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第五章 幼なじみの絵師が、同僚に!?
第31話 お嬢様と、Vデビュー!?
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どういうわけか、黄塚 萌々果さんとVTuberとしてデビューすることになった。といっても、ただのサンプルキャラクターとしてだが。
「ノブローくん、ボイスチェンジャーをお持ちしました。これを使えば、誰にもバレません」
萌々果さんが、手持ちのボイスチェンジャーを用意した。
「よく持っていたな?」
「こうなることは、事前にわかっていましたので。それでも、予算は大したことはありません。かなり安価で手に入れました」
オレのキャラクターはネコのマスコットなので、オレの地声よりかは声を変えたほうがいいだろうとなった。
「えらい小さいんだな。三千円だと、こんな感じか」
ボイチェのサイズは、スマホくらいしかない。
こんなんで本当に、声が変わるのか?
「本格的なやつだと、二、三万はするよ。とりあえず低予算でもできるかどうか、ためしてみよう」
莉子いわく、無料アプリでも試せるが、ひとまずこの価格帯でできるか、チェックすることに。
「やってみましょう」
ボイチェとマイクを繋げて、萌々果さんがオレにマイクを向けた。
「ノブローくん。なにか、声を発してください」
「あー、あー」
「ちょっと抽象的すぎて、よくわかりません」
「つっても、なにを話せば……」
「ほわああああ!」
オレが言葉を発した途端、女性陣がうなる。
たしかに、オレの声はちょっと宇宙人ぽくなっている。
「面白いな」
倉田も、興味ありげだ。
その後も、色々としゃべってみて、声の具合を調節する。
「これが一番、このキャラクターぽいですね。では、これで固定設定しておきます」
「よろしく頼む」
ボイチェの設定を終えた。調節した設定を、萌々果さんがメモる。
「倉田もやってみるか? ヤマダセーラっぽく、しゃべってみてくれよ」
オレは倉田に、ボイチェを差し出す。
「わかった。あー、あー。どうもごきげんよう。ヤマダセーラⅡ世でございますわよ。本日も、エレガントに参りましょう」
ネコと同じ声の設定で、倉田も話してみる。
「ほわあああああ!」
宇宙人ヤマダセーラが、地球に攻めてきた。そんな感じにさせてくれる。
「いいですね。思っていた以上に面白いです!」
「莉子もやってみせてくれ。莉子は、イケメン韓流スターをやってみろよ」
今度は莉子に、ボイチェが回った。
「えーいいのー?」といいつつ、莉子はちょっとノリノリ気味である。
「仕方ないなあ。あーあー。ドウモ。ニホンノミナサン。マイリマシター」
莉子は、設定をいじくった。韓流スターっぽく、やや棒読みでしゃべってみる。
「ほわああああああ!」
これまた、萌々果さんには大ウケだ。手を叩いて、喜んでいる。
思っていた以上に、このマシンは使えそうだ。耐久性も申し分ない。
「じゃあ、本番だ。萌々果さんが話してみてくれ」
「そうなんですが、このコの名前、どうしましょう?」
新設のレンタルVTuber事務所、【ねころんJAM】のイメージキャラとなる。じきに別のキャラクターが、公式で作られるんだろう。が、今のところはタキシードネコと令和風アイドルが看板キャラクターだ。
「そもそも、こいつは何者なんだよ? アイドル活動中なのか、アイドルになりきっている一般人か人外なのか」
「元・生身の地下アイドルです。地下活動中にネットの世界に閉じ込められたんですが、居心地がよかったのでそのまま住み着いている設定です。ややヘラっていますね」
案外、設定が濃いな。
「でんぱでんのーちゃん・カッコカリと、一応名前はあるんですけどね」
「長いな。略そう」
「では、【でのちゃん】で」
うわっ。ギリギリ攻めてくるな、萌々果さん。
「こっちのネコの方は、どうすっか?」
「ネコさんは、案内役です。彼が、電脳世界にでのちゃんを連れてきたって、設定ですね」
「どうして、連れてきたんだ?」
「でのちゃんは、売れないアイドルだったんですが、ネットでの人気はカリスマ的でした。それで、いっそのことネットの世界で生活してもらおうと考えたのです」
かなり尖った設定だったんだな。
「アイドルの方は【でのちゃん】で、ネコの方は……莉子が決めてくれ」
「えー。あたし? うーんとね。じゃあネコちゃんが、ねころんJAMにでのちゃんを招待したってことにしよう」
莉子の提案に、「それいいですね!」と、萌々果さんも手を叩く。
「名前だけど、なにがいいかなー。ジャム男とか」
「児童向けアニメの、あんぱん作るおじさんとかぶるな」
「だよねえ。じゃあ、ジャムろん?」
「それでいいか。じゃあ、【ジャムろん】って名乗るから」
オレが意見を聞くと、萌々果さんからも、OKサインが出た。
「では、台本を作っておきますので、お楽しみください」
こうして、後日収録という形に。
それまでには、莉子が注文を受けたアバターも完成するだろう。
「ところでさ、ノブローと萌々果ちゃんって、付き合ってんの?」
「付き合ってないっ。それ、倉田にも言われた」
「でもさ、カップルにしか見えないよ」
「どうだろうな。オレなんて、視界にも入っていないんじゃないかって思うぜ」
「いやいや。自然すぎて、ノブローが気にしてないだけだって。あれは絶対、気があるよ」
うーん。そう言われても。
とにかく、あまり萌々果さんの感情には、期待しないようにしよう。
「ノブローくん、ボイスチェンジャーをお持ちしました。これを使えば、誰にもバレません」
萌々果さんが、手持ちのボイスチェンジャーを用意した。
「よく持っていたな?」
「こうなることは、事前にわかっていましたので。それでも、予算は大したことはありません。かなり安価で手に入れました」
オレのキャラクターはネコのマスコットなので、オレの地声よりかは声を変えたほうがいいだろうとなった。
「えらい小さいんだな。三千円だと、こんな感じか」
ボイチェのサイズは、スマホくらいしかない。
こんなんで本当に、声が変わるのか?
「本格的なやつだと、二、三万はするよ。とりあえず低予算でもできるかどうか、ためしてみよう」
莉子いわく、無料アプリでも試せるが、ひとまずこの価格帯でできるか、チェックすることに。
「やってみましょう」
ボイチェとマイクを繋げて、萌々果さんがオレにマイクを向けた。
「ノブローくん。なにか、声を発してください」
「あー、あー」
「ちょっと抽象的すぎて、よくわかりません」
「つっても、なにを話せば……」
「ほわああああ!」
オレが言葉を発した途端、女性陣がうなる。
たしかに、オレの声はちょっと宇宙人ぽくなっている。
「面白いな」
倉田も、興味ありげだ。
その後も、色々としゃべってみて、声の具合を調節する。
「これが一番、このキャラクターぽいですね。では、これで固定設定しておきます」
「よろしく頼む」
ボイチェの設定を終えた。調節した設定を、萌々果さんがメモる。
「倉田もやってみるか? ヤマダセーラっぽく、しゃべってみてくれよ」
オレは倉田に、ボイチェを差し出す。
「わかった。あー、あー。どうもごきげんよう。ヤマダセーラⅡ世でございますわよ。本日も、エレガントに参りましょう」
ネコと同じ声の設定で、倉田も話してみる。
「ほわあああああ!」
宇宙人ヤマダセーラが、地球に攻めてきた。そんな感じにさせてくれる。
「いいですね。思っていた以上に面白いです!」
「莉子もやってみせてくれ。莉子は、イケメン韓流スターをやってみろよ」
今度は莉子に、ボイチェが回った。
「えーいいのー?」といいつつ、莉子はちょっとノリノリ気味である。
「仕方ないなあ。あーあー。ドウモ。ニホンノミナサン。マイリマシター」
莉子は、設定をいじくった。韓流スターっぽく、やや棒読みでしゃべってみる。
「ほわああああああ!」
これまた、萌々果さんには大ウケだ。手を叩いて、喜んでいる。
思っていた以上に、このマシンは使えそうだ。耐久性も申し分ない。
「じゃあ、本番だ。萌々果さんが話してみてくれ」
「そうなんですが、このコの名前、どうしましょう?」
新設のレンタルVTuber事務所、【ねころんJAM】のイメージキャラとなる。じきに別のキャラクターが、公式で作られるんだろう。が、今のところはタキシードネコと令和風アイドルが看板キャラクターだ。
「そもそも、こいつは何者なんだよ? アイドル活動中なのか、アイドルになりきっている一般人か人外なのか」
「元・生身の地下アイドルです。地下活動中にネットの世界に閉じ込められたんですが、居心地がよかったのでそのまま住み着いている設定です。ややヘラっていますね」
案外、設定が濃いな。
「でんぱでんのーちゃん・カッコカリと、一応名前はあるんですけどね」
「長いな。略そう」
「では、【でのちゃん】で」
うわっ。ギリギリ攻めてくるな、萌々果さん。
「こっちのネコの方は、どうすっか?」
「ネコさんは、案内役です。彼が、電脳世界にでのちゃんを連れてきたって、設定ですね」
「どうして、連れてきたんだ?」
「でのちゃんは、売れないアイドルだったんですが、ネットでの人気はカリスマ的でした。それで、いっそのことネットの世界で生活してもらおうと考えたのです」
かなり尖った設定だったんだな。
「アイドルの方は【でのちゃん】で、ネコの方は……莉子が決めてくれ」
「えー。あたし? うーんとね。じゃあネコちゃんが、ねころんJAMにでのちゃんを招待したってことにしよう」
莉子の提案に、「それいいですね!」と、萌々果さんも手を叩く。
「名前だけど、なにがいいかなー。ジャム男とか」
「児童向けアニメの、あんぱん作るおじさんとかぶるな」
「だよねえ。じゃあ、ジャムろん?」
「それでいいか。じゃあ、【ジャムろん】って名乗るから」
オレが意見を聞くと、萌々果さんからも、OKサインが出た。
「では、台本を作っておきますので、お楽しみください」
こうして、後日収録という形に。
それまでには、莉子が注文を受けたアバターも完成するだろう。
「ところでさ、ノブローと萌々果ちゃんって、付き合ってんの?」
「付き合ってないっ。それ、倉田にも言われた」
「でもさ、カップルにしか見えないよ」
「どうだろうな。オレなんて、視界にも入っていないんじゃないかって思うぜ」
「いやいや。自然すぎて、ノブローが気にしてないだけだって。あれは絶対、気があるよ」
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