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第三章 ビジホのオーナー、地雷系に変わる!?
第15話 映画強行軍
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「ノブローさん、おまたせしました」
「お、おっほう……」
今日は黄塚 萌々果さんと、映画を見に行く。
「どうでしょう? この日のために、お洋服を整えてきました」
「うん。いつもはジャージだから、見違えた」
萌々果さんはたいてい部屋の中にいるので、変Tとハーフパンツのジャージで過ごす。
それが今は、ブルーのデニムワンピースである。清潔感があって、必要以上のお嬢様感を抑えていた。普段着っぽさがありつつ、おしゃれな感じを漂わせている。
「ノブローさんの衣装も、素敵ですよ」
「そうか? なら、よかった」
お嬢様が引き立つように、オレはスーツ系のおとなしいデザインで決めてみた。一応、それなりに奮発している。ただ、あまりコーデを決めようとしすぎると失敗するという。
「どなたかが選んだのでしょうか?」
「妹にな。選んでもらった」
「素敵な妹さんですっ」
「どうだろうな。あいつはガチの地雷系だから」
「ぜひご教授願いたいですっ」
「わかった。今度、話してみる」
「やりましたっ」
うれしそうに、萌々果さんがはしゃぐ。
「じゃ、映画を見よう」
「ネタバレが怖い順に、見に行こうかと」
となると、最初はアニメのほうだな。あっちはSNSで賛否分かれているらしい。
一応オレはネタバレを踏まないようにしている。
原作とラストを変えているらしいが、その情報も入れない。
「マンガ版はOWOにも置いてあるんですが、映画を楽しむためにあえて読んでいません」
萌々果さんも、徹底しているな。
「ただ、どうするか。前後編合わせて、トータル四時間半もあるぞ」
「そのために、朝のうちに用意していたのです」
現在、朝の九時半だ。
「朝に前編を見て、食事休憩の後、後編を見ます。夕方には、帰れるでしょう」
「強行軍だな」
「それだけ、ネタバレが怖いのです。腰やおしりが痛くなりそうですが、そこは、堪えましょう」
まあな。オタ活は、多少ムリがないと。
「では、前編参りましょう」
「金払うよ」
「いえ。出させてください」
ここで押し問答をしても、しょうがない。
昼食代とカフェ代をごちそうすることで、手を売った。
二本見るので、ポップコーンもドリンクも最小サイズで。昼メシにも行くからだ。
「始まりましたっ」
シートに座って、映画を鑑賞する。
萌々果さん、爆音シートをチョイスなさるとは。
おかげで、SFパートが尋常じゃない臨場感を出している。
二時間、圧倒されっぱなしだった。
「頭が、まだガンガンしていますよ」
萌々果さんが、ヒザを落としそうになった。
「おっとと」
オレは、萌々果さんを抱き上げる。
「あ、ありがとうございます」
「い、いえいえ。大丈夫か?」
「平気です。大丈夫ですので」
萌々果さんが、持ち直す。
「メシは食えそうか?」
「ごはんが食べたいですっ」
昼食は、ファミレスで過ごした。
「デートと言うには、やや味気ないのですが、ご勘弁を」
ハンバーグセットを、萌々果さんはうまそうに食べる。
「オレの財布事情を確認しているんなら、大丈夫だからな」
ドリアとドリンクバーしか頼んでいないやつが、言っていいセリフではないが。
「そうではなくて、今日はファミレスでがっつり食べたかったんですよ」
「だよなあ。なんか腹に目一杯ヤバいのを詰め込みたい気分になった」
そうしないと、精神が持たない。あれは。
「それこそ、ラーメン屋さんで辛味調味料をガンガンに入れて一気にすすりたい気分でした。涙を垂れ流して、そのまま就寝したい気分です」
「わかる」
「さて、後半戦です。どうなるのか気になりますっ」
後半も、爆音で楽しんだ。
カフェで、コーヒーを飲みながら感想会をする。
「落ち着きました。疲れましたが、いい疲労感です」
「うん。最高だった。めっちゃしんどかったぁ。心がズタズタになった」
さすがに、二本立て続けに見るのは、身体の負担がえげつない。
尿意を催すコーヒーをずっとガマンしていたので、カフェオレがうますぎだ。
「ほわあああ。なんか、前半は怒涛の勢いでしたが、後半はうまくまとめましたね」
「あんな展開の中で、どうやって風呂敷をたたむのかと思ったが、ああくるとはなぁ」
「しっとりとした、優しい終わり方でしたね」
「なんの解決もしていないのにな」
そうなのである。あの話は、余韻のある終わり方をした。
「今日は、安いものばかりで悪かった」
どういったスケジュールなのかわからなかったので、オレは予約を取っていない。
楽しんでくれただろうか。
「次は、ちゃんとレストランを予約を取るよ」
「期待しております」
来週は、繁華街で見に行くことになった。
「でも、ノブローさんはいい方です」
「そうか?」
「人を楽しませることを、優先なさるので」
「どうだろうな? 飯屋の予約もできないやつだぜ?」
「でも、お気づきになるなんて素晴らしいと思いますよ」
なら、ありがたいが。
「来週は、刑事モノのアクションなんだよな? 見た後、なにを食いに行こう?」
今日と同じ感じでいいなら、純喫茶という手もある。
ただ、分煙していないんだよなあ……。
「本日が洋食でしたので、来週は天ぷらなどの和食メインにしましょう」
「ミニそばもつくのか。いいな。もう、予約取っとくか」
さっそく、レストランの予約を入れた。
「では、映画のあとは天ぷらということで」
「お、おっほう……」
今日は黄塚 萌々果さんと、映画を見に行く。
「どうでしょう? この日のために、お洋服を整えてきました」
「うん。いつもはジャージだから、見違えた」
萌々果さんはたいてい部屋の中にいるので、変Tとハーフパンツのジャージで過ごす。
それが今は、ブルーのデニムワンピースである。清潔感があって、必要以上のお嬢様感を抑えていた。普段着っぽさがありつつ、おしゃれな感じを漂わせている。
「ノブローさんの衣装も、素敵ですよ」
「そうか? なら、よかった」
お嬢様が引き立つように、オレはスーツ系のおとなしいデザインで決めてみた。一応、それなりに奮発している。ただ、あまりコーデを決めようとしすぎると失敗するという。
「どなたかが選んだのでしょうか?」
「妹にな。選んでもらった」
「素敵な妹さんですっ」
「どうだろうな。あいつはガチの地雷系だから」
「ぜひご教授願いたいですっ」
「わかった。今度、話してみる」
「やりましたっ」
うれしそうに、萌々果さんがはしゃぐ。
「じゃ、映画を見よう」
「ネタバレが怖い順に、見に行こうかと」
となると、最初はアニメのほうだな。あっちはSNSで賛否分かれているらしい。
一応オレはネタバレを踏まないようにしている。
原作とラストを変えているらしいが、その情報も入れない。
「マンガ版はOWOにも置いてあるんですが、映画を楽しむためにあえて読んでいません」
萌々果さんも、徹底しているな。
「ただ、どうするか。前後編合わせて、トータル四時間半もあるぞ」
「そのために、朝のうちに用意していたのです」
現在、朝の九時半だ。
「朝に前編を見て、食事休憩の後、後編を見ます。夕方には、帰れるでしょう」
「強行軍だな」
「それだけ、ネタバレが怖いのです。腰やおしりが痛くなりそうですが、そこは、堪えましょう」
まあな。オタ活は、多少ムリがないと。
「では、前編参りましょう」
「金払うよ」
「いえ。出させてください」
ここで押し問答をしても、しょうがない。
昼食代とカフェ代をごちそうすることで、手を売った。
二本見るので、ポップコーンもドリンクも最小サイズで。昼メシにも行くからだ。
「始まりましたっ」
シートに座って、映画を鑑賞する。
萌々果さん、爆音シートをチョイスなさるとは。
おかげで、SFパートが尋常じゃない臨場感を出している。
二時間、圧倒されっぱなしだった。
「頭が、まだガンガンしていますよ」
萌々果さんが、ヒザを落としそうになった。
「おっとと」
オレは、萌々果さんを抱き上げる。
「あ、ありがとうございます」
「い、いえいえ。大丈夫か?」
「平気です。大丈夫ですので」
萌々果さんが、持ち直す。
「メシは食えそうか?」
「ごはんが食べたいですっ」
昼食は、ファミレスで過ごした。
「デートと言うには、やや味気ないのですが、ご勘弁を」
ハンバーグセットを、萌々果さんはうまそうに食べる。
「オレの財布事情を確認しているんなら、大丈夫だからな」
ドリアとドリンクバーしか頼んでいないやつが、言っていいセリフではないが。
「そうではなくて、今日はファミレスでがっつり食べたかったんですよ」
「だよなあ。なんか腹に目一杯ヤバいのを詰め込みたい気分になった」
そうしないと、精神が持たない。あれは。
「それこそ、ラーメン屋さんで辛味調味料をガンガンに入れて一気にすすりたい気分でした。涙を垂れ流して、そのまま就寝したい気分です」
「わかる」
「さて、後半戦です。どうなるのか気になりますっ」
後半も、爆音で楽しんだ。
カフェで、コーヒーを飲みながら感想会をする。
「落ち着きました。疲れましたが、いい疲労感です」
「うん。最高だった。めっちゃしんどかったぁ。心がズタズタになった」
さすがに、二本立て続けに見るのは、身体の負担がえげつない。
尿意を催すコーヒーをずっとガマンしていたので、カフェオレがうますぎだ。
「ほわあああ。なんか、前半は怒涛の勢いでしたが、後半はうまくまとめましたね」
「あんな展開の中で、どうやって風呂敷をたたむのかと思ったが、ああくるとはなぁ」
「しっとりとした、優しい終わり方でしたね」
「なんの解決もしていないのにな」
そうなのである。あの話は、余韻のある終わり方をした。
「今日は、安いものばかりで悪かった」
どういったスケジュールなのかわからなかったので、オレは予約を取っていない。
楽しんでくれただろうか。
「次は、ちゃんとレストランを予約を取るよ」
「期待しております」
来週は、繁華街で見に行くことになった。
「でも、ノブローさんはいい方です」
「そうか?」
「人を楽しませることを、優先なさるので」
「どうだろうな? 飯屋の予約もできないやつだぜ?」
「でも、お気づきになるなんて素晴らしいと思いますよ」
なら、ありがたいが。
「来週は、刑事モノのアクションなんだよな? 見た後、なにを食いに行こう?」
今日と同じ感じでいいなら、純喫茶という手もある。
ただ、分煙していないんだよなあ……。
「本日が洋食でしたので、来週は天ぷらなどの和食メインにしましょう」
「ミニそばもつくのか。いいな。もう、予約取っとくか」
さっそく、レストランの予約を入れた。
「では、映画のあとは天ぷらということで」
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