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第五章 魔王の娘同士の対決!
第48話 表ルート エンディング
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「マジかよ?」
『うん。マジだよビリー。ゴットフリートが自分の身を挺して魔王と消滅。それが、表ルートのエンディングなんだ』
私の話を聞いて、全員が言葉を失う。
「しかも、彼がもう一人のゲミュートだったなんて」
「ではダテ殿、せっかく共に戦ってきた仲間を、みすみす死なせろとおっしゃるのか?」
シノさんもゴドウィンも、そりゃあ納得しないよね。私だってムリだもん。
しかしシナリオ上、これは決定事項なのだ。
なお、ゴットフリートが死んでも、魔王は消滅しない。取り込まれて終わりだ。
「それでは、魔王を倒せないではありませんか」
「しかし、ボクが魔王と繋がっている以上、この運命は避けられない」
『ゴットフリート王子が生き残れるように、なんとかするよ』
魔王を倒しても、ゴットフリートがいる限り、いつまでも生き続けてしまう。そのため、ゴットフリートは犠牲になる必要があるのだ。
自殺によるクリアを、防止するためである。いくらクソゲーでも、さすがにラスボス直前で自ら命を断つエンドは許容できなかったようだ。
「お願いしますわ。ダテさん。頼ってばかりで、申し訳ございません」
『いいのいいの。推しに頼られるのは、うれしいしかない』
しかし今回ばかりは、奇跡なんて起きないと思う。
私が転生しちゃったからなあ。
女神様も、ゴットフリートを助けることまで勘定に入れているだろうか?
そこまで面倒を見きれないと言われれば、それまでである。
「ところで、どうして魔王はすぐに逃げたのでしょう。ゴットフリートの力が弱いうちに、仕留めてしまっても。まあ、そのときはわたくしが全力で止めましたが」
『イーデンちゃんが、なぜか【神格化】したからだよ』
マージョリーたんが、不思議そうな顔をする。
「ですがダテさん、ゴーマ三姉妹のケフェスを倒したのは、イーデンさんですわ」
『とどめを刺したのは、魔王だよ』
「――!?」
ようやくマージョリーたんは、私の言うことがわかったみたい。
イーデンちゃんは、ケフェスを倒していないのだ。致命傷を追わせることには成功して、大量の経験値は入った。しかし、神格化できるほどのレベルに到達したわけじゃない。
なのに、イーデンちゃんは神格化の条件を満たしている。
どうしてなのかは、私にもまったくわからない。
「ここでお別れです、マージョリー殿下。どうか魔王を」
「王子! わたくしは、奇跡を信じます。ダテさんを信じますわ!」
できれば、マージョリーたんの言葉に応えてあげたいけど。
「カコデーモンの残滓から、魔王城の位置がわかった。ヤツはそこにいる。みなさん、ご無事で」
「ありがとう王子。では、行ってまいります」
今度こそ、決着をつけに行こう。
(第五章 完)
『うん。マジだよビリー。ゴットフリートが自分の身を挺して魔王と消滅。それが、表ルートのエンディングなんだ』
私の話を聞いて、全員が言葉を失う。
「しかも、彼がもう一人のゲミュートだったなんて」
「ではダテ殿、せっかく共に戦ってきた仲間を、みすみす死なせろとおっしゃるのか?」
シノさんもゴドウィンも、そりゃあ納得しないよね。私だってムリだもん。
しかしシナリオ上、これは決定事項なのだ。
なお、ゴットフリートが死んでも、魔王は消滅しない。取り込まれて終わりだ。
「それでは、魔王を倒せないではありませんか」
「しかし、ボクが魔王と繋がっている以上、この運命は避けられない」
『ゴットフリート王子が生き残れるように、なんとかするよ』
魔王を倒しても、ゴットフリートがいる限り、いつまでも生き続けてしまう。そのため、ゴットフリートは犠牲になる必要があるのだ。
自殺によるクリアを、防止するためである。いくらクソゲーでも、さすがにラスボス直前で自ら命を断つエンドは許容できなかったようだ。
「お願いしますわ。ダテさん。頼ってばかりで、申し訳ございません」
『いいのいいの。推しに頼られるのは、うれしいしかない』
しかし今回ばかりは、奇跡なんて起きないと思う。
私が転生しちゃったからなあ。
女神様も、ゴットフリートを助けることまで勘定に入れているだろうか?
そこまで面倒を見きれないと言われれば、それまでである。
「ところで、どうして魔王はすぐに逃げたのでしょう。ゴットフリートの力が弱いうちに、仕留めてしまっても。まあ、そのときはわたくしが全力で止めましたが」
『イーデンちゃんが、なぜか【神格化】したからだよ』
マージョリーたんが、不思議そうな顔をする。
「ですがダテさん、ゴーマ三姉妹のケフェスを倒したのは、イーデンさんですわ」
『とどめを刺したのは、魔王だよ』
「――!?」
ようやくマージョリーたんは、私の言うことがわかったみたい。
イーデンちゃんは、ケフェスを倒していないのだ。致命傷を追わせることには成功して、大量の経験値は入った。しかし、神格化できるほどのレベルに到達したわけじゃない。
なのに、イーデンちゃんは神格化の条件を満たしている。
どうしてなのかは、私にもまったくわからない。
「ここでお別れです、マージョリー殿下。どうか魔王を」
「王子! わたくしは、奇跡を信じます。ダテさんを信じますわ!」
できれば、マージョリーたんの言葉に応えてあげたいけど。
「カコデーモンの残滓から、魔王城の位置がわかった。ヤツはそこにいる。みなさん、ご無事で」
「ありがとう王子。では、行ってまいります」
今度こそ、決着をつけに行こう。
(第五章 完)
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