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第五章 幼女、はじめての襲撃ミッション!(邪魔するんやったら、帰って~
第40話 邪神幼女・ACT2
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* * * *
ポーレリアに向かう前のことだ。
ウチはどうしても、自分の肉体の脆さをどうにかできないか考えていた。
元々のフィジカルを、幼女の肉体のままなんとかしたい。
身体を鍛えると、腹筋女子なクゥハや、マッチョ幼女なメフティのようになってしまう。
幼女のプロポーションは、残しておきたい。
そう考えて、二体分の【ダゴン】の破片を培養していたのである。
ウチはこれを取り込んで、さらに自分を強化しようと考えたのだ。
手に入れた破片は、ウロコや軟骨のような硬い部分と、目玉の一部である。
うまくいかないかもしれない。最悪、身体を乗っ取られるだろう。
そうなってもいいように、クゥハには待機してもらっていた。
……介錯役として。
「ここにしよか」
実験場として、【荒野エリア】の奥を選んだ。
まだ開発が進んでおらず、誰もいない。ここなら、誰にも迷惑がかからないだろう。
「クゥハ。ウチが実験に失敗したら、頼むで」
「はい。友を斬るのは気が引けますが、ダゴンの周到な性格を考えたら、やむを得ないでしょう」
クゥハが、魔剣を構える。
準備万端。ウチはダゴンの欠片を持って、カプセルの中に飛び込んだ。
この生臭い液体の中に入るのは、久しぶりである。
取り込むのは、腕と背中だ。以前うちがボディに使った個体とは違って、破片はえらく小さい。人間当時にウチが倒した個体よりは、数倍強いのだが。相手も、進化しているのだろう。
身体になにかが入ってくるのを、感じる。肉体が、書き換えられるかのような錯覚に囚われた。脳みそまで、乗っ取ろうとしてきた。しかも、二体同時に。
「やるやんけ! せやけどな、こっちかて意地があるんじゃ!」
意志の力で、逆に相手の思考をもぎ取ってやった。
魔女の力を、舐めるなよ。
「ああああああ! でや、ウチの魔力は! どないじゃ、ボケ!」
カプセルを破壊して、ウチは外に出た。
「クゥハ、姿見を見して!」
「はいどうぞ」
クゥハが用意した姿見で、ウチは自分の姿を確認する。
ツインテールは触手から、髪の毛になっていた。
代わりに、触手は腰に二本だけ。
「おおおおお?」
しかも、宙に浮き上がった。腰の触手からトンボのような羽根が展開され、ウチを浮かべている。短い時間だが、飛行能力を手に入れた。
「テンション上がってきたぁ!」
アドレナリンが暴走して、崖や地面を叩きまくる。
格闘家は試合をする際に、アドレナリンが過剰に分泌されて攻撃的になるという。
今のウチが、まさにそれだ。
「クゥハ! どないやウチは? おかしいか?」
「はい。十分に」
「ちょっとスパー頼む!」
ウチは、クゥハに【ファイアボール】を撃ち込む。
スコン、とクゥハはあっさりとウチの魔法を打ち返した。
「ギャインっ」
ウチのデコに、打ち返された魔法が跳ね返る。
「スパーをするなら、本気を出しましょうね」
「あーっ、中途半端やって、気づかれたか」
「誰だって気づきますよ」
「いや、勢いだけでスパーしても、発散するだけやろ?」
冷静にならんと、気づかないことが多い。
「頭が冷えたところで、ちゃんとスパーを頼むで」
クゥハと、本格的な模擬戦闘を始める。
「調子がいいですね」
「ボス戦も、楽になりそうや」
* * *
ポーレリアを襲った魔物を、ウチは上空から睨みつける。
「これがウチの第二形態、邪神アトキン・ACT2や」
ポーレリアに向かう前のことだ。
ウチはどうしても、自分の肉体の脆さをどうにかできないか考えていた。
元々のフィジカルを、幼女の肉体のままなんとかしたい。
身体を鍛えると、腹筋女子なクゥハや、マッチョ幼女なメフティのようになってしまう。
幼女のプロポーションは、残しておきたい。
そう考えて、二体分の【ダゴン】の破片を培養していたのである。
ウチはこれを取り込んで、さらに自分を強化しようと考えたのだ。
手に入れた破片は、ウロコや軟骨のような硬い部分と、目玉の一部である。
うまくいかないかもしれない。最悪、身体を乗っ取られるだろう。
そうなってもいいように、クゥハには待機してもらっていた。
……介錯役として。
「ここにしよか」
実験場として、【荒野エリア】の奥を選んだ。
まだ開発が進んでおらず、誰もいない。ここなら、誰にも迷惑がかからないだろう。
「クゥハ。ウチが実験に失敗したら、頼むで」
「はい。友を斬るのは気が引けますが、ダゴンの周到な性格を考えたら、やむを得ないでしょう」
クゥハが、魔剣を構える。
準備万端。ウチはダゴンの欠片を持って、カプセルの中に飛び込んだ。
この生臭い液体の中に入るのは、久しぶりである。
取り込むのは、腕と背中だ。以前うちがボディに使った個体とは違って、破片はえらく小さい。人間当時にウチが倒した個体よりは、数倍強いのだが。相手も、進化しているのだろう。
身体になにかが入ってくるのを、感じる。肉体が、書き換えられるかのような錯覚に囚われた。脳みそまで、乗っ取ろうとしてきた。しかも、二体同時に。
「やるやんけ! せやけどな、こっちかて意地があるんじゃ!」
意志の力で、逆に相手の思考をもぎ取ってやった。
魔女の力を、舐めるなよ。
「ああああああ! でや、ウチの魔力は! どないじゃ、ボケ!」
カプセルを破壊して、ウチは外に出た。
「クゥハ、姿見を見して!」
「はいどうぞ」
クゥハが用意した姿見で、ウチは自分の姿を確認する。
ツインテールは触手から、髪の毛になっていた。
代わりに、触手は腰に二本だけ。
「おおおおお?」
しかも、宙に浮き上がった。腰の触手からトンボのような羽根が展開され、ウチを浮かべている。短い時間だが、飛行能力を手に入れた。
「テンション上がってきたぁ!」
アドレナリンが暴走して、崖や地面を叩きまくる。
格闘家は試合をする際に、アドレナリンが過剰に分泌されて攻撃的になるという。
今のウチが、まさにそれだ。
「クゥハ! どないやウチは? おかしいか?」
「はい。十分に」
「ちょっとスパー頼む!」
ウチは、クゥハに【ファイアボール】を撃ち込む。
スコン、とクゥハはあっさりとウチの魔法を打ち返した。
「ギャインっ」
ウチのデコに、打ち返された魔法が跳ね返る。
「スパーをするなら、本気を出しましょうね」
「あーっ、中途半端やって、気づかれたか」
「誰だって気づきますよ」
「いや、勢いだけでスパーしても、発散するだけやろ?」
冷静にならんと、気づかないことが多い。
「頭が冷えたところで、ちゃんとスパーを頼むで」
クゥハと、本格的な模擬戦闘を始める。
「調子がいいですね」
「ボス戦も、楽になりそうや」
* * *
ポーレリアを襲った魔物を、ウチは上空から睨みつける。
「これがウチの第二形態、邪神アトキン・ACT2や」
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