上 下
43 / 64
第四章 島全体がダンジョン! ダンジョン部たちのなつやすみ

第43話 決死の追跡! ビーストテイマー、ピオニ! 

しおりを挟む
 どうもピオニは【ビーストテイマー】、いわゆる【魔物使い】のようだ。
 
「そういうこと。普段はコイツも、愛用のバイクに擬態してるんだ」

「だからお前、銃で戦っていたのか」
 
 ビーストテイマーは相棒が増える代わりに、モンスターの召喚に魔力のリソースを取られてしまう。そのため、戦闘タイプにはあまり人気がない。
 また魔物の強さも、術者の魔力に依存する。
 結局は自分が強くなる必要があり、サポート職にも不人気だ。

 重火器を扱うなら、魔物に乗ったままでも戦える。

 ピオニはどちらかというと、魔物を召喚するために銃器を選んでいるように思えた。
 
「よりによって、なんで職業を、ビーストテイマーにしたん?」

 コイツなら、どんな冒険者にでもなれそうだが。
 
「乗るとき、メットがいらないから!」

 ピオニが、ゲラゲラと笑う。

 ろくでもない理由だが、ピオニなら選びそうと思えてしまった。

「ほいじゃあ洲桃すもも、不届き者をぶちのめしに行きますか」

 狼の背中をポンポンと叩き、ピオニが乗るように催促する。

「おう、頼むぜピオニ!」

 狼に乗せてもらう。

 あたしを乗せた狼が、全速力でトラックを追跡した。

 まったく力を入れなくても、身体にフィットした。ブレも全然ない。
 
「しっかり捕まってなくても、勝手にウチの【モンジャ】はコントロールできっから」
 
 コントロールを担当するそうで、ピオニはあたしにロケランを託した。

「待って! ロケランでいいのかよ!?」

 相手トラックは、美術品やマジックアイテムを積んでいる。もしアイテムに傷でもつけたら。

「大丈夫。ちゃんと保護してあるから、多少ぶっ放しても問題ない」
 
「わかった! はるたん、聞こえるか!?」

 はるたんに事情を説明して、空からも追跡してもらう。

『モモ、敵は本州をつなぐ鉄橋に向かって、北上中。どこかで本隊と合流するみたい』

「身代金とか、なにかの引き渡しとか、取引材料としては使わないと?」

『今のところ、ないわね。アイテムを売りさばくのが、目的みたい』

 美術館には、鬼族を弱体化させる絵画などもあった。
 てっきり、そっちが本命だと思っていたが。

『もうすぐ、ターゲットが見えてくるわよ』

 眼の前に、トラックが見えてきた。崖沿いを走っている。

「見えた! くらえ!」

 あたしは、ロケランを撃つ。

 慣れていないため、ロケットは道路をえぐっただけだった。

「ハズレ! 次!」

 もう一発、ぶち込んだ。

 今度は、タイヤにクリーンヒットする。

 タイヤにも魔力保護がなされているのか、かすり傷ひとつついていない。
 
「ダメか。だったらむしろ、道路をえぐって」

「おっしゃ! それより効果的な方法があるぜ!」
 
 あたしは、崖に向かってロケランを撃った。

 トラックの前に、落石が降ってくる。

 異常な動きで、トラックは落石を避けていった。

「避けた!?」

「こっちも行くぜ!」

 赤い狼モンジャは、落石をゲームの足場のようにピョンピョンと飛び移っていく。
 
「ピオニ、狼を横につけてくれ! トラックに取り付く!」

「わかった。無茶すんなよ!」

「そっちこそ」

 ピオニが、トラックの横に並走した。

 あたしはトラックの荷台に飛び移る。

 これで、積み荷とトラックを分離させれば。

「おっと!」
 
「てめえ! 邪魔するんじゃねえ!」

 トラックの荷台に、鬼族のリーダー格らしき男が立つ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

英雄伝承~森人の章1~ 落ちこぼれと言われて追放された私、いつの間にか英雄になっていました

大田シンヤ
ファンタジー
国を圧倒すると言われた種族の中に、一人だけ輝術の使えない森人がいた。 術式は読める。輝力もある。なのに使えない。そんな彼女を森人族は嫌悪した。 母のために強くなると誓った彼女は輝術が使えないのならと一人剣士の道へと進むことを決める。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。 しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。 タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。 数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。 すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう! 手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。 そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。 無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。 和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...