ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。

椎名 富比路

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第五章 鬼族が合宿を襲撃! 防衛ミッション!

第47話 荒らしに反応するのも荒らし ~コラボ配信回~

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「はいはいはーい! デリオン姫なのだ! といっても、今日は注意喚起なのだよ」

「アシスタントの、綿毛です。そうですね、姫。ココ最近は、鬼怨おにおん組の台頭によって、我が掲示板も様々な意見が飛び交っています」

「否定八、肯定的なのが二って感じなのだよね。でもよその掲示板を見ている限りだと、ただの荒らしって可能性もあるのだ。荒らしに反応するのも、荒らしだって自覚が必要なのだよね」

「ですねー。そこで今日は、コラボです! 麝香じゃこう学園の嵐山あらしやま生徒会長と、勇者連合学園の代表、野呂のろ アスカさんにもお越しいただきました」

『よろしくおねがいします』

「嵐山さんは、慣れていますね」

『元々、配信者の出なので』

「副会長の烏天狗からすてんぐ族、玉蘭ぎょくらんさんによると、『当初は放送部きってのお調子者でトラブルメーカーでしたが、学年が上がるにつれて、丸くなって落ち着いてきました』とうかがっております」

『いやあ、お恥ずかしい』 

『あの、僕もしゃべっても』

「大丈夫ですよ、野呂先輩」

『勇者連合の代表を務めます、野呂アスカです。本来なら、他にも候補がいたのですが、なぜか僕が担当することになりました。ああ、あいさつはこのへんで』

「ありがとうございます。おや、姫?」

「はあ? 『ヤロウとコラボすんな』だと~? うっせーなあ。やんのか、コラあ。おめーらがそうやって言うから、別室でリモートコラボしてんだろうがよぉ」

『あのー。姫は、大丈夫なんでしょうか?』
 
「問題ありませんよ、野呂先輩。姫とリスナーの関係は、いわゆる【プロレス】ですから」

『台本があるんですね。わかりました』

「リスナーの方々、興奮するのはわかりますが、我々は隣同士の教室で、リモート会話しています。身体的接触はないと思ってくださいね」
 
『ちなみに私ごとですが、玉蘭とは卒業後結婚予定です』

「えーっ!?」

「それは、初だし情報ですね!?」

『こんな空気になるんだと、ちょっと伝えておかないと誤解されたままだなと思いまして』

「いやあ、おめでたい番組なのだ」

「おめでとうございます」

『ありがとうございます』

『これはいよいよ、鬼怨おにおん組をなんとかしなければなりません』

「はい。鬼怨組が出しゃばってきたことで、ダンジョン界隈もリアルさを追求する方たちが増えつつあります。どういったお気持ちなのでしょうか?」

『たしかにココ数十年で、ダンジョン活動はエンジョイ勢が増えてきました。これは、喜ばしいことです』
 
「『裾野が広がったもんね』とコメントがありますね」
 
『はい。昔のように、完璧な訓練を受けた上級者ばかりで殺伐とした空気だったら、ダンジョン事業は衰退していったでしょう』

「コメントでも、『いつだってブームを衰退させるのは、プロっぽい上級者様』てあったのだ。そうそう。そこなのだ。上級者様が蔓延した業界は、たいてい廃れるのだ。謎マナーとかはびこっちゃって」

『嵐山会長や姫の、おっしゃるとおりですね。勇者……つまり難関ダンジョン攻略者としても、あまり難易度の高すぎるダンジョンや、強いけどストイックすぎる冒険者というのは、懸念材料です』

「ビギナーを軽視する傾向が、ありますからね」

『それもありますが、優れたアイテムを独占するのが最も悪質かと』

「レア素材が、闇オークションにかけられているのだ」

『おっしゃるとおりです、姫。さらにその素材を狙った闇バイトというのも、問題視されています。アイテムを取るなとはいいません。我が麝香学園としては、『市場に出回るくらいにはセーブしろ』といいたいですね』

『しかし、相手側が聞く耳を持たないのが現状ですね。違反では、ありませんから。厄介なのは、彼らの目的は市場の独占ではなく、相場が荒れること自体なのが……』

「殺伐とした空気感こそ、求めているものだと?」

『はい。彼らからすると、それが日常ですからね』
 
「めんどくせーのだ」

『ですから、そういった市場では買わないこと。それを徹底していただきたい。無視が一番、ヤツらにはこたえます』

「荒らしと同じ対策なのだ」

『はい。みなさんも、ご注意ください。外出する際は安全に注意してほしいとまではいいませんが、警戒はなさったほうがいいかと』

「わかりました。では、明るい話題に入りましょう! 今回はなんと、みんな水着で戦います」

「すばらしいのだ。我もみんなに、かわいいワンピースを選んでもらったのだ」

「あれは、背徳的ですよね。コメントも盛り上がっております。企画は、嵐山会長から教えていただきましょうか」

『そうでした。今回は告知で来たんでしたね。では参ります。今回みなさんが挑んでもらうドロケイルールなんですが、【豪華客船】を舞台にしたミッションです。野呂さん、続きをお願いします』

『はい。【ドロボウ】側は、豪華客船が運んでいる秘宝を奪いに、【ケイサツ】側は、警備に当たります。限られた空間の中、ダンジョンと化した豪華客船でそれぞれのチームがどう立ち回るのか、ご期待ください』

『船のほうですが、今回フェリー会社さんが、古いフェリーを譲ってくださいました。それを、ダンジョン化しています』

「今から楽しみなのだ」

「そうですね! 本日はお二方、どうもありがとうございました」

「またねー。だから『もう男子とコラボしないで』とか言わないのー。とっちめるぞコラあ」

『姫、荒らしに反応するのも荒らしなので』

「大丈夫ですよ、野呂さん。これもプロレスなので」
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