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第四章 島全体がダンジョン! ダンジョン部たちのなつやすみ

第35話 島ダンジョン夏合宿、開催

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「おーっ。洲桃すももじゃん! お前さんも、合宿に参加する生徒かよ!」
 
 周りから責められても、ピオニは平然としている。
 それどころか、あたしにまで話しかけてきた。

「お前さんには、なんかデスティニー感じてたんだよなあ。また会える気がしたよ」

「それはいいんだけどさ、怒られてるけどいいの?」

「いいからいいから。怒らせておけばいいって」

 ピオニが、あたしの肩に腕を回す。

「よろしくなー」

「う、うん」

 かなり、フリーダムな女だな。

「ピオニ! ちょっとあなた!」
 
「だからって、六時に到着して二時間も島をほっつき歩くとか、常識がなさすぎるわ!」

 騎士風の女性が、ピオニを叱りとばす。

「いいじゃないですかー、副長ぉー。間に合ったんですからー」

 船でピオニを呼び出していた少女が、フォローに入った。 

「あなたは黙っていなさいよ、睡蓮! まったく大事なときに、あなたは!」

「わーるかったって」

 当のピオニは、まったく悪びれていない。

 それがより、副長とやらの女性を怒らせる。

「そ、その辺にしておこうよ、蓮川副長」

 ラノベ主人公風の頼りない少年が、副長をなだめた。

 しかし、副長は余計にヒートアップする。

「アスカ! 怒るのはあんたの仕事でしょ!? だいたいあんたが頼りないから、三年になっても一年にナメられるんでしょうが! まったく、どうして先輩は、アスカなんかをリーダーにしたのかしら!」

 ついには、矛先がアスカというリーダーに向いてしまう。

「怒りん坊の蓮川先輩だと、誰もついてきませんからねー」

 睡蓮というおっとり系レディが、辛辣なことを言い放った。

「なんですってぇ!」

「やめな、って。ほら」

 まだ続きそうだなと思っていると、アスカという隊長が壇上を指差す。
 
『あのー。そろそろ説明会を行いますので。論争はそれが終わってから、お願いします』

 メガホンを持った嵐山氏が、ケンカを止めた。 
 
「あ……すいません」

 小声になって、副長は引っ込む。

 こうして、全員が整列した。

 勇者連合って言っても、統率力はないんだな。

「個性的なヤツらばっかりで、楽しそうだな」
 

『えー。みなさんに行っていただくのは、【ケイドロ】です』

 これから三日間、全員が各グループに分かれて、お宝を奪うか守るかを行う。

『それぞれの学校が【怪盗団】、【警察】、【市民】となって、ローププレイを行っていただきます』

【怪盗団】は、「警察が保管しているお宝を奪う」、「銀行や豪華客船などを襲撃し、お宝を強奪する」、「お宝を持つ主要人物を誘拐する」などが主な仕事だ。

【警察】は、怪盗団を捕まえることと、お宝を守るのが仕事である。

【市民】は、中立。怪盗団と警察、どちらに協力しても構わない。
 ただ、どちらかに協力するかは固定すること。一日目に警察に協力した翌日、怪盗団に、というわけにはいかない。
 いわゆる、情報屋のような扱いだ。が、自分で戦闘をしてもいい。
 
 さらに具体的に言うと、【ちびっこギャング】【駐在さん】【村民】に分けるそうだ。

 くじ引きで、どの学校がどれを担当するか決める。

「わーい。僕たち、駐在さん組だよ」
 
「やっぱり持ってるわね」
 
 勇者連合高校は、駐在に回るようだ。
 
「おい、あたいら【ちびっこギャング】になっちまった。どういう設定にしよう?」

 くじを引き、ドワ女がギャングとなった。

「では、我々と協力しましょう」

 市民を引いた巳柳が、着替えの魔法で巫女服にチェンジした。

【巫女】はこの世界における、ヒーラーの役割を果たす。

「我ら巳柳みやなぎは、この先にある神社を拠点にします。昼は巫女として働き、夜はギャング団に協力してお宝をかっぱらうって設定にしました」

「いいなそれ! かっこいい!」
 
 愚地三姉妹の提案は、ドワ女のリーダー・トロちゃんにツボったようだ。

 なお、ギャングに加担するのは愚地三姉妹だけ。
 他の巳柳高校の女子生徒は、普通に巫女として医療に携わる。

「どうするよ、はるたん。あたしら、市民だってよ」

「じゃあモモ、ウチらは【駄菓子屋】って設定にしよう」

 このローププレイにおいて、駄菓子屋は【アイテムショップ】のポジションだ。

「表向きは駄菓子屋で、裏では警察と協力するの。ウチらが腕力を提供して、姫が情報屋」

 愚地姉妹がギャングだから、ちょうどよかろうと、はるたんが提案してくる。

「OK。じゃあ、これでいこう」
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