45 / 64
第四章 島全体がダンジョン! ダンジョン部たちのなつやすみ
第45話 合宿中止か、継続か
しおりを挟む
突然、各校ダンジョン合宿の中止を検討中と言われて、全学校の生徒が動揺する。
そこまでの相手なのか、鬼怨組とは。
「嵐山さんよぉ! そもそもアイツら、なんなん!? 田舎のヤンキーか? 地元のヤーさんか?」
怒ったあたしは、麝香学園代表の嵐山生徒会長に詰め寄った。
「彼らは一言でいうと、田舎のチンピラです。七星さん」
一番タチ悪いやつらやんけっ!
「彼らは現状の『ユルいダンジョン活動』に、嫌気が差しています」
そのため、各地で様々な嫌がらせを行っているという。
「いわゆる、ダンジョン攻略ガチ勢ってわけ?」
「七星さんの言葉を借りるなら、そうですね。ですが、ニュアンスはちょっと違います」
鬼怨が求めているのは、生と死が隣り合わせの、文字通り人間対魔物の戦争だという。
「昔から、こういった嫌がらせが続いています。妖怪軍団の数が多いので、さすがの鬼怨もうかつに手が出せないでいます。が、イバラはその均衡を破ろうと画策していまして」
話を聞く感じだと、イバラは鬼怨組でもかなりの秘蔵っ子らしい。
「言い分は、わからんでもないんだよなあ」
中年の冒険者が、ポツリとつぶやく。見た目からして、獣人族のようだ。
「どういう意味ですか!? 鬼怨のやり方を肯定するとでも!?」
さっそく勇者連合高校の蓮川副会長が、噛みついた。
「いやさ、そうは言ってないよ。おれらってかつては、ギリギリそういう経験をしていたわけよ。野生が滾るっていうか」
獣人冒険者の発言に、エルフの狩人がうなずく。
「不謹慎ではありますが、冒険者さんのお話もわかります。やはりダンジョンとは、闘争本能を掻き立てるものがあるのですよ」
ドワ女を引率している先生も、同じ意見のようだ。
彼らも『いつかまた、そういう経験をしてみたいな』って気持ちが、なくなったわけじゃないらしい。
「ですが、規約としては認められません」
なおも、蓮川は食い下がる。
「うん。キミの言う通りだよ。おれらは、現状には満足しているよ。だから、鬼怨組のやり方は気に食わない」
いくら歴戦の冒険者と言えど、鬼怨組に賛同するものはいなかった。
「アイツらの出身って、鬼神高校とか言ってたじゃん。どうにかならんの?」
「どうにもなりません。先程、鬼神高校の教員一同が、謝罪に来ました」
「マジかよ」
それによると、もはや鬼神高校は鬼怨組の傘下であり、彼らの暴動は手に負えないのだそう。
「屈強な教師が、イバラという問題児を取り押さえようとしました。今は病院のベッドの上で、うめいているそうです」
大人でも、止められないってわけかよ。
「そこで、我々麝香学園は、金盞花の校長とも話し合って、合宿の中止を表明しようかと」
冒険者も交えて、マジメに合宿を行おうとした。が、鬼怨はもう誰に求められない。
「もうみなさんの安全を、保証できなくなりました」
「冗談じゃないわ!」
まっさきに異議を唱えたのは、蓮川だった。
「私たちは、冒険者よ。むしろこんな事態のために、今までトレーニングを重ねてきたのよ。日和ってたまるもんですか!」
おとなしい大人組とは対照的に、蓮川は熱い言葉をみんなに投げつける。
「だよなー。ぶっ潰さなきゃいけないのは、あっちだし」
「モモのいうとおりね。ウチらも不満だし」
あたしの言葉に、はるたんも賛同した。
「ところで、鬼怨組の親はどうなのよ? 親分っていうか」
「現状、地球における鬼怨のトップは、イバラなんだそうです」
鬼怨の組長並びに幹部は、もう地球にいないそうだ。「地球は若頭が制圧したらいいだろう」と、全権を委ねているらしい。
「トップを持たないチンピラにすべてを任せるとか、無責任すぎるな」
「むしろ地球を無法地帯にしたいなら、ベストなチョイスだわ」
だったら、イバラを潰せばいい。
そこまでの相手なのか、鬼怨組とは。
「嵐山さんよぉ! そもそもアイツら、なんなん!? 田舎のヤンキーか? 地元のヤーさんか?」
怒ったあたしは、麝香学園代表の嵐山生徒会長に詰め寄った。
「彼らは一言でいうと、田舎のチンピラです。七星さん」
一番タチ悪いやつらやんけっ!
「彼らは現状の『ユルいダンジョン活動』に、嫌気が差しています」
そのため、各地で様々な嫌がらせを行っているという。
「いわゆる、ダンジョン攻略ガチ勢ってわけ?」
「七星さんの言葉を借りるなら、そうですね。ですが、ニュアンスはちょっと違います」
鬼怨が求めているのは、生と死が隣り合わせの、文字通り人間対魔物の戦争だという。
「昔から、こういった嫌がらせが続いています。妖怪軍団の数が多いので、さすがの鬼怨もうかつに手が出せないでいます。が、イバラはその均衡を破ろうと画策していまして」
話を聞く感じだと、イバラは鬼怨組でもかなりの秘蔵っ子らしい。
「言い分は、わからんでもないんだよなあ」
中年の冒険者が、ポツリとつぶやく。見た目からして、獣人族のようだ。
「どういう意味ですか!? 鬼怨のやり方を肯定するとでも!?」
さっそく勇者連合高校の蓮川副会長が、噛みついた。
「いやさ、そうは言ってないよ。おれらってかつては、ギリギリそういう経験をしていたわけよ。野生が滾るっていうか」
獣人冒険者の発言に、エルフの狩人がうなずく。
「不謹慎ではありますが、冒険者さんのお話もわかります。やはりダンジョンとは、闘争本能を掻き立てるものがあるのですよ」
ドワ女を引率している先生も、同じ意見のようだ。
彼らも『いつかまた、そういう経験をしてみたいな』って気持ちが、なくなったわけじゃないらしい。
「ですが、規約としては認められません」
なおも、蓮川は食い下がる。
「うん。キミの言う通りだよ。おれらは、現状には満足しているよ。だから、鬼怨組のやり方は気に食わない」
いくら歴戦の冒険者と言えど、鬼怨組に賛同するものはいなかった。
「アイツらの出身って、鬼神高校とか言ってたじゃん。どうにかならんの?」
「どうにもなりません。先程、鬼神高校の教員一同が、謝罪に来ました」
「マジかよ」
それによると、もはや鬼神高校は鬼怨組の傘下であり、彼らの暴動は手に負えないのだそう。
「屈強な教師が、イバラという問題児を取り押さえようとしました。今は病院のベッドの上で、うめいているそうです」
大人でも、止められないってわけかよ。
「そこで、我々麝香学園は、金盞花の校長とも話し合って、合宿の中止を表明しようかと」
冒険者も交えて、マジメに合宿を行おうとした。が、鬼怨はもう誰に求められない。
「もうみなさんの安全を、保証できなくなりました」
「冗談じゃないわ!」
まっさきに異議を唱えたのは、蓮川だった。
「私たちは、冒険者よ。むしろこんな事態のために、今までトレーニングを重ねてきたのよ。日和ってたまるもんですか!」
おとなしい大人組とは対照的に、蓮川は熱い言葉をみんなに投げつける。
「だよなー。ぶっ潰さなきゃいけないのは、あっちだし」
「モモのいうとおりね。ウチらも不満だし」
あたしの言葉に、はるたんも賛同した。
「ところで、鬼怨組の親はどうなのよ? 親分っていうか」
「現状、地球における鬼怨のトップは、イバラなんだそうです」
鬼怨の組長並びに幹部は、もう地球にいないそうだ。「地球は若頭が制圧したらいいだろう」と、全権を委ねているらしい。
「トップを持たないチンピラにすべてを任せるとか、無責任すぎるな」
「むしろ地球を無法地帯にしたいなら、ベストなチョイスだわ」
だったら、イバラを潰せばいい。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜
ネリムZ
ファンタジー
この世界にはいくつものダンジョンが存在する。それは国ごとの資源物資でもあり、災害を引き起こすモノでもあった。
魔物が外に出ないように倒し、素材を持ち帰る職業を探索者と呼ぶ。
探索者にはありきたりなスキル、レベルと言った概念が存在する。
神宮寺星夜は月月火水木金金の勤務をしていた。
働けているなら問題ない、そんな思考になっていたのだが、突然のクビを受けてしまう。
貯金はあるがいずれ尽きる、生きる気力も失われていた星夜は探索者で稼ぐ事に決めた。
受付で名前を登録する時、なぜか自分で入力するはずの名前の欄に既に名前が入力されていた?!
実はその受付穣が⋯⋯。
不思議で懐かしな縁に気づかない星夜はダンジョンへと入り、すぐに異変に気づいた。
声が女の子のようになっていて、手足が細く綺麗であった。
ステータスカードを見て、スキルを確認するとなんと──
魔法少女となれる星夜は配信を初め、慣れない手つきで録画を開始した。
魔物を倒す姿が滑稽で、視聴者にウケて初配信なのにバズってしまう!
だが、本人は録画だと思っているため、それに気づくのは少し先の話である。
これは魔法少女の力を中途半端に手に入れたおっさんがゆったりと殴り、恋したり、嘆いたり、やっぱりゆぅたりする話だ。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
[完結]回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました
mikadozero
ファンタジー
3月19日 HOTランキング4位ありがとうございます。三月二十日HOTランキング2位ありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーー
エマは突然勇者パーティから「お前はパーティを抜けろ」と言われて追放されたエマは生きる希望を失う。
そんなところにある老人が助け舟を出す。
そのチャンスをエマは自分のものに変えようと努力をする。
努力をすると、結果がついてくるそう思い毎日を過ごしていた。
エマは一人前の冒険者になろうとしていたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる