47 / 77
第六章 海底神殿! 幼女は魔族の親玉と勝負する!(そこら中で派手にやったる
第47話 幼女 対 ヒュドラ
しおりを挟む
ウチは刀を構えて、ヒュドラと立ち会う。
「ん? 武器を持ってないんやったら……」
相手が丸腰とわかり、ウチは武器を置こうとした。
『アトキン先生っ、いくらなんでも意地を張りすぎですよ』
あまりにも舐めプなウチの行為に、カニエが抗議してくる。
『まあまあ。アトキンは、こういう人なんですよ』
クゥハは、ウチのことをわかっているようだ。
一方、ヒュドラはまったく気にしない。壁に掛けてあったサーベルを、念力で自分の手に引き寄せた。鞘を抜くと、渦潮がドリルのように撒き起こる。
「武器は、引っ込めんでええようやな」
ヒュドラが、渦潮ドリルをこちらに伸ばしてきた。
「おっと!」
ウチは真正面で、渦潮に剣戟を叩き込む。
ただの水を、ドリルにして打ち込んでくるか。水圧もここまでくると、かなりの威力だ。
「ええ攻撃やんけ。手が痺れたで」
相手も、遊ぶつもりはない。水で霧を作って姿を消し、距離を詰めてくる。
「ふん!」
ゼロ距離まで詰め寄ってきたヒュドラに、ウチは触手でビンタした。
「見え見えなんじゃ、アホンダラ!」
ウチの触手は、センサーにもなっている。消えていようが視界から攻撃してこようが、瞬時に察知してカウンターを取る。
さすがにウチも、刀の扱いには慣れていない。一番信用できる触手で、抵抗するしかなかった。
それは、相手も同じだ。
からめ手が通じないと悟ったヒュドラは、真正面からの切り合いに持ち込んでくる。
「それでええんじゃ! 魔力の尽きるまで斬り合おうやないか!」
ウチの刀と、ヒュドラのサーベルが火花を散らす。
正直、剣道や剣術の知識がないウチは、どこまでやれるかは心配だった。
しかし、相手も武器の扱いが苦手らしい。
実力は、五分五分といったところ。
子どものチャンバラみたいな感じになってきた。
『もっと懐に飛び込む感じですよ、アトキン』
「ムリじゃ、そんなもん!」
ウチができるのは、せいぜいこの刀を杖代わりに振って、魔法を撃ち出すくらいである。
それは、相手と同じようだ。
「ああ、これがしっくりくるかも」
やはりウチは、骨の髄まで【純魔:純粋な魔法使い】だなと悟る。
だが、その選択肢はうまくいった。
相手は水魔法ばかり。
対するコチラは、反射やバフなど豊富な術で、相手の先手を取る。
どうにか、ヒュドラを負かす。
「ふうううう」
ヒザをついたヒュドラに、ウチは視線を向けた。
「本気を出さんかい」
ヒュドラが、立ち上がる。
「そうやない。さっきからウチを取り囲んでいる、この異常な瘴気。これこそが、ホンマのヒュドラなんやろ? 本当の姿を見せんかい、っちゅうてんねん」
ウチが言い放つと、ヒュドラが海底神殿の床に沈んでいった。
神殿が、激しく揺れ動く。
ウチはフェアリーだけを潜水艇に乗せて、遠くに避難させた。
よし。息はできる。クゥハの言う通りだった。これなら、戦えるだろう。
海底神殿が崩れて、巨大なクジラがその巨体をうねらせた。
クジラの先端には、ヒュドラの胴体がある。
これがヒュドラの、いや、海底神殿の正体だったのか。
「ん? 武器を持ってないんやったら……」
相手が丸腰とわかり、ウチは武器を置こうとした。
『アトキン先生っ、いくらなんでも意地を張りすぎですよ』
あまりにも舐めプなウチの行為に、カニエが抗議してくる。
『まあまあ。アトキンは、こういう人なんですよ』
クゥハは、ウチのことをわかっているようだ。
一方、ヒュドラはまったく気にしない。壁に掛けてあったサーベルを、念力で自分の手に引き寄せた。鞘を抜くと、渦潮がドリルのように撒き起こる。
「武器は、引っ込めんでええようやな」
ヒュドラが、渦潮ドリルをこちらに伸ばしてきた。
「おっと!」
ウチは真正面で、渦潮に剣戟を叩き込む。
ただの水を、ドリルにして打ち込んでくるか。水圧もここまでくると、かなりの威力だ。
「ええ攻撃やんけ。手が痺れたで」
相手も、遊ぶつもりはない。水で霧を作って姿を消し、距離を詰めてくる。
「ふん!」
ゼロ距離まで詰め寄ってきたヒュドラに、ウチは触手でビンタした。
「見え見えなんじゃ、アホンダラ!」
ウチの触手は、センサーにもなっている。消えていようが視界から攻撃してこようが、瞬時に察知してカウンターを取る。
さすがにウチも、刀の扱いには慣れていない。一番信用できる触手で、抵抗するしかなかった。
それは、相手も同じだ。
からめ手が通じないと悟ったヒュドラは、真正面からの切り合いに持ち込んでくる。
「それでええんじゃ! 魔力の尽きるまで斬り合おうやないか!」
ウチの刀と、ヒュドラのサーベルが火花を散らす。
正直、剣道や剣術の知識がないウチは、どこまでやれるかは心配だった。
しかし、相手も武器の扱いが苦手らしい。
実力は、五分五分といったところ。
子どものチャンバラみたいな感じになってきた。
『もっと懐に飛び込む感じですよ、アトキン』
「ムリじゃ、そんなもん!」
ウチができるのは、せいぜいこの刀を杖代わりに振って、魔法を撃ち出すくらいである。
それは、相手と同じようだ。
「ああ、これがしっくりくるかも」
やはりウチは、骨の髄まで【純魔:純粋な魔法使い】だなと悟る。
だが、その選択肢はうまくいった。
相手は水魔法ばかり。
対するコチラは、反射やバフなど豊富な術で、相手の先手を取る。
どうにか、ヒュドラを負かす。
「ふうううう」
ヒザをついたヒュドラに、ウチは視線を向けた。
「本気を出さんかい」
ヒュドラが、立ち上がる。
「そうやない。さっきからウチを取り囲んでいる、この異常な瘴気。これこそが、ホンマのヒュドラなんやろ? 本当の姿を見せんかい、っちゅうてんねん」
ウチが言い放つと、ヒュドラが海底神殿の床に沈んでいった。
神殿が、激しく揺れ動く。
ウチはフェアリーだけを潜水艇に乗せて、遠くに避難させた。
よし。息はできる。クゥハの言う通りだった。これなら、戦えるだろう。
海底神殿が崩れて、巨大なクジラがその巨体をうねらせた。
クジラの先端には、ヒュドラの胴体がある。
これがヒュドラの、いや、海底神殿の正体だったのか。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる