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第三章 領土拡大と、崖の下の難関ダンジョン

第40話 水鉄砲で、海賊狩り

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 外へ出ると、女性が海賊らしきヤツラに連れて行かれていたではないか。娘を捕らえた男性が、組合長か。

「借金のカタに、娘を連れ去ったみてえだな」
「ひどい」

 モモコは憤る。

「あんたなら、そう思うだろうな」

 中年ハンターは、なりゆきを見守るだけ。

「だが、やめときな。ヤツラは強いモンスターを引き連れている。うかつに手を出せねえぜ」

 ハンターは、オレたちに忠告して去っていった。

 しかし、オレたちの考えは決まっている。

 準備をするために、一旦領地へ。ウニボーの毛玉を持っていれば、いつでもここへ帰ることができる。

「女性が海賊に捕まってるってなると、他にも人質がいるかも」
「だな。ヘタに大火力の銃や魔法は撃てない」
「バックに【世界の裏側】から来たモンスターがいるってのも、気になるね」

 人間の敵が相手だが、骨の折れる仕事になるかも知れん。

「おっ、早かったな」

 ルイが、水着姿でシャワーへ向かうところだった。着ているのは、オレンジのビキニである。モモコとは違い、完全スポーツタイプだ。これはこれで、競泳水着のような趣がある。見る人が見れば、性癖が歪みそうだ。

「ワントープ騎士団に頼まれてな。跡継ぎの子どもたちを、トレーニングがてら海で遊ばせていたんだ」

 こんな水着姿の少女に手ほどきしてもらったら、おそらく訓練どころではなかっただろう。

「女子は筋がよかったな。男子は、情けなかったぞ。ジロジロ見られて大変だった」
「だ、だろうな。オレだって同じ考えだ」
「そうなのか?」

 無自覚エロスとは、罪だなあ。

「聞きたいんだが、騎士団は海賊討伐とか、考えているのか?」
「海賊の話を聞いたのか? 魔物に関してだが、もう問題がないようだ」

 ルイから話を聞いて、オレたちは勝利を確信した。

「ただいま。いやー、いいものが採れたわ」

 ピエラも、水着姿で帰ってくる。紫のワンピースで、フリル付きだ。ただの飾りではなく、アイテム探知のセンサーが付いている。いかにも合理主義なピエラらしい水着だ。

 ルイと一緒に、シャワーへ向かう。

「ボク、泳ぐなんて久しぶりだったわ」

 海底まで潜って、珍しい錬金アイテムを探していたらしい。

「で、どんなアイテムを手に入れたんだ?」
「これよ」

 手に入れたアイテムを、ピエラがオレたちに見せてくれる。

「海底火山の力が詰まった、魔法石よ。水に濡れても燃えるの」

 熱湯を発射できる魔法石らしい。いちいち炎属性と氷属性の魔法石を調節しなくても、この石だけでお湯が使えるようになる。

「すげえ。いいんじゃないか?」
「欲しいなら。分けてあげるわ。ギルドにはおろしてあるし、両親のお店にも渡したから」

 他にいいアイテムがあったので、これくらいなら分けてくれるらしい。

「ありがとう。使わせてもらう。ゆっくり休んでくれ」
「ええ。どこへ行くの?」
「海賊退治だ」

 領地の留守をルイたちに任せて、オレたちは海賊の集まるという賭場へと向かった。 

「こんにちはー」

 オレたちは、賭場に乗り込む。銃を構えて、弾を撃ち込んだ。

「ひいいい! 熱いいいい!」

 水鉄砲の先から、熱湯を放つ。飛距離を調節して、人質には当たらないようにする。

 足に浴びせるだけでも、海賊たちは悶絶した。海底火山の熱を利用しているのだ。相当熱いのだろう。

 氷魔法で大気を凍らせて窒息という手が、おそらく一番効率的で手っ取り早い。だが、そんなケレン味のない戦略の何が楽しいのか。

 激熱水鉄砲だけで、海賊は一気に壊滅した。

「て、てめえよくも!」

 後は、海賊の頭領だけだ。横には、例の貴族ヤンキーたちも。

「このままで済むと思うなよ! オレ様にはな【世界の裏側】からのモンスターがいるんだ!」
「そのモンスターなら、オレたちが倒した」
「なあ!? バカな! スキュラ様がそんな簡単に!?」
「ああ、このアイテムの持ち主か」

 オレは、ドロップアイテムであるスキュラのしっぽを頭目に見せた。

「全員、熱湯な」

 コイツラには、さらに大量の激熱水鉄砲を食らわせる。
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