レアドロップしない男、魔法付与装備を生成できる女スライム魔王に溺愛されて、【レアアイテムを破壊する男】として覚醒!

椎名 富比路

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4-4 抜け駆けした魔王を、殴ります

インテリジェンス・ウェポン

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 激怒した仏像が、フェリシアを腕で薙ぎ払った。

 剣でフェリシアは受け流したが、その剣が壊される。

 さらに追撃が、襲いかかってきた。

「きゃあ!」

 フェリシアが、攻撃を盾で防ぐ。

 その盾でさえ、仏像は砕いた。

 反対側の壁まで、フェリシアが吹っ飛ぶ。

「こんのお!」

 ブチギレたトウコが、蹴りで仏像に攻撃を加える。

「よせ。ムチャだ!」

「ムチャでもやるっきゃねえだろ! おおお!」

 アバラが折らた状態とはいえ、仏像はトウコの攻撃をすべて受け流す。ドワーフの怪力さえ、仏像は問題にしていない。

 飛びかかって、トウコがエルボーを見舞おうとした。

「ぐほおお!?」

 腹へのキックで、上空のトウコを叩き落とす。

「なんて強さだ!?」

 こんな奴が、まだダンジョンにいたのか。さすが、報復刀を守っているだけある。

「魔王の力に近いパワーを感じます。おそらく、レアアイテムか呪いのアイテムオミナスでできています」

 ならば、俺が戦った方がいい。

「すまんフェリシア、トウコ! 後は任せろ!」

 フェリシアを気遣い、俺は刀を振るった。

「ディメンション・クローッ!」

 よろけた仏像の胴体を、クローで薙ぐ。

 対する仏像も、魔法障壁を手から作り出しした。こちらの攻撃を防ぐ。

「止めれるもんなら、止めてみろ! おおらあああああ!」

 藍色の光刃が、仏像を防御用障壁ごと切り裂いた。

 腹から両断された仏像が、ただの金属の塊へと変わり果てる。やはり、コイツにもレアの力が発動していたか。

「よし……倒した、か」

 金属片となった仏像を見て、俺は勝利を確信した。

 黒い刀が、仏像の跡からジュエルを吸収する。

「なんとか、なったみたいね」

 トウコとフェリシアが、グッタリとなる。 

「どうした、ふたりとも? 空間は、解除されたぞ」

「あたしたちは、もうダメだ」

 トウコの腕が、震えていた。黒曜顎コクヨウガクに力を注いだ上に、ムリな戦闘行為までした。もう限界が近い。

 術式は解除されたが、もう戦闘に参加はできないだろう。

「自分の身を守ることくらいしか、もうできないぞ」

「私もよ。思いの外、ダメージが大きいわ」

 フェリシアに至っては、装備品が破損していた。剣も折れて、盾も砕けている。

「あとゴッドノイズ一発なら、撃てそうな気がするわ。けど、帰るまでにはガス欠ね」

 苦々しく、フェリシアが取り出した銃を睨む。

「他の武器は、全部ダメになったわ」

 それだけ、このダンジョンが過酷なのを物語っていた。

「ワタシも同行はムリね」

 ゾーイの展開していた羽根型自律兵器も、すべてボロボロになっている。

「ですが、もう報復刀の場所も近いです。もう少し歩きましょう」

「ああ。お前たちは、ここで休んでいろ」

 フェリシアとトウコ、ゾーイを残して、俺たちは先へ進んだ。

 この先に、伝説のオミナスがあるのは、間違いない。

 一歩進むに連れて、不快感が増していく。
 粘ついた瘴気が、体にまとわりついてきた。

「なんだ、この不愉快な感情は?」

「これこそ、オミナスの放つ魔力です」

 オミナスが放出する悪意を、俺たちはモロに浴びている。

 最奥には、一振りの刀が飾られていた。豪華な金細工で粧飾された、海老茶色の鞘に収まっている。

『何者だ? この地を最古のオミナス【報復刀 ウェイジスエッジ】のありかと知って入ってきたのか?』

 だれもいないのに、声だけがした。

『あの守護天魔を打ち破るとは。久々に、腕の立つハンターが現れたようだな』

 愉快そうに、何者かが笑う。

 だが、どこから見ているのか?

「あの刀がしゃべっている! 声は、刀からしているぞ!」

 ジェンマが、刀を指差す。

「インテリジェンス・ウェポン?」

 最強のオミナスの正体は、知識のある武器だった。

『いかにも。私こそウェイジス・エッジ。そして、かつて【ファウストゥス】と呼ばれたものだ』

「お前が、ファウストゥスだと!?」
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