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第三章 領土拡大と、崖の下の難関ダンジョン
第29話 ブレス(火炎放射)
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「なんだあれは。ウミガメにしては、デカすぎる!」
草野球場くらいはあるのではないか。こんな大きなモンスターが、棲んでいるとは。
「あれは、シードラゴンだモジャ!」
海の龍とか。最奥の敵は、ドラゴンばかりだな。
「異形の徒よ、雷撃とともに消え失せよ!」
ピエラが、電撃を放つ。水棲生物に電撃魔法は鉄板だ。
しかし、ウミガメは首を引っこめた。雷撃は甲羅に阻まれてしまう。
「うーん。ダメージはゼロね」
半魚人の固いウロコさえたやすく破壊した電撃も、巨大サイズのウミガメの甲羅には通じない。
「撃て撃て!」
オレとモモコは、銃を乱射して追い出そうとする。
「クニミツ、そんなことをしてもムダモジャ!」
ウニボーが、オレの袖を引っ張った。
しかし、オレは構わず撃ち続ける。
「いや。見てろ」
なにもオレたちは、ダメージを与えるために撃っているわけじゃない。
「ルイ、上から斧で甲羅を殴ってくれ!」
「よし、わかった」
半信半疑で、ルイも攻撃に加わった。
「ピエラは、マジックミサイルを打ち込んでくれないか? できるだけ派手に」
「わかったわ。マジックミサイル!」
大量の魔力弾を呼び出し、ピエラはカメに撃ち込む。
これだけ攻撃していれば……。
「ガアア!」
龍が首を出す。
「なんだモジャ?」
「跳弾だ」
ヤツに聴覚があるかはわからなかったが、外からガンガン音を鳴らされたらうるさかろうと思ったのだ。うまくいったぜ。
「そこだ!」
ルイが、手に持った斧を振り下ろした。素材を集めてオレたちが作った、ルイ用のメインウェポンだ。
だが、またしても動きが読まれてしまう。すぐに首を引っ込めてしまった。
「くそ。ダメか!」
「でかいから動きも鈍いと思っていたんだが」
コイツには、今のオレたちでは敵いそうにない。
ひとつ上の階層にある安全地帯に、ポータルを設置した。ひとまず、退却する。
「領地にまで、敵が襲ってきたりはしない?」
「悪意のある輩は、その場で入れないモジャ」
ウニボーら精霊の許可がない者は、誰も寄せ付けないという。
「あんなの、ムリモジャ。どうやってもあの硬い甲羅を突破できないモジャ」
「すまない、クニミツ。わたしがブレスでも吐ければ、こんな事態には」
ルイが、オレたちに頭を下げる。
「実は騎士たちにも、人間のままだとブレスが吐けないと指摘されていたのだ」
そのせいで、ルイは騎士団で戦力外となり、居場所がなくなってしまったそうだ。
「ブレス……そうか、ブレスか」
オレは、とある武器をひらめく。
「いけるぞ。これは」
「甲羅を破壊する、必殺武器をひらめいたモジャ?」
「いや。甲羅を壊すまでは必要ない」
オレが言うと、モモコもうなずいた。どうやら、オレたちは同じ答えに行き着いたらしい。
「よし、【かまど】を用意する。大量に作るぞ」
「OKクニミツ」
モモコと一緒に、今まで集めた素材をかまどにブチ込んだ。
「何をする気なのかしら?」
「ヤケになったモジャ?」
ピエラとウニボーは、首を傾げている。
「いや、なにか理由があるに違いない。ワタシは信じているぞ」
オレたちの戦闘を長く見てきたルイだけは、信じてくれているらしい。
「できたぞ。まずは一丁」
できあがった武器を、オレはルイに渡す。この武器は、ルイにこそふさわしい。
「再戦といこう!」
すぐに、ウミガメの元へ向かった。
さっそく、ウミガメが頭を引っ込める。
「くらえ、火炎放射器だ!」
オレたちは、四方から銃から炎を浴びせた。
「ボクも、火炎放射器を使ってていいのかしら?」
「ああ。こういうのはノリだ! 焼き尽くせ!」
ピエラは魔術師だが、彼女だからこそ火炎放射はよく似合う。
「魔力で熱量を補充するから、そのままぶちかませ!」
「やってみるわ!」
至近距離で、炎を浴びせていく。
龍が、頭を出そうとした。
「おっと!」
オレは、龍の頭へ炎を浴びせる。
あれだけ逃げ回っていた龍の首が、引っ込んだ。
さて、どれだけもつかな?
やがて、カメの甲羅から水が出てきた。熱に耐えきれないのか、暴れまわる。
散々暴れた後、亀の首がだらりと溢れてくる。
その皮膚は、すっかり茹で上がっていた。
草野球場くらいはあるのではないか。こんな大きなモンスターが、棲んでいるとは。
「あれは、シードラゴンだモジャ!」
海の龍とか。最奥の敵は、ドラゴンばかりだな。
「異形の徒よ、雷撃とともに消え失せよ!」
ピエラが、電撃を放つ。水棲生物に電撃魔法は鉄板だ。
しかし、ウミガメは首を引っこめた。雷撃は甲羅に阻まれてしまう。
「うーん。ダメージはゼロね」
半魚人の固いウロコさえたやすく破壊した電撃も、巨大サイズのウミガメの甲羅には通じない。
「撃て撃て!」
オレとモモコは、銃を乱射して追い出そうとする。
「クニミツ、そんなことをしてもムダモジャ!」
ウニボーが、オレの袖を引っ張った。
しかし、オレは構わず撃ち続ける。
「いや。見てろ」
なにもオレたちは、ダメージを与えるために撃っているわけじゃない。
「ルイ、上から斧で甲羅を殴ってくれ!」
「よし、わかった」
半信半疑で、ルイも攻撃に加わった。
「ピエラは、マジックミサイルを打ち込んでくれないか? できるだけ派手に」
「わかったわ。マジックミサイル!」
大量の魔力弾を呼び出し、ピエラはカメに撃ち込む。
これだけ攻撃していれば……。
「ガアア!」
龍が首を出す。
「なんだモジャ?」
「跳弾だ」
ヤツに聴覚があるかはわからなかったが、外からガンガン音を鳴らされたらうるさかろうと思ったのだ。うまくいったぜ。
「そこだ!」
ルイが、手に持った斧を振り下ろした。素材を集めてオレたちが作った、ルイ用のメインウェポンだ。
だが、またしても動きが読まれてしまう。すぐに首を引っ込めてしまった。
「くそ。ダメか!」
「でかいから動きも鈍いと思っていたんだが」
コイツには、今のオレたちでは敵いそうにない。
ひとつ上の階層にある安全地帯に、ポータルを設置した。ひとまず、退却する。
「領地にまで、敵が襲ってきたりはしない?」
「悪意のある輩は、その場で入れないモジャ」
ウニボーら精霊の許可がない者は、誰も寄せ付けないという。
「あんなの、ムリモジャ。どうやってもあの硬い甲羅を突破できないモジャ」
「すまない、クニミツ。わたしがブレスでも吐ければ、こんな事態には」
ルイが、オレたちに頭を下げる。
「実は騎士たちにも、人間のままだとブレスが吐けないと指摘されていたのだ」
そのせいで、ルイは騎士団で戦力外となり、居場所がなくなってしまったそうだ。
「ブレス……そうか、ブレスか」
オレは、とある武器をひらめく。
「いけるぞ。これは」
「甲羅を破壊する、必殺武器をひらめいたモジャ?」
「いや。甲羅を壊すまでは必要ない」
オレが言うと、モモコもうなずいた。どうやら、オレたちは同じ答えに行き着いたらしい。
「よし、【かまど】を用意する。大量に作るぞ」
「OKクニミツ」
モモコと一緒に、今まで集めた素材をかまどにブチ込んだ。
「何をする気なのかしら?」
「ヤケになったモジャ?」
ピエラとウニボーは、首を傾げている。
「いや、なにか理由があるに違いない。ワタシは信じているぞ」
オレたちの戦闘を長く見てきたルイだけは、信じてくれているらしい。
「できたぞ。まずは一丁」
できあがった武器を、オレはルイに渡す。この武器は、ルイにこそふさわしい。
「再戦といこう!」
すぐに、ウミガメの元へ向かった。
さっそく、ウミガメが頭を引っ込める。
「くらえ、火炎放射器だ!」
オレたちは、四方から銃から炎を浴びせた。
「ボクも、火炎放射器を使ってていいのかしら?」
「ああ。こういうのはノリだ! 焼き尽くせ!」
ピエラは魔術師だが、彼女だからこそ火炎放射はよく似合う。
「魔力で熱量を補充するから、そのままぶちかませ!」
「やってみるわ!」
至近距離で、炎を浴びせていく。
龍が、頭を出そうとした。
「おっと!」
オレは、龍の頭へ炎を浴びせる。
あれだけ逃げ回っていた龍の首が、引っ込んだ。
さて、どれだけもつかな?
やがて、カメの甲羅から水が出てきた。熱に耐えきれないのか、暴れまわる。
散々暴れた後、亀の首がだらりと溢れてくる。
その皮膚は、すっかり茹で上がっていた。
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