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第三章 アウェー戦! 今度はこっちが攻め込むぜ!

第30話 夏合宿への誘い

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「やったな、姫。急な修理で、よく戦闘に間に合ったな」

「ドワ女はいざというときのために、説明書も同封してくれていたのだ」

 メンテの仕方まで、みっちり書いてあった。

 もっとも、「回復用の魔法陣に乗せておけば、すぐに元通りになる」とあるが。

「まいったよ。ボクたちは、キミたち二人しか敵と認識していなかった。そっちの方が、きみたちにとってもいいのかなって、勝手に思い込んで」

 さっきまでの影を潜めた表情とはうってかわり、青葉は清々しい笑顔を見せる。
 
「完全に、あなたがたの絆に負けた形ですわ」

 長女は、憑き物が取れたような、落ち着いた様子に。

「みなさんがた、今日はありがとうございました。我々姉妹を目覚めさせてくださって」

「いやいや。ヤキを入れたのは、あんたじゃん。三澄みすみ。あのタンカ切った様子、すばらしかったぜ」

 あたしは、三澄と握手をする。

 三澄が奮い立たせなかったら、愚地おろち三姉妹は今でも腐っていただろう。
 
「今日のMVPは、三澄とデリオン姫ね」

 はるたんから名前を呼ばれて、デリオン姫が「おーっ」と拳を突き上げた。

 三澄も、デリオン姫と握手を交わす。


 夕飯は、我が家であるダンジョン飯店で食べることになった。

 オヤジは腕によりをかけて、町中華フルコースを振る舞う。といっても、大量のギョーザ、チャーハン、唐揚げ、ラーメンという定番コースばかりだが。
 あたしらのテーブルを、茶色い料理が囲む。

 手伝いに来ているあたしの姉に、愚地の長女友希那は、色々と質問をしていた。
 しばらくして、姉も愚地のいる席に座って、会話に加わる。
 格闘関連の内容になったためか、青葉も率先して姉に質問をしていた。

「とーちゃん、ありがと」

「どうってことねえよ。たんと食え」

「そーする」
 あたしはしばらく、茶色いメシを胃袋に詰め込む作業に集中する。食事中は、ダンジョンのことは忘れたいかな。

「ところで、三年生の友希那ゆきなさんは、ダンジョン部に居続けられるの?」

「そのつもりですわ。ダンジョン部の本格的な引退は、クリスマスですから」

 大学受験が無意味になった今の時代、受験のために早期引退という言葉は消えた。

 今の日本の大学は、アメリカ式を採用している。「審査さえ通れば誰でも入れるが、授業がゲキムズ」というスタイルに変わった。ほとんどの大学は廃業になり、潰れている。

「三澄さん。金盞花きんせんかは夏に合宿をするんだけど、よろしければご一緒しないかしら? 友希那さんもいっしょに」

 はるたんは三澄たちを、合宿に招待したいといい出した。

「いいね! やろうやろう! 島全部使ってのダンジョンなんて、楽しみすぎるだろ!」

 金盞花の合宿は、伝統的な「昭和風の島で、宝探しダンジョン攻略」となっている。

「一週間かけて、昭和風の景色漂う島を巡って、【おたから】を探すのよ」

「素晴らしいですわ。もし、お邪魔でなければ」

「いえいえ。ウチの祖母は寛大な人なので、一〇〇人誘っても大丈夫よ。よろしければ巳柳ダンジョン部総出でどうぞ」

 この合宿企画だが、ドワ女にも同様の誘いを送っていた。もちろん、相手側は即座にOKした。
 
「ありがとうございます。ぜひ参加させていただきますわ!」
 
 はるたんは、巳柳との約束を取り付ける。

 ダンジョン合宿、賑やかになりそうだ。
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