新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!

椎名 富比路

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第六章 海底神殿! 幼女は魔族の親玉と勝負する!(そこら中で派手にやったる

第45話 海底神殿と、幼女

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 ボコボコボコ……と音を立てながら、潜水艇が沈んでいく。

 ウチは簡単に携行糧食を食いながら、窓を見つめていた。

 神殿らしきものは、見えてこない。タコやサメとは目が合うが、彼らに道を聞いても仕方がなかろう。

『アトキン、ワタシは気づいてしまいました』

「なんよ、クゥハ?」

『今のアトキンって、【ダゴン】の生態を利用して、魔女から転生したんですよね?』

「せやで」

『潜水艇、って必要でした?』

 あっ。

 そういえば、ウチも【ダゴン】だった。

 海で生活が、普通に可能かもしれない。

 自分が肺呼吸の生き物であると、ずっと思いこんでいた。
 水の中に入ってみないと、自分がエラでも呼吸できるのか、把握できない。
 慣れというのは、恐ろしいものだ。

「まあ、こういうのは雰囲気やさかい」

 ウチは適当にごまかす。
 
「お、見えてきたで」

 緑色のコケに覆われた、巨大な建築物が見えてきた。

「カチコミや! いくで!」

 ウチは、潜水艇のスピードを上げる。

「これは、ダイナミック入店してええもんやろうか?」

 自慢ではないが、ウチは運転技術は皆無に等しい。速度を上げたはよかったが、止め方が合っているか自信はなかった。

『アトキン、そのまま直進でOKですって。あとは、トルネルがオートで運転してくれるそうですよ』

 クゥハから、アドバイスを受ける。
 
 メフティのゴーレムを借りて、トルネルが操縦席に座った。ウチより数倍器用な運転で、無事に海底神殿に取り付く。

「おお、手慣れてるもんやな」

『ですが、敵は油断してくれません。ここから先は、我々の手助けはないと思ってください』

「ええって。おおきに」

 トルネルがさらに神殿の奥へと潜って、入り込めそうな空間を探す。

 ちょうど床に穴があって、そこから入れそうだ。

 ハッチだけ浮上させて、神殿に入り込む。

『誰もいませんね。先生、無事ですか?』

「せやな。今のところ、問題ないで」

 神殿の中は、静かなものである。やや広く、視界も良好だ。ヒカリゴケが、あたりを照らしてくれているおかげかも。

『先生、私のサポートは必要ですか?』

「一応頼むわ。ウチはガサツやからな。見逃しはあると思うさかい」

 カニエが操作するフェアリーだけ、連れて行くことにした。

 メフティのゴーレムは、このまま潜水艇の番をしてもらう。

 フェアリーを連れていれば、トルネルたちと会話だけなら可能だ。

『気をつけてください、アトキンさん。何がいるかわかりませんので』

 トルネルが、ウチを気遣う。

「心配ないで。さっそく迎えが来たみたいやさかい、切るで」

 通話を切って、ウチは妖刀に手をかける。
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