懐古主義オッサンと中二病JKは、無双しない

椎名 富比路

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第四章 王都で、相棒そっくりの女性と出会う

第51話 サービス精神旺盛すぎる姫

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 この世界の銃が、魔法の杖扱いだったとは。めんどくさい工程を挟んで、魔法を撃ち出してんのな。

「変に銃を組み立てたところで、理屈がメチャクチャになりそうだな」

 その証拠に、ピエラは銃の内部構造を、瞬時に魔法技術に転用している。使い慣れている方を選んだ感じだ。

 その後もオレたちは、ダンジョンに何度も挑戦をした。

「初心者向けダンジョンって聞いていたのに、やたら歯ごたえのあるフロアになったな」
「やられっぱなしは、イヤだったんでしょうね」

 ピエラが、先祖の言葉を代弁する。

 だが、そのおかげでレベル不足が補えた感じがした。ケガの功名ってやつか。

 とはいえ、レベリングも楽ではない。周回していくうちに、レベルアップも頭打ちになってきた。

「ここらが限界か」

 半日でここまでレベルを上げられたら、上等である。

「ねえ、ちょっといいかしら?」
「どうぞ、ピエラ」
「スケルトンたちも、潜らせたいんだけど?」

 ピエラが言うには、スケルトンたちもレベルが上がるのかチェックしたいという。

「いいな。攻略させてみるか」

 そういえば、スケルトンが実戦で戦ったところを、見たことがなかったな。

「やってみるわね」

 オレたちも、ピエラについていく。

 ダンジョンに潜ってすぐ、ピエラがスケルトン二体を召喚した。

「んじゃ、行きますぜ」

 スケロクが、拳を胸の前で当てる。

「行きますえ」

 妻のスケチヨが、杖を振り回した。

 現れたのは、敵のスケルトンである。

「ザコは引っ込んでてくれや!」

 飛び蹴りの一撃で、スケロクはスケルトンの群れを破壊した。

 さすがに、なめ過ぎか。

 スケチヨは、次に出てきたスライムを、範囲攻撃魔法で焼く。

「もっと強いのは、いまへんのかえ?」

 スケルトン夫婦の要望に答えたのか、オーガや式神のキツネなどが現れた。

 それさえも、スケルトン夫婦は蹴散らしていく。

「いやあ、いい汗をかきやした」

 ダンジョンの外へ出て、スケロクが額を拭う。

 スケルトンのどこに汗腺があるのかわからないが。スケルトンなりのジョークなのか?



 いい狩り場を紹介してもらったお礼に、オレたちはレティ姫たちに料理を振る舞う。
 といっても何も用意していなかったから、バーベキューだが。


「あー、ステキ。こうやって立ち食いも悪くないね」

 大口を開けて、姫が肉にかぶりつく。

「貴族様に見合うメニューじゃなくて、すまない」
「いいのいいの。気を使わないでよ」

 窮屈なテーブルマナーなどは、正直姫の性に合わないという。

 この姫なら、そうだろうな。

「それより、男の意見が聞きたいな。男子ってさ、だいたいの場合かなりウブなわけ?」
「さあ」

 現場を見ていないので、オレはよくわからない。あの王子のことだから、チャラい姫より清楚なアニエスを選んがような気もする。

「心当たりは?」
「結構、サービスしていると思うけど?」

 姫はネグリジェ姿で相手宅の寝室に飛び込んだり、風呂に全裸で乱入したりと、積極的にアプローチをしていたらしい。

 だが、まったく相手にされていないとか。

「アタシって、そんなに魅力ないかな?」

 食事を終えて、姫様の悩み相談となった。

「そんなことはないだろ? 引いているだけじゃないのか?」
「引いてんの? 姫であるアタシが裸体を晒しているのに、ガッツかない?」
「たしかに、据え膳食わぬは、とはいうが。やりすぎだ」

 もっと三歩くらい引いてくれたほうが、男性としても接しやすいかなと。

「大丈夫。姫は魅力的」

 モモコが、助け舟を出してくれた。

 こういうときは回答ではなく、共感してくれる相手が必要だな。

「そうなん? よかった」
「女あまりとかも、あの王子ならありえない。案外一途だし」
「だよねえ。アンタにぞっこんだもんね」

 また、姫が意気消沈する。

「見た目はそうかもしれない。でも、中身はおそらく姫様の方がいい」
「どうだろうね?」
「自信を持って」
「やってみるけど……っ!」

 姫様の腰が、ピカピカ点滅していた。王族用の通信端末が、光っている。

「どうしたの……わかった。すぐに帰るよオヤジ!」

 どうやら、ドルリーの国王からのようだ。

「またヴリトラが現れたって。国の騎士だけじゃ、押さえられない!」
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