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第七章 魔の高山エリア! 幼女はダウンサイズする!(うちは最強の生命体になりたいわけやないんよね~

第58話 今度は幼女の番

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[テネブライ【高山エリア】のボス、【イーストエルフ】、討伐完了しました]

 脳内に、アナウンスが流れた。

 さっきの魔物って、【イーストエルフ】って名前だったのか。日本語でいうと、『天狗』ってわけか。

「アトキンって、ボスを倒した後に、必ずアナウンスが流れるんですね?」

 今回は、クゥハにも聞こえたようだ。 
 
[これにより、高山エリアの所有権は、【アークゥハート】のものとなります]
 
「あ、いりません」

 クゥハはあっさりと、高山エリアの所有権を放棄した。

「なんでよ? もらってええんやで?」

「もう一匹いるので」

 たしかクゥハは、あのイーストエルフはツガイだと言っていた。つまり、同じ魔物がもう一体存在する。

「ソイツは、アトキンが倒しますから、そうなったら、アトキンのエリアにしてあげてください」

[……承諾しました]
 
 ウチは「ちょっとまった」と、ダメ元で運営に問いかけた。

「あのやあ? 経験値……っていうんかな? イーストエルフとの戦闘経験は、クゥハの強さに反映されるんやろか?」

 そういう概念がこの世界に存在するのかは、謎だが。 

[反映はされます。アイテムも、手に入ります。ただし、エリアの所有権を得るには、ボスとの再戦が必要です]

「ほうほう。ご丁寧にどうも」

[では、イーストエルフとの戦いを再開します]

 さあ、はじめようやないか。

 細い金属質のボディを持つボスが、再度現れた。肩の上に浮いている自律兵器も、同じだ。

 まずは、肩の自律兵器がウチを取り囲む。

「ダッシュ!」

 ウチは全身のスラスターを稼働させて、回り込まれないようにした。

「ついてきおった!」

 さすがに素早い。

 敵が、レーダーを撃ち出す。

 今度はスライディングで、敵のレーザー攻撃をかわした。

 足で攻撃を滑り抜けながら、【邪神ショット】で、自律兵器を撃ち落とす。

 邪神ショットなんて、数撃ちゃ当たる【マシンガンモード】だ。当たれば壊せる。当たればそれでいい。

 とにかく、この手の当てにくい相手には、継戦能力の方が大切。「一発で当ててドヤァ」なんて戦法は、それこそクゥハに任せる。
 ウチは腐っても、一般人だ。転生者ではあっても、超人ではない。

 まだ、結構な数が残っていた。

「せやったら! 妖刀・丹亀尼タンキニ!」

 ウチは蛇腹刀の、丹亀尼を装備する。
 蛇腹を伸ばし、ビットの一つに突き刺す。

「そりゃそりゃあ!」

 刺したビットを振り回し、他のビットに攻撃した。

 面白いように、自律兵器が壊れていく。

「回転斬りがきます!」

 イーストエルフが舞い上がり、降下してきた。

 腕に黄色い閃光が、ほとばしっている。

「おおおお!」
 
 根性で、ウチは回転斬りを回避した。

 これはローリングや、スライディングでかわすのは難しい。もし速度を落としてしまえば、硬直を狙われて真っ二つになる。

「あっぶな! 殺意マシマシやんけ!」

「アトキン、相手の硬直を狙って、剣を突き刺しなさい!」
 
「簡単に言うなや!」

 そんな芸当ができるのは、お前だけだ。

 とはいえ、相手のパターンはだいたいわかってきた。

 チマチマとなるが、反撃できるかも。

 回転斬りを、キワキワで回避する。

 硬直はたしかに、一瞬だけ存在した。

 そこをどう攻めるか。

「邪神ショット!」

 ヘタレなウチは、邪神ショットで少しずつ相手の体力を削ることにした。

「小心者ですね。勝負なさいよ」

「できるかっちゅうねん!」

 なんとか、突破口を。

「丹亀尼!」

 続いての硬直で、丹亀尼を蛇腹状にして突き刺す。

「大ダメージが出ましたよ!」

「お?」

 これは、パターン入った?

 どうやら、魔法攻撃より、物理のほうが効果がありそう。

 その後、丹亀尼で突く作戦に移行した。

 数分かかったが、どうにかイーストエルフに土をつけることに成功する。


[高山エリアの所有権が、アトキン・ネドログに移りました]

 なんともしまらない戦いだが、勝てばいいのだ。

「もう、三体目とかは、おらんよな?」

「今のところ、気配はありませんね。ですが、リベンジされる可能性は高いです」

「せやな。きばっとこ」

 

 クゥハのいうとおり、その機会は唐突に訪れた。
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