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第五章 魔王の娘同士の対決!

第44話 姉妹、最期の戦い

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 マージョリーたんを回復させたことで、イーデンちゃんがレベルアップしていく。【治癒からの学び】によって、マージョリーたんから学びを得たからだ。

「な、なんですって!? ありえない! 戦いによって、戦闘経験は上がるのに!」

「これが、あんたたちとわたしの違いです。攻略にも、穴はあります。こういう戦い方だって、あるんですよ」

 イーデンちゃんが、【神格化】を発動させた。青白いオーラを発し、神へと近づいていく。

「ダテさん、わたくし、姉として誇らしいですわ。妹が、あんなに強く育って」

『そうだね、マージョリーたん。あなたの妹は、強いんだ』

 ゼットさんの造形も、オーラでできたヨロイのような姿になった。

「とはいえ、これで互角というもの! 武器さえレベルアップなんてバカなマネは、あなたには!」

 ケフェスが刀を振るい、稲妻の竜巻を起こす。

 砦を放り出して、辺りにいた魔物たちが撤退していった。それだけの威力なのだろう。実際、余波だけで魔物たちの身体が砕けていく。

「大技を食らって、終わりです。【サンダーストーム】!」

 ケフェスの刀が、稲妻を帯びてさらに鋭さを増す。

「こんなもの!」

 ゼットさんが折りたたまれ、ロングソードへと変化した。

「いきます。【魔導斬マギ・スラッシュ】!」

 ロングソードで、イーデンちゃんが稲妻の嵐を切断する。

「バカな!? ボクの最大級の技が!?」

 稲妻を斬られて、ケフェスが無防備になった。
 だが、無理な体勢で斬ったせいで、イーデンちゃんも転倒をしてしまう。
 好機と見たか、ケフェスがイーデンちゃんを刀で突き刺そうとした。

「トドメです!」

 イーデンちゃんが、グルンと身体を回転させる。ケフェスの腹を切り裂いた。
 あの体勢から持ち直そうともせず、当てに行くか。

「ぐう!?」

 脇に届いたと思えば、ケフェスの身体が消えた。

「これは【テレポート】!?」

 気がつけば、ケフェスが背後に。

 ようやくイーデンちゃんもヒザを立てて、身体を起こせた。

 しかし、すでにケフェスは兜割りの構えに。

 イーデンちゃんは、ケフェスに背中をぶつけた。

「ぐふうう!」

 ケフェスの背中から、イーデンちゃんのロングソードが飛び出す。

 イーデンちゃんはロングソードを抜き、残心の構えに。

「ば、ばかな。ボクが、人間に。人間なんかに」

 腹の傷を押さえながら、ケフェスが膝をつく。

「人間だとなめてかかったから、あなたは負けたんです」

「そうですね。ボクとしたことが、相手の力量を見誤るとは。やはり、子供の頃に殺しておくのでした。あなたの力は、神に届くと思っていたから」

 息も絶え絶えに、ケフェスは正座をする。

「さあ、トドメを。まだ、ボクは生きている」

「しません。あなたには、もう仲間だっていません。撤退なさい。まだ命があるうちに。早く!」

「逃げたところで、フィゼに殺されるだけです。ですよね?」

 ケフェスがフィゼに、皮肉めいた笑みを向けた。

 しかしフィゼは、ケフェスを相手にしない。

「めんどくさ。死にたかったら勝手に死ねばいい」

 フィゼは、この場から退散する。

「意外と、気弱ですね。さあ、斬りなさい」

「斬りません。退きなさい」

「なぜ? ボクはあなたの母親の仇です」

「仇だとしても、わたしはあなたを殺したくない! たしかにわたしは、あなたが憎い! でも、切り捨てるのは違う。間違ってる」

 イーデンちゃんは、剣を収めた。

「憎しみからは何も生まないなんて、キレイごとは言いません。苦しみながらそのまま死ねとさえ、思っています。だけどあなたを殺したら、母さえ殺してしまいそうなんです」

『イーデンさん……!?』

 ゼットさんが、赤く警告色を発する。

『上空から高エネルギー反応! 来ます!』

 ケフェスが強制的に、イーデンちゃんを後ろへ突き飛ばす。
 次の瞬間、黒い稲妻が、ケフェスめがけて飛来した。
 ケフェスが黒雷を受けて、灰になる。
 イーデンちゃんが、ケフェスだった灰を掴む。

「誰が!? いったい誰が!?」

 仇を目の前で殺され、イーデンちゃんが怒りを爆発させた。

『魔王だよ』

 さっきの稲妻も、イーデンちゃんを狙っての攻撃だろう。

「そうですか。ダテさん。魔王を倒しましょう。彼こそ、この世界をこんなふうにしてしまったやつなんですよね」

『うん。彼こそ、このゲームのシナリオライターだろう』

 ゲミュートは黒幕ではあるが、実質的に力を持つのは魔王だ。

『魔王の現在地は……グレーデン!?』

 グレーデンは今、ゴットフリートが向かっているではないか。
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