新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!

椎名 富比路

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第六章 海底神殿! 幼女は魔族の親玉と勝負する!(そこら中で派手にやったる

第49話 幼女の一撃、巨大戦艦を断つ

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 見える。クジラの魔力砲の威力が。その砲塔が、もうボロボロなのを。

「さあ、究極の一発、ウチにブチかましてこいや! あんたの渾身の一撃、受け止めたる!」

 腰に刀を構えて、抜刀の姿勢に。
 
 クジラ戦艦の巨大砲が、ウチに向かって放たれた。

「すりゃあああ!」

 刀を引き抜いた瞬間、ウチは「気」を放つ。魔法使いであるウチの場合、「魔力」に当たるが。
 鞘の中で練り込まれた、強固な魔力を、抜刀とともに撃ち出した。

 クジラから撃ち出された魔力砲は、ウチの刀によって両断される。左右に広がって、ウチには当たらない。

 刀身が伸びていき、クジラの顔面にめり込む。
 
 居合の要領で、ウチは戦艦ごと魔力砲を切り捨てる。
 もちろん、動かしていたヒュドラも、両断された。

 ヒュドラはクジラ型戦艦ごと、爆発して吹っ飛ぶ。
 

  * * * * * * * *

――クゥハ視点――


 クゥハたちは、ポーレリアに設置した簡易アジトで、アトキンの様子を伺っていた。カニエのフェアリーを通じて。
 
「マッジか! アトキン、勝っちゃった!」

 クゥハの側で、メフティが飛び跳ねながら喜ぶ。

「まったく、ヒヤヒヤさせるぜ、あの邪神様にはよお」

 妖刀を作ったベヤムが、ハンカチで汗を拭う。

「それにしても、オレが作った妖刀が、あんなバケモノ相手に通用するとはな。恐れ入ったよ」

「あなたの鍛冶技術は、テネブライの魔物にも通用するのです。もっとも、テネブライの鉱石があればの話ですが」

「だよな。素材の力だよな、あれは」

「いいえ。テネブライにあそこまで武器を作成できる技術者はいません」

 テネブライに眠るたいていの武具は、誰かが作ったものではない。魔力が自然界の鉱石や樹木に触れて、変質したものだったりだ。中には、魔物の死骸が武器になったりもするが。

「テネブライの魔物は、それだけで強いですからね。道具が必要ないんですよ」

「だから、鍛冶が発達しなかったわけか」

「はい。丹念に磨き上げた武具は、そこいらのレアアイテムなんかより、遥かに価値がありますよ~」

 だから、ベヤムは誇っていい。

「ともあれ、先生が無事でよかったです」

「いえいえ。むしろ、これからかも知れませんねぇ」

 クゥハは、アジトから外に出る。

「みなさんは、外に出ないでくださいね~」

 外出を控えるように、クゥハはアジトにいるメンバーに声をかけた。

 直後、ダゴンの群れがアジトに向かって襲いかかってくる。

「やっぱり、ガマンできませんでしたか~」

 アトキンの言ったとおりだ。

 ボスは聞き分けがよくても、手下までがそうとは限らない。親玉が倒されたとあっては、自分たちの種の存続に関わる。こちらを撃退して地上を手にしようとするのは、当然の道理だろう。
 
 だからアトキンは、クゥハに地上の留守を任せた。

「任されましたので、安心して帰ってきてくださいね~」

 軽く大剣をふるっただけで、クゥハは無数のダゴンを壊滅させる。
 なにも出でこなかったかのように。
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