ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。

椎名 富比路

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第四章 島全体がダンジョン! ダンジョン部たちのなつやすみ

第36話 JKが運営する駄菓子屋(アイテムショップ)

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「あーっ、ここがあたしらの運営する駄菓子屋か……って攻撃されてるやん!」

 早速、店が野良モンスターに襲われていた。

「どけボケ! 死ね!」

 適当に、モンスターを追い払う。

「おお、戦利品ゲットよ」

 モンスターの魔石と、身体の一部をゲットした。これを加工して、駄菓子屋の商品にできる。

 ドロップ素材は、牙と、シッポか。

「でも、商品の一部がダメになったよ。店は無事だけど」

 店頭に並べていた魔術書関連の棚が、ひしゃげていた。直さないと。
 
「はるたん、お前はアイテムの加工してて。あたしは店番しとくわ。で、姫と綿毛はあたしと一緒に、接客と陳列を頼む。お前らなら、かわいく商品をレイアウトできるから」

「了解なのだ」

 姫たちと一緒に、壊された棚を片付ける。

「へーい。おばちゃーん。花火とラムネをちょーだーい」

 さっそく、第一お客さんが現れた。今朝盛大に仲間とケンカしていた、獣王 ピオニである。

「誰がおばちゃんじゃいっ」

「えへへ。板についてんじゃん、モモ」

 接客業には、慣れているからな。
 
「てかピオニ、お前、駐在だよな?」

「ご覧の通り、どこからどうみても駐在だけど?」

「どこの世界に、ロケラン背負ってる駐在がいるんだよ?」

 マンガの派出所じゃねえんだぞ。

「とにかくモモ、アイテムちょうだい」

「わーったよ、ほらよ」
 
 あたしはピオニに、弾丸とポーション瓶を渡す。一〇人分欲しいそうで、ちゃんと差し出した。

 この島で言う【駄菓子屋】とは、いわゆる「アイテムショップ」のことだ。魔物討伐用の重火器・弾薬や、治療用のポーションなどを売る。


* * * * * *
 
「花火」:弾薬。
「ラムネ」:ポーション。
「お菓子」:バフ効果のある薬品、種など。
「おもちゃ類」:偵察ドローンなど。 

* * * * * * 

 こういったラインナップだ。

「おばちゃん、ゲームしてっていい?」

「いいぞ。一回、一〇円な」

「それ込みで、ホレ」

 ピオニが、スマホをレジ前の端末にかざす。これで、決済が完了した。

「あんがとー」

「このコイン使ってくれ」

 ピオニが遊ぶのは、コイン落としだ。筐体の中でコインを飛ばし、所定の穴に入るとトークンをゲットできる。手に入ったトークンは、駄菓子屋でのみ利用が可能だ。

「よっしゃ。おばちゃーん、当たった」

「あいよ。なにがほしい?」

「ドローン」

 ピオニが、竹とんぼを手に取った。

「トークンが足りないから、追加課金してくれ」

「ほーい」

 またスマホを端末にかざして、決済する。

「やっぱり、こんなところにいた。こんにちは」

 仲間らしき二名が、ピオニを迎えに来た。
  
「いらっしゃい」

「家、お客さんじゃなくて、ごあいさつに。わたしは『睡蓮すいれん ティナ』です。ピオニと同じ、一年です」

 おっとり系女子のティナが、ペコリと頭を下げる。

 もう一人は、頼りなさそうな少年だ。三年らしいが、「中学生」に見える。中学三年なら、まだわかるかも。

「どうも、『野呂のろ アスカ』です。三年です。一応、勇者連合のトップやっています」

「あの騎士様は、一緒じゃないんだ?」

「『蓮川はすかわ 久美くみ』さんだね? 先に現地入りしてるよ。僕は、一年生のお守り。いわゆる、パシリだね」

 彼女は二年生を連れて、先にお宝の警備についたらしい。

「僕と同じ三年だけど、責任感が強すぎて、煙たがられているよ」

 それはそれは。勇者連合も、人間関係が大変そうだ。

「あーどうもどうも。お客さん、お揃いで」

 ヨボヨボのおばあちゃんが入店してきた。

 あたしたちは集合して、おばあちゃんにあいさつをする。

「お世話になります」

「ええって、ええって。お茶を出すから、座ってて」

 ニコニコしながら、おばあちゃんは奥へ引っ込もうとした。

「おばーちゃん、このへんの人だったんだ? ダンジョンのことも詳しそう」

「あたしゃ、この店の主人だよ。もう七〇年、やってる」

 このおばあさんは、何世代にも渡って島のダンジョンで駄菓子屋をやっているという。戦闘能力は低いため、冒険者を雇ってガードしてもらっているそうだが。

「そっかー。ところで、おばーちゃん。会合、間に合ったんだ?」

「おかげさんで。お嬢ちゃん、ありがとうね」

 おばあちゃんが、ピオニにお礼を言っている。
 
「ピオニ。お前、店主と知り合い?」

「ああ、ちょっとね」

 照れくさそうに、ピオニは言葉を濁す。
 
「ダンジョン協会の会合に行く途中だったんだけど、腰を痛めてね。バイクに乗せてもらったんだよ。今朝はありがとうねー。おかげで会合に間に合ったよー」

 そんなことがあったのか。

 だからピオニは、遅れた? コンビニに行ってたって、ウソまでついて?
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