34 / 62
第三章 領土拡大と、崖の下の難関ダンジョン
第34話 システムを活かした捨て身
しおりを挟む
スキュラの本体である人魚が、手を水平に伸ばす。
さっき倒した二体のヤドカリが、再回転を始めた。スキュラの元へと飛んでいく。
エイの背骨辺りを、スキュラは蹴り上げた。
背骨の一部が外れて、飛び出す。宙に浮いた骨が、棒状の武器へと変わる。
回転するヤドカリを、棒で突き刺すように受け止めた。貝殻が細長くなり、ヤリの先端となる。
モモコが二丁のマシンガンで、スキュラを乱れ打ちによって攻撃した。
回転する貝殻を、スキュラはさらに振り回す。
銃弾はヤリに阻まれるどころか、貝殻の回転によって跳ね返ってきた。
「これならどうだ!」
ランチャーを構え、オレは発砲する。砲撃は、跳弾では打ち返せまい。
ロケットが、スキュラに命中する。大爆発を起こし、逃げ場もなかった。無事では済むまい。
「なに!?」
だが、スキュラはかすり傷一つなかった。貝殻のヤリで防いだのか。
「インファイトなら、どうだ?」
オレたちは、銃撃を捨てた。剣を構えて、突撃する。
グレートソードは重すぎて、人間相手にはまず当たらないだろう。オレはロングソードと盾で攻防一体に賭けた。
モモコは光る剣を逆手持ちに、「自分を攻撃してきた相手に反撃のカマイタチを放つ」魔法で自身を守る。
「勝てると思ってんじゃないよ!」
ヤドカリのヤリで、スキュラがオレを突き刺しにかかった。
盾で攻撃を防ぐも、槍先の回転で盾が持っていかれてしまう。剣で弾き飛ばすしかない。
モモコは相手の攻撃をかわしつつ、逆手持ちの剣で相手の懐を狙う。
しかし、相手も氷の障壁をピンポイントで作り出し、モモコの剣を通さない。
一旦、敵と距離を置く。
「強いな」
「倒す方法は、ある。クニミツ、こっちに」
モモコは、オレに耳打ちをしてきた。
「確かに、それなら確実だろうな。しかし」
「大丈夫。私に任せて」
モモコはウニボーに、巨大エイと戦っている二人に作戦を伝えてもらうよう頼む。
「わかったモジャ。行くモジャ!」
アイテムボックスから、ウニボーが飛び出す。
「逃さないよ!」
スキュラが反応し、冷気の矢を口から吐き出した。
「アンタの相手は、こっち」
モモコが、再度インファイトで懐に飛び込む。
「何度やっても同じこ……な!?」
二連発ランチャーに、スキュラが驚愕する。
相棒に空きを作ってもらっている間、オレは連続で大型の大砲を二発担いで続けざまに撃ったのだ。
「味方ごと吹っ飛ばす気かい!? 上等だ!」
ヤドカリのヤリを旋回させ、スキュラは爆発と爆風を自分だけ防ごうとした。
その腕に、モモコは剣を突き刺す。
「貴様!?」
「チェックメイト」
「くっ!」
スキュラは、素手でモモコに殴りかかろうとした。
モモコはスキュラの背後に素早く回り込んで、ロケットの爆発から逃れようとた。しかし、手首をスキュラに掴まれる。
「逃さないよ!」
スキュラは、剣が突き刺さったままの腕を振り下ろした。ヤリでモモコの腹を刺すつもりだ。
「別に逃げるなんて言ってない」
モモコは、攻撃を甘んじて受ける。カウンターが発動し、カマイタチがヤリを切り刻む。
ランチャーを受けて、スキュラは爆発に巻き込まれた。
「やっ……てない!」
「ぐ、貴様ら! この程度の攻撃でアタイが死ぬと思っていたのか?」
「思ってない。だから布石を用意した」
「……な、下から!?」
エイの背中が、熱を帯びて赤くなっていく。
モモコは、下で戦っている二人に、特大の火炎放射を頼んだのだ。
回転によって攻撃を阻むヤドカリはこちらが引き受けている。
その分、胸部分は無防備になっているはずだった。
計算はうまくいき、あとはモモコがそこへスキュラを誘導する。
二人同時に死ぬことになるが、モモコは意に介さない。
世界の裏側で死んだ冒険者は、寺院で蘇生してもらえるからだ。
少なくとも、モモコはそう考えているだろう。
だが、足りない。
オレは、スキュラの位置まで突撃した。
さっき倒した二体のヤドカリが、再回転を始めた。スキュラの元へと飛んでいく。
エイの背骨辺りを、スキュラは蹴り上げた。
背骨の一部が外れて、飛び出す。宙に浮いた骨が、棒状の武器へと変わる。
回転するヤドカリを、棒で突き刺すように受け止めた。貝殻が細長くなり、ヤリの先端となる。
モモコが二丁のマシンガンで、スキュラを乱れ打ちによって攻撃した。
回転する貝殻を、スキュラはさらに振り回す。
銃弾はヤリに阻まれるどころか、貝殻の回転によって跳ね返ってきた。
「これならどうだ!」
ランチャーを構え、オレは発砲する。砲撃は、跳弾では打ち返せまい。
ロケットが、スキュラに命中する。大爆発を起こし、逃げ場もなかった。無事では済むまい。
「なに!?」
だが、スキュラはかすり傷一つなかった。貝殻のヤリで防いだのか。
「インファイトなら、どうだ?」
オレたちは、銃撃を捨てた。剣を構えて、突撃する。
グレートソードは重すぎて、人間相手にはまず当たらないだろう。オレはロングソードと盾で攻防一体に賭けた。
モモコは光る剣を逆手持ちに、「自分を攻撃してきた相手に反撃のカマイタチを放つ」魔法で自身を守る。
「勝てると思ってんじゃないよ!」
ヤドカリのヤリで、スキュラがオレを突き刺しにかかった。
盾で攻撃を防ぐも、槍先の回転で盾が持っていかれてしまう。剣で弾き飛ばすしかない。
モモコは相手の攻撃をかわしつつ、逆手持ちの剣で相手の懐を狙う。
しかし、相手も氷の障壁をピンポイントで作り出し、モモコの剣を通さない。
一旦、敵と距離を置く。
「強いな」
「倒す方法は、ある。クニミツ、こっちに」
モモコは、オレに耳打ちをしてきた。
「確かに、それなら確実だろうな。しかし」
「大丈夫。私に任せて」
モモコはウニボーに、巨大エイと戦っている二人に作戦を伝えてもらうよう頼む。
「わかったモジャ。行くモジャ!」
アイテムボックスから、ウニボーが飛び出す。
「逃さないよ!」
スキュラが反応し、冷気の矢を口から吐き出した。
「アンタの相手は、こっち」
モモコが、再度インファイトで懐に飛び込む。
「何度やっても同じこ……な!?」
二連発ランチャーに、スキュラが驚愕する。
相棒に空きを作ってもらっている間、オレは連続で大型の大砲を二発担いで続けざまに撃ったのだ。
「味方ごと吹っ飛ばす気かい!? 上等だ!」
ヤドカリのヤリを旋回させ、スキュラは爆発と爆風を自分だけ防ごうとした。
その腕に、モモコは剣を突き刺す。
「貴様!?」
「チェックメイト」
「くっ!」
スキュラは、素手でモモコに殴りかかろうとした。
モモコはスキュラの背後に素早く回り込んで、ロケットの爆発から逃れようとた。しかし、手首をスキュラに掴まれる。
「逃さないよ!」
スキュラは、剣が突き刺さったままの腕を振り下ろした。ヤリでモモコの腹を刺すつもりだ。
「別に逃げるなんて言ってない」
モモコは、攻撃を甘んじて受ける。カウンターが発動し、カマイタチがヤリを切り刻む。
ランチャーを受けて、スキュラは爆発に巻き込まれた。
「やっ……てない!」
「ぐ、貴様ら! この程度の攻撃でアタイが死ぬと思っていたのか?」
「思ってない。だから布石を用意した」
「……な、下から!?」
エイの背中が、熱を帯びて赤くなっていく。
モモコは、下で戦っている二人に、特大の火炎放射を頼んだのだ。
回転によって攻撃を阻むヤドカリはこちらが引き受けている。
その分、胸部分は無防備になっているはずだった。
計算はうまくいき、あとはモモコがそこへスキュラを誘導する。
二人同時に死ぬことになるが、モモコは意に介さない。
世界の裏側で死んだ冒険者は、寺院で蘇生してもらえるからだ。
少なくとも、モモコはそう考えているだろう。
だが、足りない。
オレは、スキュラの位置まで突撃した。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる