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第七章 魔の高山エリア! 幼女はダウンサイズする!(うちは最強の生命体になりたいわけやないんよね~
第59話 報酬アイテムを、量産型にまで小型化する幼女
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「アトキン。ほんとにあなたは、人間のような戦い方をしますね」
「元々、人間やさかい」
【荒野エリア】のアジトに戻って、ウチは装備の見直しをする。
「どうして、そんな戦い方を? あなたがバケモノになれば、イーストエルフとの戦闘だって、もっと有利に進められたはずです。なのに、あなたはそうしない」
よく見ているなあ。さすが、頼りになるお隣さんだ。
「とはいえ、怪物になるのを恐れているのではない。意図的に、怪物になる選択肢が、ないように思います」
「ないよ。ウチは、魔法使いやからな」
魔法使いにとって、魔法は「精霊からの借り物」だ。自分の力ではない。
たとえ精霊と同じような力を得たとしても、魔法使いは驕ってはならないのだ。
そんなヤツから、道を踏み外す。「自分最強」と思い込んで、魔物への道へ進む。
ウチは魔物になったが、魔法使いとしての一線は越えないつもりだ。
「【葡萄酒の魔女】の称号を守ってらっしゃる? あなたらしくもない」
「いや。魔道に堕ちたやつを、何人も見てきただけやで」
力に溺れるやつは、力に振り回される。
「バケモンになったからこそ、バケモンゆえの限界も見えてきたんや」
ウチだって、有り余るパワーを思う存分ふるいたい衝動はあった。
しかしいろんな魔物と戦うにつれ、その感情は抑えられている。
いたずらにパワーを振りかざすだけでは、勝てない。
相手も、同じようなパワーをもって、ウチを潰しに来ているからだろう。
「それにアレや。ハイエンドやと、修理費がシャレにならんのよ」
ハイエンドは、魅力的と言えば魅力的だ。
しかし、修繕にどれくらいの費用や物資が必要なのかわからない以上、下手に手を出せない。
どういった物資が必要なのか、費用は?
一日二日で直せるのならともかく、何ヶ月もかかるようなアイテムなら、持っているだけ無駄である。
ならば、取り回しのきく量産型アイテムにまでダウンサイズしたほうが、自分たちで直せるから安全だ。
実際ウチはアイテムの一つである【半永久気管】を、容量も重量も八分の一サイズまで小さくした。
今回のボス戦で手に入れたアイテムと、融合させるためである。
「これは【フルオート・リアクター】っちゅう、自立型の兵器や」
自分の周りに浮かばせて、脳波でコントロールして攻撃する射撃武器だ。
「【邪神ショット】は、これで撃ったらええかなって」
ウチの肩のそばで、中型サイズの邪神ショットが浮かんでいる。
「これから先のことまで考えて、アトキンは取り回しに気を使うんですねぇ」
「最初のライバルが、あんたでよかったわ。あんたやなかったら、そんなことに気づかんかった」
「それって、ワタシのファイトが雑だといいたいのですかぁ?」
「でやろ? アハハ」
二人して、冗談を言い合う。
その瞬間だった。
アジトに、地響きが。
『先生! 敵襲です。イカのバケモノが、空から【荒野エリア】を狙い撃ちしています!』
「元々、人間やさかい」
【荒野エリア】のアジトに戻って、ウチは装備の見直しをする。
「どうして、そんな戦い方を? あなたがバケモノになれば、イーストエルフとの戦闘だって、もっと有利に進められたはずです。なのに、あなたはそうしない」
よく見ているなあ。さすが、頼りになるお隣さんだ。
「とはいえ、怪物になるのを恐れているのではない。意図的に、怪物になる選択肢が、ないように思います」
「ないよ。ウチは、魔法使いやからな」
魔法使いにとって、魔法は「精霊からの借り物」だ。自分の力ではない。
たとえ精霊と同じような力を得たとしても、魔法使いは驕ってはならないのだ。
そんなヤツから、道を踏み外す。「自分最強」と思い込んで、魔物への道へ進む。
ウチは魔物になったが、魔法使いとしての一線は越えないつもりだ。
「【葡萄酒の魔女】の称号を守ってらっしゃる? あなたらしくもない」
「いや。魔道に堕ちたやつを、何人も見てきただけやで」
力に溺れるやつは、力に振り回される。
「バケモンになったからこそ、バケモンゆえの限界も見えてきたんや」
ウチだって、有り余るパワーを思う存分ふるいたい衝動はあった。
しかしいろんな魔物と戦うにつれ、その感情は抑えられている。
いたずらにパワーを振りかざすだけでは、勝てない。
相手も、同じようなパワーをもって、ウチを潰しに来ているからだろう。
「それにアレや。ハイエンドやと、修理費がシャレにならんのよ」
ハイエンドは、魅力的と言えば魅力的だ。
しかし、修繕にどれくらいの費用や物資が必要なのかわからない以上、下手に手を出せない。
どういった物資が必要なのか、費用は?
一日二日で直せるのならともかく、何ヶ月もかかるようなアイテムなら、持っているだけ無駄である。
ならば、取り回しのきく量産型アイテムにまでダウンサイズしたほうが、自分たちで直せるから安全だ。
実際ウチはアイテムの一つである【半永久気管】を、容量も重量も八分の一サイズまで小さくした。
今回のボス戦で手に入れたアイテムと、融合させるためである。
「これは【フルオート・リアクター】っちゅう、自立型の兵器や」
自分の周りに浮かばせて、脳波でコントロールして攻撃する射撃武器だ。
「【邪神ショット】は、これで撃ったらええかなって」
ウチの肩のそばで、中型サイズの邪神ショットが浮かんでいる。
「これから先のことまで考えて、アトキンは取り回しに気を使うんですねぇ」
「最初のライバルが、あんたでよかったわ。あんたやなかったら、そんなことに気づかんかった」
「それって、ワタシのファイトが雑だといいたいのですかぁ?」
「でやろ? アハハ」
二人して、冗談を言い合う。
その瞬間だった。
アジトに、地響きが。
『先生! 敵襲です。イカのバケモノが、空から【荒野エリア】を狙い撃ちしています!』
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