ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。

椎名 富比路

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第四章 島全体がダンジョン! ダンジョン部たちのなつやすみ

第39話 鬼怨組と、レア素材争奪戦

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 鬼っぽい形相の魔物が、ツルハシを担ぎながら魔物たちに指示を飛ばしている。

「レア素材を、ニンゲンどもなんかに渡すなよ! 鬼怨おにおん組で独占するんだ! 俺らからでしか、取引できねえようにしてやる!」
 
 やはり、鬼怨組のようだ?
 引き連れている魔物たちも、ダンジョンの野良モンスターより多くて強そうだ。

「ニンゲンだ! ヤツらの持っている素材も、まとめて奪ってやるぜぇっ!」

 こちらを見て、鬼がニヤリと笑う。

「ピオニ。あの鬼と魔物は、あたしたちに任せてもらっていい?」

 勇者連合高校が戦っている間、あたしらはずっと素材を掘る作業だったからなー。
 妨害するなら、やっちまいたい。
 
 
「いいぜ、モモ。素材の警備は任せろ、アスカ先輩もいいだろ?」

「どうぞどうぞ。お二人の力を見てみたいし」
 
 ピオニたちの賛同ももらって、はるたんと二人だけで魔物退治をする。

「なあ!? こいつら、強え!」

 大量にいた魔物たちを、はるたんが一瞬で消し炭にした。

「ニンゲンの店は、部下に潰させたはずなのに!?」

「てめえかっ! 魔物に、店を襲わせたのはぁ! ウゥインドゥ・カァタ!」

【ウインドカッター】を込めた回し蹴りで、鬼のアゴを砕く。

「あー硬い!」

 アゴにクリーンヒットだと思ったのに、ピンピンしてやがる。

「ムダだ! 俺様の肉体は、ニンゲンの攻撃なんぞ跳ね返す。

「そうかいそうかい。でも、起きていてくれてありがとう」

「ああん?」

「もう一発叩き込めるドン!」

 二発目のウインドカッター回し蹴りを、今度は金的に叩き込む。

「があああ!」

「ウインドカッターキック、四連発!」

 金的、みぞおち、ノド、人中と、正中線へ四連続の回し蹴りを浴びせた。

「トドメだ!」

 最後は【ドラゴンキラー】を足に装備して、足刀キックを顔面に打ち込む。

 ドラゴンキラーの刃が、魔力の塊となって鬼の顔に突き刺さる。

「ちくしょう! 鬼が、ニンゲンごときにぃ!」

 鬼が消滅した。といっても、自分たちのアジトにリスポーンするだけだが。

 ダンジョンでは、剣や銃弾などの武器は、インパクトの際に魔力の結晶となるのだ。

 よって、人間は撃たれたり切られたりしても、ダメージは小さい。

 だが、魔物には最大の効果をもたらす。

「よっしゃ。えっと、ところでさ」

 あたしは、鬼たちが掘り出していた素材を指差す。

「あれは、あたしたちがもらっていいのか?」

「いいんじゃないかな? 鬼たちだって、僕たちの素材を奪おうとしたんだし」

 だったら、OKか。では、お持ち帰りといたしましょう。


「これで、いい感じの武具を作ってやるからな。リクエストはあるか?」

「動きやすいの。後、軽めので頼むよ。ウチらで重装備なんは、蓮川はすかわ先輩だけだし」

 女騎士の蓮川さんは、専門の仕立て屋さんがいるらしい。なので、あたしらの顧客リストに載せなくていいという。

「わかった。じゃあそういうわけで。あたしらは帰るよ」

 あたしたちは、別行動となった。
 ピオニたちは引き続き、警察が守るダンジョンの警備に当たるという。


 一二時になって、昼食に。
 
「もう、なんなのよ、あいつら!」

 さっそく、蓮川先輩がブチギレていた。
 バイキングで、唐揚げを独占している。

「ホントだよなあ! ヤツら、あたいらの取り分まで横取りしようとしやがって!」

 トロちゃんこと、ドワ女の三年トローゼ・フィングスも、怒り狂っていた。こちらは、ショートケーキをホールで食っている。
 
「どうしたどうした? なんかあったんか? 話、聞こか?」

 おどけた風で、あたしは蓮川先輩とコンタクトを取ってみた。

「どうもこうもないわよ! 鬼怨組よ!」

 話を聞いたところ、鬼怨組がドロケイルールを無視して襲撃してきたらしい。
 
「午前中は、トロちゃん率いる盗賊団も、警察側の勇者連合も、打ち合わせだけのはずだよな?」

 ドロケイといっても、襲撃は午後からだ。
 お昼になってからでないと、襲撃できないルールのはずである。

 警察側は午前中、襲撃されそうな場所や警備の甘い箇所の確認などを行う。

 盗賊団側は、その包囲網を予測して、襲撃の計画を立てる。

「あいつら、午前も午後もなく、突然攻撃してきたんだよ。魔物を引き連れてよお!」
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