36 / 65
第五章 幼女、はじめての襲撃ミッション!(邪魔するんやったら、帰って~
第36話 幼女は、新聞記者の正体を推理する
しおりを挟む
つまり、あの新聞記者はバッタモン……関西弁で「ニセモノ」だってことである。
「アトキン、どうしますか? 処しますか?」
クゥハの目が、据わっていた。やる気だ。
「ええから。敵やったら、とっくに態度に出しているやろ」
敵対勢力なら、なんらかの罠を仕掛けている可能性が高い。村人に取り入って、こちらが不利になる情報を得たり、悪評を振りまいてセルバンデス王国との連携を狂わせたり。
だが王都にもテネブライにも、そんな報告は上がっていない。記者たちは、淡々と取材をしていたという。
「カニエ、ポーレリアがテネブライに用事があるとしたら、なんやろ?」
「特産品の独占……は、考えにくいですね」
聞いたところ、ポーレリアの畜産品は繁盛している。王都が買いに来るくらい、ポーレリア産の牛肉は人気だ。王都同士の連携を取って、ブランドにまで指定されている。
ウチもポーレリアビーフを食べてみたが、ガッツリしていてうまい。肉厚で噛みごたえがある。「柔らかい肉を好むのは日本だけ」、というだけあった。
「ですがあそこは、フルーツに関しては弱いです。テネブライと違って」
「テネブライって、そこまで果物が強いん?」
「麻薬レベルで、大人気です。中毒性が高いと」
ウチはただ、【赤い実】の品種を、甘くて美味しいものに変えただけなのに。酸っぱいだけだった【黄色い実】も、甘酸っぱい清涼飲料水みたいな味に変化させた。
「……アトキンはもっと、自分のやっていることに責任を持つべきだと思いますよ」
「クゥハさんの言うとおりですよ、先生。自分の研究が社会的に影響を及ぼす、って自覚がなさすぎです」
クゥハとカニエ、両方から責められる。
「キャハハ! アトキン、怒られてやんの」
「まあまあ。みんな落ち着いて」
ウチは、メフティをヒザの上に乗せる。メフティの大きなオシリだって、気にしない。
「可能性があるとしたら、ポーレリアに化けた【ダゴン】の手下って線がありますねぇ」
クゥハが、物騒なことを言い出す。
「まさか。それやったら、もっと巧妙に隠すやろ」
襲撃する気満々なら、あそこまで好意的に接することはない。それこそ、ウチのオフなんて取材しないだろう。
調べるとしたら、「兵装」、「具体的な人口とそのうちの兵力」、「冒険者ギルドの規模」、「王都以外のパイプがあるか」などだ。それこそ図々しく、くまなく色々と聞いて回るだろう。
ウチは、オフなんてほんの数時間くらいだ。たいていは、自室で研究に明け暮れている。研究所を開けるときは、探索か買い物だ。
「ですよねえ。取材としては、あまりにもユルすぎますよね」
あんな見え見えのリポートじゃなくて、より悟られないようにするはず。それこそ、新設したギルドに冒険者として潜伏するとか。
とはいえ、不審な動きはまったくなかった。
ポーレリア雑誌社が、ギルドを取材をしていたのは事実である。しかし、どこのギルドと変わりがないため、特に収穫はなかったはずだ。
「よっしゃ、遠征しょうか」
わからないなら、ウチが乗り込めばいい。
お向かいさんが妙な動きをしているなら、こちらが遊びに行けばいいのだ。
「アトキン、どうしますか? 処しますか?」
クゥハの目が、据わっていた。やる気だ。
「ええから。敵やったら、とっくに態度に出しているやろ」
敵対勢力なら、なんらかの罠を仕掛けている可能性が高い。村人に取り入って、こちらが不利になる情報を得たり、悪評を振りまいてセルバンデス王国との連携を狂わせたり。
だが王都にもテネブライにも、そんな報告は上がっていない。記者たちは、淡々と取材をしていたという。
「カニエ、ポーレリアがテネブライに用事があるとしたら、なんやろ?」
「特産品の独占……は、考えにくいですね」
聞いたところ、ポーレリアの畜産品は繁盛している。王都が買いに来るくらい、ポーレリア産の牛肉は人気だ。王都同士の連携を取って、ブランドにまで指定されている。
ウチもポーレリアビーフを食べてみたが、ガッツリしていてうまい。肉厚で噛みごたえがある。「柔らかい肉を好むのは日本だけ」、というだけあった。
「ですがあそこは、フルーツに関しては弱いです。テネブライと違って」
「テネブライって、そこまで果物が強いん?」
「麻薬レベルで、大人気です。中毒性が高いと」
ウチはただ、【赤い実】の品種を、甘くて美味しいものに変えただけなのに。酸っぱいだけだった【黄色い実】も、甘酸っぱい清涼飲料水みたいな味に変化させた。
「……アトキンはもっと、自分のやっていることに責任を持つべきだと思いますよ」
「クゥハさんの言うとおりですよ、先生。自分の研究が社会的に影響を及ぼす、って自覚がなさすぎです」
クゥハとカニエ、両方から責められる。
「キャハハ! アトキン、怒られてやんの」
「まあまあ。みんな落ち着いて」
ウチは、メフティをヒザの上に乗せる。メフティの大きなオシリだって、気にしない。
「可能性があるとしたら、ポーレリアに化けた【ダゴン】の手下って線がありますねぇ」
クゥハが、物騒なことを言い出す。
「まさか。それやったら、もっと巧妙に隠すやろ」
襲撃する気満々なら、あそこまで好意的に接することはない。それこそ、ウチのオフなんて取材しないだろう。
調べるとしたら、「兵装」、「具体的な人口とそのうちの兵力」、「冒険者ギルドの規模」、「王都以外のパイプがあるか」などだ。それこそ図々しく、くまなく色々と聞いて回るだろう。
ウチは、オフなんてほんの数時間くらいだ。たいていは、自室で研究に明け暮れている。研究所を開けるときは、探索か買い物だ。
「ですよねえ。取材としては、あまりにもユルすぎますよね」
あんな見え見えのリポートじゃなくて、より悟られないようにするはず。それこそ、新設したギルドに冒険者として潜伏するとか。
とはいえ、不審な動きはまったくなかった。
ポーレリア雑誌社が、ギルドを取材をしていたのは事実である。しかし、どこのギルドと変わりがないため、特に収穫はなかったはずだ。
「よっしゃ、遠征しょうか」
わからないなら、ウチが乗り込めばいい。
お向かいさんが妙な動きをしているなら、こちらが遊びに行けばいいのだ。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる