ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。

椎名 富比路

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第一章 お嬢様学校の旧校舎は、ダンジョンだった

第3話 旧校舎ダンジョンアタック

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 モンスターと言っても、相手はスライムやゴブリンである。
 
「ひとまず、最初は素手で行くか」

 ダンジョンに入れず、身体がなまっていたのだ。

「そりゃ!」

 ローリングソバットで、三体のスライムを破壊する。

「スライムやゴブリン程度で、ダンジョン出禁になったあたしらを止められると思うなよ!」

「ザコが千匹かかってきても、ウチらのハンカチ一つ盗ませないから」

 はるたんが、手から【ファイアボール】を放つ。

 爆弾型ファイアボールによって、ゴブリンの集団が吹っ飛んだ。

 大勢で襲いかかってこられても、雑魚相手では準備運動にすらならない。

 剣で武装したスケルトンが、現れた。

「モモ。コイツらは、スパルトイだね。死人じゃなくて、ドラゴンの歯で召喚された類だよ」

「どっちにしろ、スケルトンだろうが。やっちまおう」

 あたしは背中に剣を担いでいるが、装備する気にもならない。スケルトン程度なんぞ、素手だけでぶちのめしてやる。

「シュ!」

 オヤジ直伝のジャブで、スケルトンの頭部を粉砕した。

「ほっ!」

 これまたオヤジから学んだ右フックで、スケルトンの脇腹を粉々に。

「ふん!」

 最後はオヤジから教わったローキックで、スケルトンを転がす。

「ドラゴンキラーで斬ったほうが早い」

「そうなんだけどさー。つっても、こんなの相手に使う気なんかならねーよ」
 
「それもそう」

 はるたんだって、武装解除をしていない。

 つまり、敵はそこまで強い相手じゃないのだ。

「ダンジョンで顔見世って割には、ナメ過ぎだよね」

「だよなー。もっと骨のあるやつがほしい」

 骨軍団を破壊しながら、あたしははるたんと雑談をする。
 
「来たよ」

「うお! ユニコーンじゃん!」

 廊下の奥から、一角の馬が突撃してきた。
 スケルトンの群れは、こいつを隠すためだったのか。

「おっと!」

 あたしは、跳び箱の要領で跳躍した。ユニコーンの直撃を避ける。

 はるたんは、防火扉を廊下にまで広げた。ユニコーンにぶつける気だ。
 
 ユニコーンはそのまま止まらず、頑丈な防火扉を突き破った。

「おっとっと!」
 
 はるたんが、一階の窓から飛び出す。どうにか、直撃は免れたらしい。

「もう一周、来るよ!」

 ユニコーンが、方向転換した。また、こちらを狙う気だろう。

「だが甘い!」

 ギリギリまで、ダッシュしてくるユニコーンを引き付けた。

「今!」
 
 スライディングで、あたしはユニコーンの股を滑り抜ける。

 ユニコーンは立ち止まり、後ろ足であたしを蹴ろうとしてきた。

「それも甘い!」
 
 あたしは立ち上がらず、足を伸ばす。伸び切った後ろ足を、さらに上へと蹴り上げる。

 これで、相手の足は封じた。

「OK。ウインドカッター」

 はるたんが指先に、風魔法を圧縮する。指だけで、ユニコーンの角を切断した。

 それだけで、ユニコーンが消滅する。

 ユニコーンは角が弱点で、角を折られると消えてしまう。

「エラい人はいいました。ユニコーンは、角が本体であると」

「ぼーっとしない。もう一体来たよ」

 知ってるよ。後ろからドドドドーって、足音がしてるもん。
 
「うし! ウインドォ、カァタッ!」

 あたしの足が前方からユニコーンの角を蹴り上げ、半円を描く。

「一昔前にいた、格ゲーのラスボスみたいな技だね」

「これも、格闘ゲーマーオヤジ直伝の技だから」

「口調も?」

「そうそう。カッターの読みが『カァタッ!』なんだよね」

 雑談をしつつ、二階へ進む。たしかここに、校長室があるはずだ。

「あったあった。校長室」

 あたしは、扉をノックする。

 校長室の扉が、ひとりでに開いた。自動ドアかよ。

「よく来たね。晴子はるこ

「おばあちゃん」

 ラスボスとの対面というより、帰省した孫と祖母の会話のようである。
 
「どうも、七星ななほし 洲桃すももです。入学させていただいて、ありがとうございます」

 ちゃんとあいさつをしていなかったので、この場を借りて校長にお礼をいう。
 
「七星さん。はじめましてではないけど、あいさつをするわね。私は私立・金盞花きんせんか学園の校長、金盞花 幹代みきよ。このダンジョンを仕切る魔王よ。ダンジョン部の顧問って言えばいいかしら?」

 ダンジョン部! 

 そうだ。
 あたしはダンジョン部に入りたくて、高校に入学しようとしていたのだ。
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