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第四章 駅弁開発で、ししょー身バレの危機!?

第27話 最終話 求愛?

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 ナタリーナは、オレがアドバイザーの【ブキミししょー】と気づいていた。その上で、オレに感謝してくれている。

「どこで気づいた?」

 隠す必要もないかと、オレはナタリーナに問いかけた。

「ボンヤリと」

 思考がブキミししょーと似すぎている点が、多くあったらしい。

「決定的だったのは、ついこの間」

「そんなこと、あったか?」

 オレは結構、注意を払っていた気がしたんだが。

「ドワーフが結婚式に釜をプレゼントするのを、ししょーは知っていた。わたし、教えていないのに」

 あー。しまった。そんなところで足がついていたのか。

「すまん。お前の邪魔をしないように、アドバイスされたときだけ答えようって構えていたんだが」

「助かってる。ししょーの言葉でも、キョウマ自身にも」

 釜をずっと抱えたまま、ナタリーナは視線を泳がせていた。

「受け取っていいんだよな?」

「もちろん」

 オレは、ナタリーナがくれた釜を受け取る。

 木でできたフタを開けた。中身は、釜めしだ。それも、手作りじゃないか。オレが考案したより、豪華になっている。

「お前が作ったのか?」

「作り方を、モヒートから教わって」

 ナタリーナの後ろで、モヒートが手を振った。

「具材がてんこ盛りだな?」

「その方がおいしいって」

 釜めしと言ったら、乗車して食べるものだろう。オレとナタリーナは、SLに乗ろうとした。

「いや。のんびり、風を感じながら食おうか」
「それがいいかも」

 トロッコ列車の方へ、乗り込む。

 SLと比べても、トロトロ運転だ。しかし、これがいい。

 ああ、これだ。このまったりしたスピードで進むのがちょうどいい。

「じゃあ、いただきます」

 オレは、ナタリーナお手製の釜めしをもらう。

「……うまい。お前さん、すぐお嫁さんになれるぜ」

「いやいや勘違いしないでほしい。パートナーをねぎらっているだけ。結婚したいと入っていない」

 手をパタパタさせながら、ナタリーナは冷や汗をかく。

「そうなのか?」

「うんうん」

 オレは、スマホ型冒険者証を、懐から出す。

『とてもおいしいですね。愛情が感じられます』

「くああああ」

 文面を読みながら、ナタリーナが顔を隠した。

「プロポーズ作戦は、うまくいったようデース」

「ほほえまですわ」

 モヒートとジャックが、馬で追いかけてくる。歩くよりちょっと早いレベルのの鈍行だから、馬でも追いついてしまうのだ。

「いやあ、知りませんでした。鹿の人が王女だったなんて。鹿の人が男性に求愛をしたので、てっきりそっちの趣味かと」

 王女であるナタリーナは、【認識阻害のフード】によって変装している。世間様には、マッチョなオッサンに見えているのだ。

 しかし、ナタリーナはオレに礼を言おうとして、フードを取った。街を発展させたと、王女としてオレに感謝してくれたのである。

「お前さんの功績だ。オレは何もしていない」

「わたしに任せてくれたことも、影で支えてくれていたことも、全部わかってる。だから、感謝している」

「そうか。こちらこそありがとうな。せめて感謝のキスを」

「いやいやいや発情しないで」

 手で静止しつつも、手を握りしめてきたのは向こうの方だ。

「キョウマはおちょくってきてるのかマジなのか、ときどきわからない」

「相思相愛だと思っていたが」

「まあまあ。感謝はしているけど、それとこれとは別」

 オレの腕をブラブラさせながら、ナタリーナは口ごもる。

「ドワーフの求愛方法だから、てっきり」

「ままま、まあまあまあ。それくらい感謝しているってことで」

 腕のブラブラが、強さを増してきた。

「言い訳がましいデース」

「ほんとは、お慕いもうしているくせに。ニンジンをハート型に切るなんて、教えていませんのに」

 ジャックとモヒートが、ナタリーナをちゃかす。

「鹿の人に、運命の人が誕生したのですね?」

「だから、ちがうー」

 ナタリーナは否定するほどに、赤面した。

「さあああてええ。次の土地を目指す」

 気持ちを無理やり切り替えようとしたのか、ナタリーナが話題を変える。

「逃げたデース」

「逃げましたわ」

 レッドアイ夫妻にからかわれながらも、ナタリーナは新たな目的地を指さした。

「次は、ナギアンの盗賊退治だから。気を引き締めるように」

「おう。またこのししょーが、指示してやるよ」

「もーうっ」

 ナタリーナが、オレの胸をドンと叩く。

(おしまい)
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