの活動が世論を動かしたのか、イバラには、懲役百年が言い渡された。
 三〇分ですら音を上げるドラゴンの胃袋に、イバラは百年間ずっと過ごさなければならない。
 それだけのことをしたのである。イバラは二度と、この島の土を踏めなくなった。
 
 
 結婚式が終わって、夕飯に。
 立食形式で、高級旅館の料理が並ぶ。

 さっそくピオニが、丸型に握られた寿司に手を出した。

 デリオン姫は従者の綿毛に、茶碗蒸しをあーんしてもらっている。


~~~~~ ~~~~~ ~~~~~

 野呂のろ先輩は、恋人である蓮川はすかわ先輩に、ローストビーフをよそっていた。
 
金盞花きんせんかさん。それにしても校長は、どうして若い頃に先走ったんだろう?」

「とある少女に、いいところを見せたかったのよ」
 
 その女性は、後にモモの母親になった。
 まあ今でも彼女は、校長を許していないらしい。

「モモって、それからも冒険者にケンカを売るのが日課になっているわ」
 
 あっちに強い冒険者がいるなら、探索より戦闘を優先する。
 こっちに強いキラーがいるなら、攻略そっちのけで倒しにいく。

 そんな性格のせいで、あちこちのダンジョンで出禁を食らった。

「あの子はダンジョンが好きっていうのもあるけど、あの子の一番の目的は、とにかく冒険者を殴ること」

 自分の父親を壊した冒険者に、憎しみを持っている。
 ダンジョンが好きな自分と、冒険者を嫌う自分の間で揺れていた。

 それが、七星ななほし 洲桃すももという女であり、アイデンティティなのだ。

「僕たちは明日帰るけど、キミたちも一緒にどうだい? ピオニも喜ぶよ」

「ウチはもう一日だけ、モモとダンジョンを回るわ」
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