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第三章 新天地の領主は、新たな転移者!?

第22話 都市発展の方向性

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『オヤカタ。終わったー』

「おう。ご苦労さん」

 採取したレアキノコを、ワンオペに食わせた。これで、コイツはもっと強くなる。

『オヤカタ、ムチャしすぎ。せめて二次職でとどめておいたほうが、よかったのではー?』

 ワンオペが、オレに語りかけてきた。

『【バトルオーラ】は強いけど、救済措置。ずっと出せるわけじゃないじゃーん』

「このゲームのメインはバトルじゃないから、いいんだよ」

 ディアボリック・ブルーは、あくまでも都市発展ゲームだ。
 なので、あまりバトルに偏重したくない。バトルも楽しいことは楽しいが、強くなりすぎるのも考えものだ。
 モンスターの素材を、ナタリーナたちと割り振る。

「強化素材は、ナタリーナの防御面に割くか」

 オレは足の装甲をいただいて、脚力強化を図るとしよう。

「昆虫型ボスの素材はいただけまセーン。ミスターキョウマの獲物でショー?」

「そうですわ。こんな高価なもの、受け取るわけには」

「デスデース。ただでさえ、街の発展に貢献してくださるのに」

 それもそうか。では、報酬として受け取ることにする。
 ベチョ、とオレの上腕に冷たいものが触れた。
 腕の方を見る。
 ナタリーナが、オレの腕に軟膏を塗ってくれていた。

「ああ、オレ、ケガをしていたんだな?」

「気づかないとダメ。冒険者失格」

「アハハ。悪い悪い。ありがとうナタリーナ」

 オレが礼を言うと、ナタリーナはプイと横を向く。

「ほほえましい光景デース」

「ですわ。誰も見ていなくてよかったですわね」

 レッドアイ夫婦がおだてると。ナタリーナはさらに意固地になってホホをふくらませた。

「それはそうと、都市はどうするか?」

 どうやって、発展させればいいんだ?

「ハチ型の魔物が多いので、ミツバチ栽培をしようかと」

 たしかにここは、花がたくさん咲いている。薬草用だけではなく、普通に雑草として生えている花々が、多く見られた。

「鉄道の光景としても、壮観。花畑は大事にして、その周辺を開発していく」

「いいな。あとは果樹園を大きくしよう。果実の酒を売ってもいいな」

 駅に戻る。

 複数の馬車が、駅近くに止まっていた。しかし、鉄道に乗る気配はない。みな冒険者で、代金がないからだ。よって、みんな見ているだけである。鉄道を利用する冒険者なんて、貴族のボディガードくらいである。

「馬車が通ってる」

「ああ。『道の駅』のようなものがあったら、いいかもしれないな。果実酒やジャムを、瓶に入れて売るとか。アイテムボックスなら、入れておいても腐敗しないからな」

 オレが提案すると、ジャックが「グッド!」と指を鳴らす。

「道の駅という発想がありましたか」

「たしかにここは、馬車の往来のほうが多いのです。冒険者は列車の代金を出せないので」

 だとしたら。

 ちょっと、ナタリーナと相談をする。

「……いいかもしれない」

「だろ? こういうのも手だと思うんだ」

 レッドアイ夫婦をおいて、オレたちはある結論に達した。

「なんのお話をなさっているのデース?」

「線路を、もう一本増やそうかと」

「ほうほう?」

「そこに小型の列車も通す。格安の賃金で、冒険者でも乗れる列車を走らせるんだ」

 メンディーニ地方の列車が小さいのは、運賃を安くするためだという。

 北ナマゾのような大規模サイズの列車を走らせようとすると、どうしても交通費がかかってしまう。維持費も大変だ。そこで、列車のサイズ自体を縮めて、一般利用も可能にしている。

「北ナマゾに元々ある鉄道は、そのまま貴族用に。それ以外にもう一本、メンディーニと道を繋ぐ」

 馬車は北ナマゾで降りてもらい、そこからメンディーニまでは列車を使ってもらえばいい。

 ナマゾ地帯は北と南の間に、険しい山々がある。馬車で乗り越えるには辛すぎるのだ。

「いいデースね! 大規模工事になりますが、北ナマゾじゅうの冒険者にかけあってみマース!」
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