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第七章 魔の高山エリア! 幼女はダウンサイズする!(うちは最強の生命体になりたいわけやないんよね~
第56話 幼女、かつてない強敵と出会う(高揚感)
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クゥハとともに、テネブライ【高山エリア】に入る。
「アトキン、あそこじゃないですかね?」
高山の頂上付近を、クゥハが指さした。
山頂付近で、大量のドローンが壊されているではないか。
「間違いない。偵察用のドローンとわかって、破壊しとるわ」
ウチはテネブライのあちこちに、偵察ドローンを大量に放していた。こうなることを見越して。「ドローンを放出していれば、いつか知恵のある奴が壊しにかかるだろう」と。
その時期が、訪れたというわけだ。
「あれや。あのイカみたいな頭のやつ」
ドローンを壊した相手は、高山エリアのボスフロアにいた。頭から上半身にかけて、イカだかエイだかのように平べったい。クラゲのような形の透明なドローンが、肩の上にフヨフヨと浮いている。
それも、二体。
「どうやらあいつは、ツガイみたいですね。アトキン。たまには、ワタシにもボスと戦わせてくださいよ」
二体いるうちの一体と、クゥハが戦いたいといい出した。
「ええやん。あんたの本気、見してや」
断る理由はない。なにより、ウチがウチ以外の魔物と戦うクゥハが見たかった。
「ワタシはあなた相手に、手の内を明かさないなんて小細工は、したくありません。最初から全力で行きますね」
「よっしゃ。遠慮せんでええで」
クゥハはこちらに親指を立てた後、ボスのいるエリアに踏み込む。
ボスが戦闘態勢に入り、クゥハを敵と認識した。
魔物の肩に浮いていた浮遊兵器が、ひとりでに動き、クゥハに殺到する。あっという間に、クゥハを取り囲む。
すべての方位に向かって、スキのない攻撃が降ってきた。
さてクゥハ、どう出る?
ウチが思考している間に、クゥハは剣を振り回し続けていた。
「あいつ、剣だけで攻撃を全部受け流しおった!?」
なんてやつだ。動体視力もクソもない。剣速だけで、機動兵器の攻撃を流した。剣で光芒を反射させて、別の個体に当てるという荒業も。
数を半数に減らした機動兵器が、ボスの元に戻っていった。
「今度は、こちらからです。【ブレイズ・スマッシュ】!」
クゥハが、衝撃波を貯めた剣を振るう。
赤黒い剣閃が、ボスに向かって飛んでいった。
だが、閃光がボスに当たることはない。ひょいとかわされる。
「クゥハ。ウチが邪神ビームに頼らんかった理由が、わかったやろ?」
「今、わかりました」
クゥハが、不満げに語った。
いくら最強の技とは言え、確実に敵に当たるとは限らない。リソースの大半を注ぎ込んだ必殺奥義だとしても、命中しなければただのバカでかい衝撃波である。
肝心なのは、命中精度を上げること。
そのためにウチは、威力を犠牲にした。少量を、連発できるように改造したのである。
「やはり実戦で経験すると、攻撃を回避されるのは不愉快ですね」
クゥハが、自分の命とも言うべき魔剣を収めた。
「あなたが、コンパクト重視になるのも、わかります。ですが、大剣でぶった切るファイトスタイルこそ、ワタシのアイデンティティなんですよねぇ。どうしたものか」
「バケモノにはバケモノをぶつけるってのは、フィクションの世界や。リアルで通用するわけやない」
「ですよね。だから、ちょっと自身のスタイルを裏切るとします」
クゥハは、ヨロイを脱ぎ捨てる。
「自分のこだわりにしがみついた戦略なんて、進化ではありません」
「アトキン、あそこじゃないですかね?」
高山の頂上付近を、クゥハが指さした。
山頂付近で、大量のドローンが壊されているではないか。
「間違いない。偵察用のドローンとわかって、破壊しとるわ」
ウチはテネブライのあちこちに、偵察ドローンを大量に放していた。こうなることを見越して。「ドローンを放出していれば、いつか知恵のある奴が壊しにかかるだろう」と。
その時期が、訪れたというわけだ。
「あれや。あのイカみたいな頭のやつ」
ドローンを壊した相手は、高山エリアのボスフロアにいた。頭から上半身にかけて、イカだかエイだかのように平べったい。クラゲのような形の透明なドローンが、肩の上にフヨフヨと浮いている。
それも、二体。
「どうやらあいつは、ツガイみたいですね。アトキン。たまには、ワタシにもボスと戦わせてくださいよ」
二体いるうちの一体と、クゥハが戦いたいといい出した。
「ええやん。あんたの本気、見してや」
断る理由はない。なにより、ウチがウチ以外の魔物と戦うクゥハが見たかった。
「ワタシはあなた相手に、手の内を明かさないなんて小細工は、したくありません。最初から全力で行きますね」
「よっしゃ。遠慮せんでええで」
クゥハはこちらに親指を立てた後、ボスのいるエリアに踏み込む。
ボスが戦闘態勢に入り、クゥハを敵と認識した。
魔物の肩に浮いていた浮遊兵器が、ひとりでに動き、クゥハに殺到する。あっという間に、クゥハを取り囲む。
すべての方位に向かって、スキのない攻撃が降ってきた。
さてクゥハ、どう出る?
ウチが思考している間に、クゥハは剣を振り回し続けていた。
「あいつ、剣だけで攻撃を全部受け流しおった!?」
なんてやつだ。動体視力もクソもない。剣速だけで、機動兵器の攻撃を流した。剣で光芒を反射させて、別の個体に当てるという荒業も。
数を半数に減らした機動兵器が、ボスの元に戻っていった。
「今度は、こちらからです。【ブレイズ・スマッシュ】!」
クゥハが、衝撃波を貯めた剣を振るう。
赤黒い剣閃が、ボスに向かって飛んでいった。
だが、閃光がボスに当たることはない。ひょいとかわされる。
「クゥハ。ウチが邪神ビームに頼らんかった理由が、わかったやろ?」
「今、わかりました」
クゥハが、不満げに語った。
いくら最強の技とは言え、確実に敵に当たるとは限らない。リソースの大半を注ぎ込んだ必殺奥義だとしても、命中しなければただのバカでかい衝撃波である。
肝心なのは、命中精度を上げること。
そのためにウチは、威力を犠牲にした。少量を、連発できるように改造したのである。
「やはり実戦で経験すると、攻撃を回避されるのは不愉快ですね」
クゥハが、自分の命とも言うべき魔剣を収めた。
「あなたが、コンパクト重視になるのも、わかります。ですが、大剣でぶった切るファイトスタイルこそ、ワタシのアイデンティティなんですよねぇ。どうしたものか」
「バケモノにはバケモノをぶつけるってのは、フィクションの世界や。リアルで通用するわけやない」
「ですよね。だから、ちょっと自身のスタイルを裏切るとします」
クゥハは、ヨロイを脱ぎ捨てる。
「自分のこだわりにしがみついた戦略なんて、進化ではありません」
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