11 / 25
第一章 お嬢様学校の旧校舎は、ダンジョンだった
第11話 ダンジョン部の課題
しおりを挟む
あたしは初ダンジョンで、はるたんと相討ちになった。生まれて初めて出会う、魔法を使う相手に。倒したものの、こちらも深手を負って気絶したのである。
「ケンカで負けたことがなかったのに、はるたんには盛大に負けてさ。あたし悔しくなって。オヤジにダンジョン攻略の手ほどきを受けてさ。で、今に至るんよ」
「それは、ウチも一緒だった。ウチはそれまで、大人が相手でも敵なしのダンジョンマスターだった。それが、同い年の子どもに負けて。勝負には勝ったけど、ウチは負けた。モモって名前をすぐに覚えて、トレーニングに励んだよ」
当時、はるたんとは敵同士だった。そこから仲良くなって、今でもつるんでいる。
「お互いが切磋琢磨し合って、その無類なる強さを手に入れたんですわね」
「巻き込まれた側は、たまったもんじゃなかったけどね」
はるたんも当時を振り返り、ため息をつく。
「数奇なめぐり合わせですわね」
「はるたんのオカンからしたら、あたしとはるたんを巡り合わせたかったみたい」
今となっては、はるたんはすっかりダンジョンに興味を失ってしまったようだが。幼い頃から、ずっと「ダンジョンマスターをやらされていた感」はあったけどね。
「ごちそうさまでした、モモさん。はるたんさん。貴重なお話を聞けて、楽しかったですわ。今度は、うちにいらしてくださいな。といっても、まだ二人しかいないんでしたら、公式試合にも出られませんわよね」
「そこなんだよなあ。あと二人仲間がいれば、公式試合に行けるんだけどー」
あたしとはるたんなら、オフェンスだけなら二人だけでも戦える。
問題は、ディフェンスだ。
一応ダンジョンマスターとキラー役さえいれば、あとは魔物で代用できる。とはいえ、魔物だけだと心もとない。
あたしとはるたんの二人で戦い続けられるほど、ダンジョン部の活動は甘くないのだ。負ける気はしないが、公式がそれを許さない。
やはり、あと数名の部員が必要である。
「当面の課題は、部員探しだね」
「ですが、発表されて間がないんでしたら、部員もなかなか集めづらいのでは? 金盞花にダンジョンはないものだと入学されたからばかりでしょうし」
「どうにかするよ」
「ええ。外様の我々が気にしても、仕方ありませんわよね。では、巳柳にいらしたときに」
愚地たちが、帰っていった。
「部員かー。はるたん、心当たりはある?」
「一応は。というか、隠れている間はずっと部員を探してた」
隠れ場所の視聴覚室で、堂々とPCを立ち上げていたらしい。
「まじか。よく見つからなかったな」
「光が出ない【ダークゾーントラップ】を仕掛けたから、みんなビビって入ってこなかった」
巳柳高校よ、こういうところが勝てない要因なんだぞー。
「で、めぼしいやつは?」
「戦力にならない相手なら」
「いい、いい。問題なし」
頭数だけいればいいから、あたしは特に戦力を必要としていない。
最悪、そいつらにダンマスをやってもらったらいいのだ。そしたら、あたしとはるたんで暴れることができる。
「OK。でも、ダンジョンにはかなり詳しいよ。今の学園対抗戦にも精通してる」
「で、そいつはどこに?」
「掲示板」
「書き込みしてんの?」
「むしろ管理人。VTuberだし」
(第一章 おしまい)
「ケンカで負けたことがなかったのに、はるたんには盛大に負けてさ。あたし悔しくなって。オヤジにダンジョン攻略の手ほどきを受けてさ。で、今に至るんよ」
「それは、ウチも一緒だった。ウチはそれまで、大人が相手でも敵なしのダンジョンマスターだった。それが、同い年の子どもに負けて。勝負には勝ったけど、ウチは負けた。モモって名前をすぐに覚えて、トレーニングに励んだよ」
当時、はるたんとは敵同士だった。そこから仲良くなって、今でもつるんでいる。
「お互いが切磋琢磨し合って、その無類なる強さを手に入れたんですわね」
「巻き込まれた側は、たまったもんじゃなかったけどね」
はるたんも当時を振り返り、ため息をつく。
「数奇なめぐり合わせですわね」
「はるたんのオカンからしたら、あたしとはるたんを巡り合わせたかったみたい」
今となっては、はるたんはすっかりダンジョンに興味を失ってしまったようだが。幼い頃から、ずっと「ダンジョンマスターをやらされていた感」はあったけどね。
「ごちそうさまでした、モモさん。はるたんさん。貴重なお話を聞けて、楽しかったですわ。今度は、うちにいらしてくださいな。といっても、まだ二人しかいないんでしたら、公式試合にも出られませんわよね」
「そこなんだよなあ。あと二人仲間がいれば、公式試合に行けるんだけどー」
あたしとはるたんなら、オフェンスだけなら二人だけでも戦える。
問題は、ディフェンスだ。
一応ダンジョンマスターとキラー役さえいれば、あとは魔物で代用できる。とはいえ、魔物だけだと心もとない。
あたしとはるたんの二人で戦い続けられるほど、ダンジョン部の活動は甘くないのだ。負ける気はしないが、公式がそれを許さない。
やはり、あと数名の部員が必要である。
「当面の課題は、部員探しだね」
「ですが、発表されて間がないんでしたら、部員もなかなか集めづらいのでは? 金盞花にダンジョンはないものだと入学されたからばかりでしょうし」
「どうにかするよ」
「ええ。外様の我々が気にしても、仕方ありませんわよね。では、巳柳にいらしたときに」
愚地たちが、帰っていった。
「部員かー。はるたん、心当たりはある?」
「一応は。というか、隠れている間はずっと部員を探してた」
隠れ場所の視聴覚室で、堂々とPCを立ち上げていたらしい。
「まじか。よく見つからなかったな」
「光が出ない【ダークゾーントラップ】を仕掛けたから、みんなビビって入ってこなかった」
巳柳高校よ、こういうところが勝てない要因なんだぞー。
「で、めぼしいやつは?」
「戦力にならない相手なら」
「いい、いい。問題なし」
頭数だけいればいいから、あたしは特に戦力を必要としていない。
最悪、そいつらにダンマスをやってもらったらいいのだ。そしたら、あたしとはるたんで暴れることができる。
「OK。でも、ダンジョンにはかなり詳しいよ。今の学園対抗戦にも精通してる」
「で、そいつはどこに?」
「掲示板」
「書き込みしてんの?」
「むしろ管理人。VTuberだし」
(第一章 おしまい)
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
婚約者が高貴なご令嬢と愛し合ってるようなので、私は身を引きます。…どうして困っているんですか?
越智屋ノマ@甘トカ【書籍】大人気御礼!
恋愛
大切な婚約者に、浮気されてしまった……。
男爵家の私なんかより、伯爵家のピア様の方がきっとお似合いだから。そう思って、素直に身を引いたのだけど。
なんかいろいろ、ゴタゴタしているらしいです。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!
武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。
彼女がいなくなった6年後の話
こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。
彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。
彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。
「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」
何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。
「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」
突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。
※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です!
※なろう様にも掲載
【完結】苦しく身を焦がす思いの果て
猫石
恋愛
アルフレッド王太子殿下の正妃として3年。
私達は政略結婚という垣根を越え、仲睦まじく暮らしてきたつもりだった。
しかし彼は王太子であるがため、側妃が迎え入れられることになった。
愛しているのは私だけ。
そう言ってくださる殿下の愛を疑ったことはない。
けれど、私の心は……。
★作者の息抜き作品です。
★ゆる・ふわ設定ですので気楽にお読みください。
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様にも公開しています。
手乗りドラゴンと行く異世界ゆるり旅 落ちこぼれ公爵令息ともふもふ竜の絆の物語
さとう
ファンタジー
旧題:手乗りドラゴンと行く追放公爵令息の冒険譚
〇書籍化決定しました!!
竜使い一族であるドラグネイズ公爵家に生まれたレクス。彼は生まれながらにして前世の記憶を持ち、両親や兄、妹にも隠して生きてきた。
十六歳になったある日、妹と共に『竜誕の儀』という一族の秘伝儀式を受け、天から『ドラゴン』を授かるのだが……レクスが授かったドラゴンは、真っ白でフワフワした手乗りサイズの小さなドラゴン。
特に何かできるわけでもない。ただ小さくて可愛いだけのドラゴン。一族の恥と言われ、レクスはついに実家から追放されてしまう。
レクスは少しだけ悲しんだが……偶然出会った『婚約破棄され実家を追放された少女』と気が合い、共に世界を旅することに。
手乗りドラゴンに前世で飼っていた犬と同じ『ムサシ』と名付け、二人と一匹で広い世界を冒険する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる