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第四章 幼女、ドワーフと荒野を目指す(ちびっこ同士やな!
第27話 幼女と、古代文明
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ウチは、遺跡の中に入った。
地下の遺跡は、壁や天井、床に至るまで鉄が使われている。
「すげえ。鉄やん」
基礎まで、鉄骨ではないか。腐食はしているが、作りはしっかりしている。
やはり古代文明的なものは、存在していたようだ。
見たこともない文字が、壁一面にビッシリと書かれている。
「アトキン、読めますか?」
「全然アカン。アンタはダークエルフやろ、クゥハ。アンタの方が詳しいんとちゃうん?」
「文字は読めますが、歴史はからっきしで」
そうだった。彼女はエルフである以前に、魔族だ。外の世界に、たいして興味がないんだっけ。食べ物にならダイブしてでも飛びつくが、歴史や文化に関してはあまり食指が伸びないご様子である。
「そもそも、これは文字なんか?」
字体がグチャグチャすぎて、文字かどうかすらも判別できない。古代の絵文字のようだ。意味はまったく、わからない。
イケニエをどうにかしたような感じなのは、なんとなーくわかるのだが。
「カニエ、あんたやったらどうや?」
外の世界に長く滞在しているカニエなら、なにかわかるかもしれない。
『ちょっと待ってください。えっと……』
フェアリードローンが、すぐそばにあるレンガに座って、動きを止めた。操作しているカニエが、席を離れたのか。
『ありました。これは【古代ドワーフ】の文字ですね』
マジか!? ドワーフが!?
「ドワーフが、ここに住んでたんか?」
『いえ。過去のダークドワーフです。今のドワーフが使う文章とは、似ても似つかないです』
たしかに。魔族と交わってエルフがダークエルフという新たな生態系を得たように、ドワーフにも同じことがあったのかも。
『ダークドワーフがこの地に生息していたのは、たしかのようです。なんらかのトラブルで、絶滅しちゃったんではないでしょうか?』
なぜドワーフが、この地に……そうか。
「エルフの中には魔界に種を残すために、暗黒面に堕ちた個体もおるよな? クゥハの父親みたいに」
「ですね。ワタシの父親は、ダークエルフに種族変化しました」
ベルゼビュートに永遠の誓いを立てて、闇の力を得たという。今や彼は、ダークエルフの始祖となっているらしい。
「ドワーフにも、そういうヤツがおったんやろうな。それも、テネブライに入るために」
魔族は、テネブライに入っても影響がない。むしろ魔族であるほど、テネブライに適合できる。
となれば、テネブライに滞在するには暗黒面に堕ちるのが手っ取り早い。
そう考えたドワーフが、いたのでは?
『待って。とーちゃんが話したいって』
今度は、メフティのドワーフが棒立ちになった。
「どうしたんや、ベヤム?」
『さっきの話を聞いて、思い出した。ノルムスの歴史の中に、ダークドワーフとの戦いの記録があるんだよ』
それによると、ダークドワーフはどこからともなく現れて、ノルムスを襲撃しに来たという。当時のダークドワーフのボスは、時のノルムス王の弟だったらしい。兄が実験を握ったことに嫉妬した弟は、ノルムスを魔族の力で支配しようと企んでいた。
『だがノルムス王が返り討ちにして、今でも平和な日々が続いている』
「ほんなら、ダークドワーフは大昔に、絶滅したっちゅうんやな?」
『おそらくな』
となると、ここはかつていたドワーフの遺跡で、間違いないだろう。
イケニエの儀式も、ダークドワーフになるための……。
「敵や! なんかおる!」
ウチの合図で、全員が臨戦態勢になった。
現れたのは、ヨロイやカブトを身につけた、機械の塊である。
「これは、ゴーレム!?」
アイアンゴーレムが、ウチらを取り囲む。
高度な機械文明で作った、作業用のマシンか。それを、戦闘用にアレンジしたようなものだろう。
「【サンドストーム】! ん?」
床や壁が鉄板造りでは、砂のアリ地獄が作動しない。
おまけに、こちらの魔力も通さない構造になっている。
「めんどくさい!」
触手を巻き付けて、炎属性魔法でドロドロに溶かしてやった。
ゴーレムが、熱暴走を起こして爆発する。
「みんな、避難しいや!」
ウチは、魔法障壁を作り出した。
しかし、壁や床は崩れない。
爆発などで崩壊の危険はないが、この壁面は魔法で変形もさせられない。
まとめて倒せないなら、各個撃破と行きますか。
「一人一体が、ノルマや。ええな?」
「おまかせを」
クゥハが、一体を斬り捨てる。
倒したかと思われたが、骨だけになってもまだ襲ってきた。
「しつこい人は、嫌われますよ」
クゥハはみぞおちへのキックで、壁へ押しつぶす。おまけに、魔力も流し込む。
今度こそ、アイアンゴーレムは機能を停止したようだ。
『こっちも、やっとおわった!』
連続パンチの応酬で、メフティはゴーレムをやっつける。幼女猫パンチか。ウチも浴びてみたい。
「アトキン、デレデレしている場合じゃないです! 次が来ますよ」
「なんやねん、次から次と!」
これでは、キリがない。
「この壁画の内容を解読せんと、ゴーレム無限湧きとか言わんやろうな!」
『とーちゃんが解読しているから、持ちこたえて!』
メフティの言う通り、ドワーフのベヤムなら、この壁に書かれた文字を読めるかも。
『いけたぞ。【仮初の魂よ、主の道を開けよ】!」
メフティゴーレムから、ベヤムの声がした。
ゴーレムが、一斉に停止する。
地下の遺跡は、壁や天井、床に至るまで鉄が使われている。
「すげえ。鉄やん」
基礎まで、鉄骨ではないか。腐食はしているが、作りはしっかりしている。
やはり古代文明的なものは、存在していたようだ。
見たこともない文字が、壁一面にビッシリと書かれている。
「アトキン、読めますか?」
「全然アカン。アンタはダークエルフやろ、クゥハ。アンタの方が詳しいんとちゃうん?」
「文字は読めますが、歴史はからっきしで」
そうだった。彼女はエルフである以前に、魔族だ。外の世界に、たいして興味がないんだっけ。食べ物にならダイブしてでも飛びつくが、歴史や文化に関してはあまり食指が伸びないご様子である。
「そもそも、これは文字なんか?」
字体がグチャグチャすぎて、文字かどうかすらも判別できない。古代の絵文字のようだ。意味はまったく、わからない。
イケニエをどうにかしたような感じなのは、なんとなーくわかるのだが。
「カニエ、あんたやったらどうや?」
外の世界に長く滞在しているカニエなら、なにかわかるかもしれない。
『ちょっと待ってください。えっと……』
フェアリードローンが、すぐそばにあるレンガに座って、動きを止めた。操作しているカニエが、席を離れたのか。
『ありました。これは【古代ドワーフ】の文字ですね』
マジか!? ドワーフが!?
「ドワーフが、ここに住んでたんか?」
『いえ。過去のダークドワーフです。今のドワーフが使う文章とは、似ても似つかないです』
たしかに。魔族と交わってエルフがダークエルフという新たな生態系を得たように、ドワーフにも同じことがあったのかも。
『ダークドワーフがこの地に生息していたのは、たしかのようです。なんらかのトラブルで、絶滅しちゃったんではないでしょうか?』
なぜドワーフが、この地に……そうか。
「エルフの中には魔界に種を残すために、暗黒面に堕ちた個体もおるよな? クゥハの父親みたいに」
「ですね。ワタシの父親は、ダークエルフに種族変化しました」
ベルゼビュートに永遠の誓いを立てて、闇の力を得たという。今や彼は、ダークエルフの始祖となっているらしい。
「ドワーフにも、そういうヤツがおったんやろうな。それも、テネブライに入るために」
魔族は、テネブライに入っても影響がない。むしろ魔族であるほど、テネブライに適合できる。
となれば、テネブライに滞在するには暗黒面に堕ちるのが手っ取り早い。
そう考えたドワーフが、いたのでは?
『待って。とーちゃんが話したいって』
今度は、メフティのドワーフが棒立ちになった。
「どうしたんや、ベヤム?」
『さっきの話を聞いて、思い出した。ノルムスの歴史の中に、ダークドワーフとの戦いの記録があるんだよ』
それによると、ダークドワーフはどこからともなく現れて、ノルムスを襲撃しに来たという。当時のダークドワーフのボスは、時のノルムス王の弟だったらしい。兄が実験を握ったことに嫉妬した弟は、ノルムスを魔族の力で支配しようと企んでいた。
『だがノルムス王が返り討ちにして、今でも平和な日々が続いている』
「ほんなら、ダークドワーフは大昔に、絶滅したっちゅうんやな?」
『おそらくな』
となると、ここはかつていたドワーフの遺跡で、間違いないだろう。
イケニエの儀式も、ダークドワーフになるための……。
「敵や! なんかおる!」
ウチの合図で、全員が臨戦態勢になった。
現れたのは、ヨロイやカブトを身につけた、機械の塊である。
「これは、ゴーレム!?」
アイアンゴーレムが、ウチらを取り囲む。
高度な機械文明で作った、作業用のマシンか。それを、戦闘用にアレンジしたようなものだろう。
「【サンドストーム】! ん?」
床や壁が鉄板造りでは、砂のアリ地獄が作動しない。
おまけに、こちらの魔力も通さない構造になっている。
「めんどくさい!」
触手を巻き付けて、炎属性魔法でドロドロに溶かしてやった。
ゴーレムが、熱暴走を起こして爆発する。
「みんな、避難しいや!」
ウチは、魔法障壁を作り出した。
しかし、壁や床は崩れない。
爆発などで崩壊の危険はないが、この壁面は魔法で変形もさせられない。
まとめて倒せないなら、各個撃破と行きますか。
「一人一体が、ノルマや。ええな?」
「おまかせを」
クゥハが、一体を斬り捨てる。
倒したかと思われたが、骨だけになってもまだ襲ってきた。
「しつこい人は、嫌われますよ」
クゥハはみぞおちへのキックで、壁へ押しつぶす。おまけに、魔力も流し込む。
今度こそ、アイアンゴーレムは機能を停止したようだ。
『こっちも、やっとおわった!』
連続パンチの応酬で、メフティはゴーレムをやっつける。幼女猫パンチか。ウチも浴びてみたい。
「アトキン、デレデレしている場合じゃないです! 次が来ますよ」
「なんやねん、次から次と!」
これでは、キリがない。
「この壁画の内容を解読せんと、ゴーレム無限湧きとか言わんやろうな!」
『とーちゃんが解読しているから、持ちこたえて!』
メフティの言う通り、ドワーフのベヤムなら、この壁に書かれた文字を読めるかも。
『いけたぞ。【仮初の魂よ、主の道を開けよ】!」
メフティゴーレムから、ベヤムの声がした。
ゴーレムが、一斉に停止する。
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