ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
25 / 64
第三章 アウェー戦! 今度はこっちが攻め込むぜ!

第25話 牙を剥く三姉妹

しおりを挟む
「よっしゃあ。第二のカギもゲットしたのだー」

 魔法陣から現れた第二の魔物を倒し、デリオン姫がカギをゲットした。

「やりましたね。デリオン姫様」

 デリオン姫は順調に、ダンジョンの出口のカギを手に入れていく。あとひとつ手に入れば、ダンジョン突破である。 
 
 ダンジョンは短い構造で、ボス部屋を次々と攻略するタイプのダンジョンのようだ。
 お嬢様学校なのに、ダンジョンの仕組みが漢らしいな。
 
「うーん、モモ、嫌な予感しかしないのは、ウチだけかしら?」

 はるたんが、あたしに問いかけてきた。

「いや。あたしも同じことを考えていた」

 スムーズに進んでいるときこそ、危険のセンサーを働かせるべき。「もう少し」は「もう遅い」。石橋は砕いて、そのガレキで川を渡れ。

 ダンジョンにおける鉄則だ。慎重すぎるに、越したことはない。

 だが、二人はピクニック感覚でちょっと浮かれている。

 ダンジョンの恐ろしさを身につけるべく静観しておくべきか、それとも手助けをするか。

 あたしは、二択を迫られている。

「『自分の力で勝ったのではない。ジャケット・ギアの性能のおかげで勝ったのだ』ってことくらい、あの二人だってわかってるわよ」

 だよね。もしそうだったら、あたしたちなんて無視して独断専行をしているはず。
 
 二人だって、わきまえていた。そそくさと先へ先へ進まず、あたしたちに意見をうかがってから進む。ビビリなのは、変わっていない。

「三姉妹が、黙ってるわけがないじゃない。ウチは、ずっと警戒しているわよ」

「まあ、いざとなったらあたしが手を貸すから」

 初心者にダンジョンのヤバさなんて教えても酷、ってものだ。

「頼むわよ。あたしは別行動で、魔王の友希那を探すわ」 

「一人で平気なん? はるたん」

「ウチだって、これでも魔王経験者だからね。当たりは付けてるわよ。それじゃあ、二人をお願い」
 
 さすがに危険を感じたのか、はるたんがあたしたちと別れる。

「やったのだー。三つともカギをゲットし――」

 割と強かった第三の魔物を退治して、姫がカギを手に入れた瞬間だった。

 くねくねとした白い物体が、ジャケット・ギアを破壊したのである。

「わああー」

 ジャケット・ギアを失い、姫が地面に尻餅をつく。

 襲撃者が、姿を見せた。やはり、愚地おろち三女の青葉あおばである。
 
「大丈夫ですか、姫!?」

 さっきまで小さい姿だった綿毛が、人間サイズに変化する。
 
「なんとか、平気なのだ」

 オシリをさすりつつ、デリオン姫が立ち上がった。

「でも、キラーに倒されちゃったのだ」

「医務室なんて、行かなくていいよ。勝手に出口で、待ってたらいいじゃん。ダメージはないみたいだし」

 青葉は、二人を相手にしない。

 よく言えば、見逃してくれた。悪く言ったら、邪魔なだけって感じているように見える。
  
「お前さんたちは、出口で待ってろ! ここは、あたしがやる」

 残りの敵は、三姉妹だけだろう。だったら、リーダーの仕事だ。あたしたちだけで戦う。
 
「見逃してくれてサンキュな」

「バカ言わないでよね。医務室まで運ぶ手間が面倒だから見逃した、ってだけ。あんたとは、早く戦いたかったからね」

 青葉が、武器を手にする。蛇腹剣……いや、あれは槍だ。

「三節棍だな」

「うん。これに巻き付かれて、くたばらなかった冒険者はいないさ」

「じゃあ、あたしが最初の一人になってやんよっ」

 相手に合わせて、あたしもスコップを取り出す。【武装開放】して、スコップを魔剣【ドラゴンキラー】に変えた。

「ずっとあんたと戦いたかったんだよ。七星ななほし 洲桃すもも。最強は、ボクの称号だからね」


「さっさと倒れてよね。でさ、試合終了までいっしょに医務室でイチャイチャしよう」

 あー。そっち系の、趣味をお持ちの方でしたかー。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀
ファンタジー
 東京の南はるか先、聟島に作られた魔法特区。魔法技術高等専門学校2年になった俺は、1年年下の幼馴染の訪問を受ける。それが、学生会幹部3人を交えた騒がしい日々が始まるきっかけだった。  これは幼馴染の姉妹や個性的な友達達とともに過ごす、面倒だが楽しくないわけでもない日々の物語。  5月中は毎日投稿、以降も1週間に2話以上更新する予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

処理中です...