新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
51 / 74
第六章 海底神殿! 幼女は魔族の親玉と勝負する!(そこら中で派手にやったる

第51話 幼女、目からビームを撃つ

しおりを挟む
 ウチは潜水艇を使わず、素の泳ぎで陸地を目指す。


「おっ。ええ的がウジャウジャおるやん?」

 ダゴンや魚人の群れが、神殿の跡地から湧いてきた。神殿を荒らしたウチを、追ってきたか。
 
 ウチは、触手の先端にある魔力リアクターに、魔力を込める。リアクターは宝玉でできていて、魔物の目玉のようにも見える。

「【半永久器官】の性能、試させてもらおかな。喰らいや! 【邪神ビーム】ッッッ!」

 純度の高い魔力砲を、群れに向かって撃つ。
 この技の正式名称は、【パーティクル・キャノン】という。クジラ型巨大戦艦が使っていた、魔力砲の小さい版である。

 ウチが放った魔力ビームによって、群れの大半が蒸発した。

「ええやんけ。一発の魔力はかなりエゲツないのに、器官のおかげで全然魔力が減らん」

 機関でなく器官というあたり、触手のような新しい器官というか、内蔵の役割なのだろう。

 その後もキャノンを連発して、あっという間にダゴンらは手下ともども片付いた。

 さて、陸地も見えてくる。
 
「ただいま」

 ウチは、海底神殿から陸に上がった。

「おかえりなさい、アトキン」

「ただいまじゃないですよ、先生っ! なんですかそんな、おつかいから帰ってきたみたいなリアクションは!?」

 いつもどおりのクゥハと対照的に、ウチの弟子カニエは早口で激昂する。

「まあまあ。みやげもあるさかい、大目に見てや」

 ウチは、戦利品をカニエに提供する。

「わーい、海ぶどうだ!」

 カニエより、メフティのほうが喜ぶ。

「その海ぶどうな、魔力回復効果があるねん。カニエ、さっそくポーションに作り変えてや」

「承知しました。先生」

 カニエが、海藻類をアイテムボックスに詰めて引っ込んだ。

「ところでクゥハ、ダゴンは来たやろ?」
 
「来ましたよ」

「その様子やと、相手にはならんかったみたいやな」

「ですねえ。もう少し歯ごたえがあると思ったんですが」

「戦艦は、あんたに任せてもよかったかもしれんなぁ」

 大量のダゴンでも、クゥハの敵ではないか。

「いえ。海底神殿が変化したんですよね? 海に潜れないワタシでは、戦えませんでしたよ」

「ようゆうわ。あんたやったら、陸地からでも楽勝やんけ」

 クゥハの場合、地表から剣閃を飛ばして、戦艦を真っ二つにするだろう。クゥハなら、やりかねん。硬いテネブライの山を、剣閃で両断して鍛えていたくらいだ。

「ですが、これでようやく、あなたとフィジカル面でも対等に戦えそうですね」

「せやな」

 やはりクゥハは、最初の当時から持て余していたか。

「純魔やから時間がかかったけど、ウチかてかなり強くなったはずねんよ。あんたくらいは」

「はい。ひしひしと伝わってきますよ」

「再戦してみるか? それで、どっちが完全なテネブライの支配者なんか、決めようやないか」

「テネブライ【最強】の決定でいいです。支配は、あなたがなさってくださいな。みんな、あなたを慕っていますから」
 
 なら、そうさせてもらうか。ただ……。

「最強の称号は、譲られへんなぁ」

「だったら、戦うしかないですね」

 こうして、クゥハとの再戦が決定した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

完)まあ!これが噂の婚約破棄ですのね!

オリハルコン陸
ファンタジー
王子が公衆の面前で婚約破棄をしました。しかし、その場に居合わせた他国の皇女に主導権を奪われてしまいました。 さあ、どうなる?

パーティのお荷物と言われて追放されたけど、豪運持ちの俺がいなくなって大丈夫?今更やり直そうと言われても、もふもふ系パーティを作ったから無理!

蒼衣翼
ファンタジー
今年十九歳になった冒険者ラキは、十四歳から既に五年、冒険者として活動している。 ところが、Sランクパーティとなった途端、さほど目立った活躍をしていないお荷物と言われて追放されてしまう。 しかしパーティがSランクに昇格出来たのは、ラキの豪運スキルのおかげだった。 強力なスキルの代償として、口外出来ないというマイナス効果があり、そのせいで、自己弁護の出来ないラキは、裏切られたショックで人間嫌いになってしまう。 そんな彼が出会ったのが、ケモノ族と蔑まれる、狼族の少女ユメだった。 一方、ラキの抜けたパーティはこんなはずでは……という出来事の連続で、崩壊して行くのであった。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...