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第二章 新入部員は戦力外VTuber
第16話 建築マッチョ学校、ドワ女!
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「モモ、お客さんが来たよ」
「うん。学校の外から見ても、デカいな」
窓の外から、客の姿が見えた。
あたしたちは、二階からダンジョンの入口まで降りる。
はたから見ると、メイドの集団に見えた。
しかし彼女たちは、全員がれっきとした女子高生だ。
身体が横に大きすぎて、メイド服のようなフワッとした服でないと入らないのである。
今回対戦を要求してきたのは、【エドワード大学付属 女子高等学校】という学校だ。
通称を、『ドワ女』という。つまり……。
「あたいはドワ女のリーダーを務める、三年のトローゼ・フィングスといいまーす! ドワーフ魂でダンジョン制覇するんで、よろしくぅ!」
『よろしくぅ!!!!!!』
リーダー含め、全員がドワーフなのである。
「副長の二年! パニ・キュラータっす! トローゼ先輩は、トロちゃんとお呼びくださると喜ぶんで、よろしくっすぅ!」
『よろしくっすぅ!』
トロちゃんもパニさんも、あたしのお腹くらいしか身長がない。
が、ドワーフ女子たちは誰しも四角形を思わせる筋肉質だ。レスラー体型っていうのかな。
リーダーのトロちゃんは、ピッグテールの腹筋女子ちびっこスタイル。この子だけは、細マッチョだ。胸ポケットに芍薬を象ったピンのついた万年筆を差している。
サブリーダーのパニさんは、やや大人びたドレッドヘア褐色マッチョで、他の生徒より背が高い。それでも、あたしの胸くらいしかないけど。こちらの胸ポケットには、紫陽花のピン付き万年筆が。
「全員、マッチョなのだ」
「腹筋女子ってレベルじゃないですね。腕までモリモリですよ」
さっそく、新入部員のデリオンと綿毛が、ビビり散らかしていた。
「ども。金盞花 晴子です」
「七星 洲桃です」
あたしたちも、あいさつをする。
「よく、対戦を引き受けてくれたね?」
「ダンジョンっつったら、あたいドワーフっしょ。ましてあたいらは、建築学科だ。これまでにも、多くの学園用のダンジョンに携わってしている。金盞花グループにだって、あたしらのOBがいるものさ」
ダンジョンを作るだけではなく、マスターまで勤める人材も多いとか。
「それは知っている。腕が立つから、よくわかるよ。エドワード大学は、『ダンジョン界における、ハーバード大学』って言われている」
金盞花晴子が、ドワーフのリーダー・トロちゃんと話し合った。
「なーのーにっ、あんたらが選んだのはウッドエルフだっ!」
トロちゃんが、デリオン姫に指を指す。
「しかも、金盞花が誇る【ユリ園】を、西洋のお屋敷みたいにしちまって。お人形さんでも、飾ってるのかい? あるいは、ぬいぐるみとかさ」
トロちゃんが、新しくなったユリ園を罵倒する。
「金盞花 晴子。ユリ園は、シンプルさが売りだったんじゃないのかい?」
「ウッドエルフの素質は、あんたらなら知っているはずだよ」
そう、彼女たちはウッドエルフの特性を知った上で、あたしたちに対戦を挑んできたのである。
いくら情報を隠しても、ドワーフの洞察力が相手では隠し通せない。
しかも、こちらが新生ダンジョンを公開した直後に、対戦を要求してきた。
ウッドエルフが一枚噛んでいると、すぐに見抜いたのであろう。
そこまでの相手なのだ。
「知ってるよ。ウッドエルフはダンジョン作成においては、右に出るものはいない。あたいらドワーフだって、認めてる。といっても、ありがたがられているのは、フレーバーじゃないか。見てくれがよくなったところで、なんだってんだ?」
「ウッドエルフに関してそんな程度の知識しかないから、あんたらドワーフには頼らなかったんだよ」
はるたんも、トロちゃんに言い返す。
「ウチに相談してくれたら、立派なダンジョンにしてやったのに」
「それも考えたんだけど、新入部員の勧誘も兼ねていたからね。それに我が校は、堅実健全なダンジョン作りは間に合っているんだ。ちょっとぶっ壊れた設定のダンジョンが、気に入っているんだよ」
はるたんは、ささやかにドワ女を挑発する。
「言ってくれるじゃないか。あたいらが、このダンジョンをぶっ壊してやるよ!」
「そちらこそ、ダンジョンの沼がいかに奥深いか、知るといいさ」
ダンジョンを知り尽くした者同士が、闘志を剥き出しにした。
「はるたんっ。あんた、大丈夫なのか? あんなタンカ切って。相手は一応、優勝候補だぜ?」
「だからだよ。あれくらいノリノリで潰してきてもらわないと、ウチらのダンジョンの凄さが伝わらん。さんざん煽り合ってて、こちらが勝ったらすごくね?」
「すごいけどさ。どうすんだよ?」
「今回、ウチらの出番はないから。『風魔』ルールで行くからね」
「マジかよ……」
風魔ルールとは、通称『風雲 魔王城!』ルールという。
風雲魔王城とは、大昔にやっていたテレビ番組で、ダンジョンに設置されたアトラクションを制覇したら勝ちというルールである。
ダンジョン内には、キラーも魔物も存在しない。ひたすらに、トラップだけを切り抜けていく。
つまりだ。
はるたんのヤツ、デリオン姫ひとりだけで、ドワ女を倒す気なのである……。
「うん。学校の外から見ても、デカいな」
窓の外から、客の姿が見えた。
あたしたちは、二階からダンジョンの入口まで降りる。
はたから見ると、メイドの集団に見えた。
しかし彼女たちは、全員がれっきとした女子高生だ。
身体が横に大きすぎて、メイド服のようなフワッとした服でないと入らないのである。
今回対戦を要求してきたのは、【エドワード大学付属 女子高等学校】という学校だ。
通称を、『ドワ女』という。つまり……。
「あたいはドワ女のリーダーを務める、三年のトローゼ・フィングスといいまーす! ドワーフ魂でダンジョン制覇するんで、よろしくぅ!」
『よろしくぅ!!!!!!』
リーダー含め、全員がドワーフなのである。
「副長の二年! パニ・キュラータっす! トローゼ先輩は、トロちゃんとお呼びくださると喜ぶんで、よろしくっすぅ!」
『よろしくっすぅ!』
トロちゃんもパニさんも、あたしのお腹くらいしか身長がない。
が、ドワーフ女子たちは誰しも四角形を思わせる筋肉質だ。レスラー体型っていうのかな。
リーダーのトロちゃんは、ピッグテールの腹筋女子ちびっこスタイル。この子だけは、細マッチョだ。胸ポケットに芍薬を象ったピンのついた万年筆を差している。
サブリーダーのパニさんは、やや大人びたドレッドヘア褐色マッチョで、他の生徒より背が高い。それでも、あたしの胸くらいしかないけど。こちらの胸ポケットには、紫陽花のピン付き万年筆が。
「全員、マッチョなのだ」
「腹筋女子ってレベルじゃないですね。腕までモリモリですよ」
さっそく、新入部員のデリオンと綿毛が、ビビり散らかしていた。
「ども。金盞花 晴子です」
「七星 洲桃です」
あたしたちも、あいさつをする。
「よく、対戦を引き受けてくれたね?」
「ダンジョンっつったら、あたいドワーフっしょ。ましてあたいらは、建築学科だ。これまでにも、多くの学園用のダンジョンに携わってしている。金盞花グループにだって、あたしらのOBがいるものさ」
ダンジョンを作るだけではなく、マスターまで勤める人材も多いとか。
「それは知っている。腕が立つから、よくわかるよ。エドワード大学は、『ダンジョン界における、ハーバード大学』って言われている」
金盞花晴子が、ドワーフのリーダー・トロちゃんと話し合った。
「なーのーにっ、あんたらが選んだのはウッドエルフだっ!」
トロちゃんが、デリオン姫に指を指す。
「しかも、金盞花が誇る【ユリ園】を、西洋のお屋敷みたいにしちまって。お人形さんでも、飾ってるのかい? あるいは、ぬいぐるみとかさ」
トロちゃんが、新しくなったユリ園を罵倒する。
「金盞花 晴子。ユリ園は、シンプルさが売りだったんじゃないのかい?」
「ウッドエルフの素質は、あんたらなら知っているはずだよ」
そう、彼女たちはウッドエルフの特性を知った上で、あたしたちに対戦を挑んできたのである。
いくら情報を隠しても、ドワーフの洞察力が相手では隠し通せない。
しかも、こちらが新生ダンジョンを公開した直後に、対戦を要求してきた。
ウッドエルフが一枚噛んでいると、すぐに見抜いたのであろう。
そこまでの相手なのだ。
「知ってるよ。ウッドエルフはダンジョン作成においては、右に出るものはいない。あたいらドワーフだって、認めてる。といっても、ありがたがられているのは、フレーバーじゃないか。見てくれがよくなったところで、なんだってんだ?」
「ウッドエルフに関してそんな程度の知識しかないから、あんたらドワーフには頼らなかったんだよ」
はるたんも、トロちゃんに言い返す。
「ウチに相談してくれたら、立派なダンジョンにしてやったのに」
「それも考えたんだけど、新入部員の勧誘も兼ねていたからね。それに我が校は、堅実健全なダンジョン作りは間に合っているんだ。ちょっとぶっ壊れた設定のダンジョンが、気に入っているんだよ」
はるたんは、ささやかにドワ女を挑発する。
「言ってくれるじゃないか。あたいらが、このダンジョンをぶっ壊してやるよ!」
「そちらこそ、ダンジョンの沼がいかに奥深いか、知るといいさ」
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「はるたんっ。あんた、大丈夫なのか? あんなタンカ切って。相手は一応、優勝候補だぜ?」
「だからだよ。あれくらいノリノリで潰してきてもらわないと、ウチらのダンジョンの凄さが伝わらん。さんざん煽り合ってて、こちらが勝ったらすごくね?」
「すごいけどさ。どうすんだよ?」
「今回、ウチらの出番はないから。『風魔』ルールで行くからね」
「マジかよ……」
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