ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。

椎名 富比路

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第三章 アウェー戦! 今度はこっちが攻め込むぜ!

第28話 おや? 三姉妹の様子が

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「ムリだよ。勝てっこない!」

 三澄からの檄に、青葉が反論する。
 
「それでも、戦うんだよ! バカ妹が!」

 また鉄拳が、青葉の頬に飛ぶ。

「わたくしたちは、なんのために愚地を継いだと思ってるんだ! 盛り上がってんのは、分家だけか?」

「分家が偉そうに!」

「偉そうなのはそっちだ! そもそも全盛期ほど愚地おろち三姉妹がパッとしなくなったのは、てめえらが内部抗争をしてたからだろうが!」

 そうか、愚地って、下火だったんだな。

「知ってたか? はるたん?」

「モモは知らないだろうけど、愚地って噂以上にモメてたのよね。だから、『ロクに情報が入ってこなかった説』もあるほどなの」
 
 三姉妹が揃い踏みになること自体が、レアケースになるなんてなぁ。

「だいたいおかしいでしょ? 三姉妹セットで強いはずなのよ? それなのに、長女だけのときとか、次女か三女が他校に殴り込みするとかだったのよ」

 言われてみれば、三人バラバラの情報しか入ってこなかったっけ。
 
「わたくしたちの敵は、他校だ! 三姉妹同士で食い合って、どうするんだ! 敵を見誤るんじゃねえ!」 

「でも、古臭い戦法なんて、いつまでも通用しないのですわ」

「相手は自分のこだわりさえ捨てて、勝ちに貪欲だった。だったら、わたくしたちも同じように戦えばいいだけだろうがよ!」

 続いて三澄は、長女の友希那をひっぱたく。

「いうて、貪欲だったか? あたしら」

「まあ、本気っちゃ本気だったわね」
 
『勝たないとダンジョン取り上げられるから』という、消極的な理由からだが。

「アナログ上等! そいつは突き詰めていけば、伝統っていうんだ! わたくしたちは、時代に取り残されたんじゃねえ! 時代に逆行しているわけでもねえんだ! 時代を、伝統を作ってるんだろうが! そうだろ?」

「分家がなにを」

「分家だからだろうが! 分家だから、てめえらの怠慢がわかるんだよ! てめえらのように伝統にあぐらをかいてるやつから、廃れていくんだ! わたくしは、それをずっと見てきたんだよ! ガキの頃からよお!」
 
 二人の胸ぐらをつかみながら、三澄はなおも姉妹を説得する。

巳柳みやなぎダンジョン部を殺すのは、時代じゃねえ! てめえらだ! てめえらが怠けてたら、ダンジョン部はそれこそ前時代的になっちまうんだろ!」

 三澄の説得を受けて、姉妹も目に炎が灯っていく。

「潔く死ぬな! あがいてでも、地べたを這いずり回っても生きろ! それがヘビの意地ってもんだろうが!」
 
「……そうでしたわ。青葉、やりましょう」

 長女友希那が、隣の青葉に視線を送った。

「やろう。姉さんたち。もう、家族でいがみ合うのはよそう。ボクたちは三人で姉妹だ。いや。一匹のヘビだったね」

 三人がスクラムを組み合って、光を放つ。

 おや? 三姉妹の様子が。

 だんだんと、デカくなってきたじゃないか。

「おまたせいたしましたわ。これより、三姉妹の本気をお見せいたしましょう」


 三つ首の大蛇が、あたしたちの眼前に現れた。
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