180 / 230
3-6 堕天使を殴りに行きます 後編
最強の助っ人
しおりを挟む
「なんだ? ランバート、タワーの様子が妙だぜ!」
空を見上げながら、ビョルンがこちらに向かって叫んだ。
ビョルンとリュボフは、五層のペトロネラに通じるタワーを駆け上っている。タワーと言っても、実体はただの柱だ。この石でできた柱は、独自に重力が働いているらしい。おかげで地面と垂直に伸びていても、まっすぐ走ることができる。
リュボフとビョルンには、サピィを援護してもらうためにタワー頂上を目指していた。
その頂上が、青黒い光に包まれている。
ドン……と、重苦しい妖気が漂ってきた。
「なにか、とんでもない奴が来る」
俺は、武器を構え直す。
剣の翼を携えた、女型の堕天使が現れた。
巨大な堕天使は、全身を剣の翼で覆っている。
「くそおおお!」
兵士たちが、銃で剣の堕天使に銃を撃ち込む。
だが、銃弾はすべて弾かれてしまう。
「これならどう?」
フェリシアが、【福音】に魔力を吹き込んだ。大型の光弾を、堕天使に放つ。
堕天使の剣が、すべて粉々になった。
それでも、剣の堕天使には傷一つつかない。しかも、敵の武器がすべて復元してしまった。
武器の破片が、こちらに降り注ぐ。
「ダメです。ピンポイントで弱点にダメージを与えねば」
破片を撃ち落としながら、シーデーが分析をする。
俺も弱点を見破るジュエルで、堕天使の様子を確認した。
たしかに、額の目を潰せばこの敵は倒せそうである。
とはいえ、突破するには武器を壊さねば。たとえ武器を吹き飛ばしたとしても、一瞬で再生してしまうそうだ。
およそ三分の一を防ぐことはできた。しかし、メグたちが大ダメージを受ける。
ルーオンも、コネーホを守るために深手を負ってしまった。
「コネーホは無事だな!」
「ええ。なんとか。でもルーオンが」
武装である着ぐるみに備わった【ギャグ補正】というスキルのおかげで、コネーホは無傷出ある。ルーオンが致命傷を避けているのも、このスキルのおかげだろう。
かなりまずい状況になった。みんなを守りながら、サピィまで救えるだろうか。
剣の堕天使が現れたせいで、形成は一気に不利に。
このままでは、兵士たちに犠牲者が出てしまう。
「兵たちを一箇所に集めろ! トウコ、俺と一緒に回復薬に回ってくれ!」
「よっしゃ! エリアヒール!」
広範囲の治癒魔法を、トウコが唱える。しかし、思っていた以上の効果が出ない。
「へばっているようだな!」
「ずっと戦い通しだったからな!」
「持ちこたえてくれ。なんとかする!」
とはいえ、どうするか。【福音】も通じないとなると。
敵のハンターたちも息を吹き返す。いや、ゾンビ化して襲いかかっているのだ。
「フェリシアはハンターのゾンビを浄化してくれ!」
「OKよ!」
聖騎士の浄化魔法で、ゾンビのハンターたちは溶けていく。
だが段々と、俺たちは柱のすぐ下まで追い詰められた。
俺はヒール作業で動けない。
「あなただけでも、行きなさい!」
フェリシアが、俺を誘導してきた。
「ダメだ。俺も残る」
「そう言っていられないわ。サピィにはあなたが必要よ」
「いや。俺はサピィを信じている」
俺がみんなを置いて助けに行けば、そっちの方が悲しむだろう。
そんなのを望まないのが、サピィなんだ。
「でも、このままでは心中になるわ!」
「だから、なんとかす――」
俺が前に出ようとすると、剣の堕天使が急に動きを止めた。
敵ハンターたちも、何事かと振り返っている。
ハンターたちの視線の先には、ハンドキャノンを構えた男の姿が。
「お前は……リック!」
かつての仲間であるリックが、剣の堕天使が持つ弱点を一撃で貫いたのだ。
リックの隣には、リュボフの兄であるエトムント王子がいる。いや、先代王の跡を継いだので、今は国王か。
その隣には、ハイエルフがいた。
「あれ、ルエ・ゾンじゃないか!?」
トウコが、ハイエルフを差す。
エトムントの隣りにいたのは、賢者ルエ・ゾンだった。
空を見上げながら、ビョルンがこちらに向かって叫んだ。
ビョルンとリュボフは、五層のペトロネラに通じるタワーを駆け上っている。タワーと言っても、実体はただの柱だ。この石でできた柱は、独自に重力が働いているらしい。おかげで地面と垂直に伸びていても、まっすぐ走ることができる。
リュボフとビョルンには、サピィを援護してもらうためにタワー頂上を目指していた。
その頂上が、青黒い光に包まれている。
ドン……と、重苦しい妖気が漂ってきた。
「なにか、とんでもない奴が来る」
俺は、武器を構え直す。
剣の翼を携えた、女型の堕天使が現れた。
巨大な堕天使は、全身を剣の翼で覆っている。
「くそおおお!」
兵士たちが、銃で剣の堕天使に銃を撃ち込む。
だが、銃弾はすべて弾かれてしまう。
「これならどう?」
フェリシアが、【福音】に魔力を吹き込んだ。大型の光弾を、堕天使に放つ。
堕天使の剣が、すべて粉々になった。
それでも、剣の堕天使には傷一つつかない。しかも、敵の武器がすべて復元してしまった。
武器の破片が、こちらに降り注ぐ。
「ダメです。ピンポイントで弱点にダメージを与えねば」
破片を撃ち落としながら、シーデーが分析をする。
俺も弱点を見破るジュエルで、堕天使の様子を確認した。
たしかに、額の目を潰せばこの敵は倒せそうである。
とはいえ、突破するには武器を壊さねば。たとえ武器を吹き飛ばしたとしても、一瞬で再生してしまうそうだ。
およそ三分の一を防ぐことはできた。しかし、メグたちが大ダメージを受ける。
ルーオンも、コネーホを守るために深手を負ってしまった。
「コネーホは無事だな!」
「ええ。なんとか。でもルーオンが」
武装である着ぐるみに備わった【ギャグ補正】というスキルのおかげで、コネーホは無傷出ある。ルーオンが致命傷を避けているのも、このスキルのおかげだろう。
かなりまずい状況になった。みんなを守りながら、サピィまで救えるだろうか。
剣の堕天使が現れたせいで、形成は一気に不利に。
このままでは、兵士たちに犠牲者が出てしまう。
「兵たちを一箇所に集めろ! トウコ、俺と一緒に回復薬に回ってくれ!」
「よっしゃ! エリアヒール!」
広範囲の治癒魔法を、トウコが唱える。しかし、思っていた以上の効果が出ない。
「へばっているようだな!」
「ずっと戦い通しだったからな!」
「持ちこたえてくれ。なんとかする!」
とはいえ、どうするか。【福音】も通じないとなると。
敵のハンターたちも息を吹き返す。いや、ゾンビ化して襲いかかっているのだ。
「フェリシアはハンターのゾンビを浄化してくれ!」
「OKよ!」
聖騎士の浄化魔法で、ゾンビのハンターたちは溶けていく。
だが段々と、俺たちは柱のすぐ下まで追い詰められた。
俺はヒール作業で動けない。
「あなただけでも、行きなさい!」
フェリシアが、俺を誘導してきた。
「ダメだ。俺も残る」
「そう言っていられないわ。サピィにはあなたが必要よ」
「いや。俺はサピィを信じている」
俺がみんなを置いて助けに行けば、そっちの方が悲しむだろう。
そんなのを望まないのが、サピィなんだ。
「でも、このままでは心中になるわ!」
「だから、なんとかす――」
俺が前に出ようとすると、剣の堕天使が急に動きを止めた。
敵ハンターたちも、何事かと振り返っている。
ハンターたちの視線の先には、ハンドキャノンを構えた男の姿が。
「お前は……リック!」
かつての仲間であるリックが、剣の堕天使が持つ弱点を一撃で貫いたのだ。
リックの隣には、リュボフの兄であるエトムント王子がいる。いや、先代王の跡を継いだので、今は国王か。
その隣には、ハイエルフがいた。
「あれ、ルエ・ゾンじゃないか!?」
トウコが、ハイエルフを差す。
エトムントの隣りにいたのは、賢者ルエ・ゾンだった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】
雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。
そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!
気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?
するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。
だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──
でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始!
2024/2/21小説本編完結!
旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です
※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。
※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。
生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。
伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。
勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。
代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。
リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。
ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。
タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。
タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。
そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。
なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。
レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。
いつか彼は血をも超えていくーー。
さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。
一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。
彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。
コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ!
・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持
・12/28 ハイファンランキング 3位

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる