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第六章 海底神殿! 幼女は魔族の親玉と勝負する!(そこら中で派手にやったる

第48話 幼女 対 巨大戦艦

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クジラ型巨大戦艦が、大きく口を開けた。

「特大の魔力砲射が来よる!」

 高熱の魔力が、クジラの口から放射される。

 魔力砲は岩を削り、地上まで突き破った。

 しばらく、クジラは動かない。
 
 この姿で泳ぎ慣れてないウチは、回避するのがやっとだった。

 もうちょっと、触手の動作を理解しないと。

 カパカパと、クジラのヒレが広がる。

 ヒレがブチブチと、クジラの体から離れた。

 一つ一つのヒレは、ウチの体くらい大きい。
 
 ヒレがカッターとなって、渦を巻いてこちらに突進してくる。

「なんの!」

 ドリル状に殺到するヒレカッターを、ウチはスイスイと泳いで退けた。

「おいたするやつには、こうや!」

 抜刀して、妖刀でヒレカッターの軌道を変える。

 両断されたヒレカッターの欠片が、ランダムに動いて他のヒレを攻撃した。

 無軌道になったヒレのカッターが、他のヒレに激突する。

 クジラの頭部にいるヒュドラが、腕を回す。生き残ったヒレカッターを、再度集結させた。

 さっきの倍以上の数が、ウチに迫る。

「なら、ホンマの力を見せたるで!」

 ウチは、妖刀を振り回した。

「ウチがお前を、切り捨てる!」
 
 妖刀が、蛇腹状に伸びる。

 新体操のリボンのように、ウチは蛇腹刀をくるくると回した。

 ヒレの渦より、遥かに大きなドリルを形成する。

「おおおおお!」

 そのまま妖刀でドリルを作り続けて、ウチも突撃した。

 ヒレの渦を、妖刀の回転で弾き飛ばす。

 行き場を失ったヒレが、力なく海水に浮く。ヒュドラの操作も、受け付けない。
 
「どないや! バケモン! これが【妖刀:丹亀尼タンキニ】、真の姿や!」
 
 ヒレカッターを失ったとしても、まだ魔力砲台が生きている。ちょうど、チャージが終わったようだ。

 クジラが、口を開ける。その大口は、最初の一撃ですっかり焼け焦げていた。まだ、開発段階だったか。もし、ウチの突入が遅かったら、完全体で地上に上がっていただろう。
 今までのコイツは、まだメンテ中だったのかもしれない。

「全力で来いや。ぶった切ったる!」


『ムチャですよ、先生! さっきの威力、見ましたよね!? 人間が抵抗できるような出力じゃありませんよ!』

「だからや! だからこそ、付け入るスキがある!」

 大艦巨砲主義とは、その大仰な発想自体が弱点だ。
「出力の維持」、「大型ジェネレータ開発費用」、「それに見合う費用対効果」、「そもそもの威力」など、大艦巨砲主義にはリスクが伴う。
 
 ぶっちゃけ、ミサイルを一発作ったほうが、よっぽどマシだ。
 この世界に、精密なミサイルなんて到底できそうにないが。
 ウチなら、そうする。

 だが、コイツらはその発想すらない。

 それゆえ、ウチが抵抗することに意味がある。
 
 最初からヒュドラを量産していれば、勝ち目は合ったろうに。

「残念や。戦艦なんかに執着した親玉を呪えや!」

 ウチは、刀を鞘に収めた。居合の構えを取る。

 この鞘は、ウチの内なる魔力を増幅してくれるのだ。

 お互い、これが最後の一撃となる。
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