新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
56 / 77
第七章 魔の高山エリア! 幼女はダウンサイズする!(うちは最強の生命体になりたいわけやないんよね~

第56話 幼女、かつてない強敵と出会う(高揚感)

しおりを挟む
 クゥハとともに、テネブライ【高山エリア】に入る。

「アトキン、あそこじゃないですかね?」

 高山の頂上付近を、クゥハが指さした。
 
 山頂付近で、大量のドローンが壊されているではないか。

「間違いない。偵察用のドローンとわかって、破壊しとるわ」

 ウチはテネブライのあちこちに、偵察ドローンを大量に放していた。こうなることを見越して。「ドローンを放出していれば、いつか知恵のある奴が壊しにかかるだろう」と。 
 その時期が、訪れたというわけだ。

「あれや。あのイカみたいな頭のやつ」

 ドローンを壊した相手は、高山エリアのボスフロアにいた。頭から上半身にかけて、イカだかエイだかのように平べったい。クラゲのような形の透明なドローンが、肩の上にフヨフヨと浮いている。

 それも、二体。

「どうやらあいつは、ツガイみたいですね。アトキン。たまには、ワタシにもボスと戦わせてくださいよ」

 二体いるうちの一体と、クゥハが戦いたいといい出した。

「ええやん。あんたの本気、見してや」

 断る理由はない。なにより、ウチがウチ以外の魔物と戦うクゥハが見たかった。

「ワタシはあなた相手に、手の内を明かさないなんて小細工は、したくありません。最初から全力で行きますね」
 
「よっしゃ。遠慮せんでええで」

 クゥハはこちらに親指を立てた後、ボスのいるエリアに踏み込む。

 ボスが戦闘態勢に入り、クゥハを敵と認識した。

 魔物の肩に浮いていた浮遊兵器が、ひとりでに動き、クゥハに殺到する。あっという間に、クゥハを取り囲む。

 すべての方位に向かって、スキのない攻撃が降ってきた。

 さてクゥハ、どう出る?

 ウチが思考している間に、クゥハは剣を振り回し続けていた。

「あいつ、剣だけで攻撃を全部受け流しおった!?」

 なんてやつだ。動体視力もクソもない。剣速だけで、機動兵器の攻撃を流した。剣で光芒を反射させて、別の個体に当てるという荒業も。

 数を半数に減らした機動兵器が、ボスの元に戻っていった。

「今度は、こちらからです。【ブレイズ・スマッシュ】!」

 クゥハが、衝撃波を貯めた剣を振るう。

 赤黒い剣閃が、ボスに向かって飛んでいった。

 だが、閃光がボスに当たることはない。ひょいとかわされる。

「クゥハ。ウチが邪神ビームに頼らんかった理由が、わかったやろ?」

「今、わかりました」

 クゥハが、不満げに語った。

 いくら最強の技とは言え、確実に敵に当たるとは限らない。リソースの大半を注ぎ込んだ必殺奥義だとしても、命中しなければただのバカでかい衝撃波である。

 肝心なのは、命中精度を上げること。

 そのためにウチは、威力を犠牲にした。少量を、連発できるように改造したのである。

「やはり実戦で経験すると、攻撃を回避されるのは不愉快ですね」

 クゥハが、自分の命とも言うべき魔剣を収めた。

「あなたが、コンパクト重視になるのも、わかります。ですが、大剣でぶった切るファイトスタイルこそ、ワタシのアイデンティティなんですよねぇ。どうしたものか」

「バケモノにはバケモノをぶつけるってのは、フィクションの世界や。リアルで通用するわけやない」

「ですよね。だから、ちょっと自身のスタイルを裏切るとします」

 クゥハは、ヨロイを脱ぎ捨てる。

「自分のこだわりにしがみついた戦略なんて、進化ではありません」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...